第二十五話 鳥と少年
β襲撃まであと四日
俺は悪魔組の他のメンバーに会いに行っていた。
「えっと、今拠点にいるのはこの三人だけか」
ルシファーのメモによると拠点に残っているのはバルバトス、バエル、ダンタリオンの三人とのことだ。こいつらは自由なのか、一人一人が好き勝手にやってるのか分からないが中々人数が集まらないな。
「まずはバルバトスってやつに会いに行くかな」
俺は、ルシファーのメモに書かれていた部屋の前まで来ていた。
「失礼、入るぞー」
少し遠慮しながら俺は部屋のドアを開けた。
「うん、そうか、ありがとうね」
部屋の中には鳥と会話している少年がいた。青い髪で黄色の瞳、年齢は俺と同じくらいのだろうか?
少年はこちらに気づいて、
「おや?思いがけない来客だな。君、大罪の人でしょ?」
と言った。
「あ、ああ、よく分かったな」
「この子に聞いたからね。お客さんが来てるって」
少年は、自分の肩に乗っている鳥を指差して得意気にしていた。
「お前がバルバトスなのか?」
「そうだよ、君は…明だろう」
もう俺について知られているのは突っ込まないようにしよう。
「バルバトス、お前の能力はどんなやつなんだ?」
「僕の能力はね、『共感』だよ。動物と心を交わし意思疎通を取ることができるんだ」
「なるほどな、かなり便利だ」
「ありがと。ただ今の新宿には鳥くらいしか飛んで無いから自由には使えないんだけどね」
「なるほどな。ってことは戦闘向きじゃないってことか?」
「そうだね。僕はあまり戦いは得意じゃない。まあ武器とか使えなくもないんだけどね」
そう言ってバルバトスは部屋の隅を指差した。
「うおっ、何だこれ、凄いな」
そこには巨大な弓があった。全長二メートル程だろうか。金色と白色がベースになっていて、あまりにも神々しい装飾が付いていた。
「この弓はロビンという名前だ。昔、ルシファーさんからもらった武器だよ。まあ、もらってから試し撃ちしてからほとんど使ってないんだけどね」
「ルシファーの奴、こんな物持ってたのか。案外意外だな」
「そう?ルシファーさんは案外コレクター気質なんだよ?」
そうだったのか……あのオジサンからはどうしても想像できないってもんだ。
俺は少しバルバトスと世間話をしてから、
「それで本題なんだけど、バルバトスに手伝って欲しいことがあるんだ」
「ああ、βだっけ?勿論、僕も参加するよ。僕も悪魔組の一員だからね」
安心した。ここ最近は戦ってばかりだったからな。戦闘をせずに交流できたのは良かった。今はあまり消耗するべきじゃないからな。
「あと、他の二人にも僕から伝えておくよ。バエルちゃんとダンタリオンだよね」
「お前、どこで見ていたんだ?心でも読まれている気分なんだけど」
「ははっ、じゃあヒントをあげるね。服を脱いでごらん?」
「はあ?」
俺は渋々言葉通りにすると、シャツの裏側に小さな虫が付いていた。
「げっ、お前、ずっと見ていたのか?」
「うん、色々と新鮮で楽しかったよ、ありがと」
「プライバシーって知ってるか?」
バルバトスは少し笑った後、
「一つアドバイス、天華ちゃんもアスタロトちゃんもアモンちゃんもいい子ばかりだけど、程々にしときなよ?」
と言った。
「はあ?何のことだ?余計なお世話だ」
「ふふっ、そうかい」
そしてバルバトスはまた少し笑った。
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「はぁ、はぁ、師匠!出来ました!私飛んでますよ!」
「ああ、よくやったな。まさか二日でやり遂げるとはな!期待以上だ!」
まさか本当に俺から十分間も逃げ続けられるとは、これでも実力六割くらいは引き出していたんだがな……はっ!本当に期待以上だぜ天華!
「後は浄化だけだな!天華」
「は、はいっ!」
あと四日ある。良いペースだ。
「この調子で行くぞ!」
「はいっ!」




