第二十三話 逸材達
「あのなぁ、お前ら、何してんの」
翌日、俺は悪魔組の治療室で横になりながらルシファーと話していた。
「いや、悪かったって。アスタロト達との勝負が白熱しすぎちゃったんだよ」
「あのなぁ、勝負も何も組み手だったんだろ?なのに何で全力で戦ってるんだよ」
「悪かったな、でも俺だけ怒られなくたって良いだろ?」
「んー、まあそうだな。お前もお前だ、アモン。全力で戦い合うなんてお前らしくもない」
ルシファーはおちゃらけた雰囲気でアモンに聞いた。
「申し訳ありません、ボス、少し感情が表に出過ぎてしまっていた様です」
「なーにが感情が出過ぎただ、号泣だったじゃんか」
「過去の失言をお詫びしたい。あなたはやはり性悪で醜い人間でした」
「何だと?覚えているからな!俺は美しい人なんだろう?感謝するぜ?そんなことを言われたこと無かったもんでね、感動で泣きそうだよ」
そんな醜い喧嘩を横で見ていたルシファーが、
「はぁ、お前ら仲良くしろよ?」
と言うのだった。
「なあルシファー、天華の方はどうだった?」
「ああ、そうだな、あいつは強くなれる。逸材だ。すぐにでも頭に輪が出てくるだろうさ。もしかしたら前任のジジイよりも強くなるかもな」
「そりゃあ良かった。俺も早く帰れそうだ」
ルシファーは顔を歪めながら、
「ただ、あいつの『滑走』ってやつ、ありゃなんだ?能力は一人一つだろ?」
と言った。
「俺達も驚いたんだよ。あいつには能力が二つあるらしい。確か他人の能力結晶を胸に埋め込まれてるらしいぞ?どうやらまだ生き残ってる能力研究所があるらしくてな」
「神話種に何てことをするのかね。ただ、その話は有益な情報だ。あいつが元実験体ってやつなら能力が不完全な理由も掴める」
「どういうことだ?」
「あいつは十四って話だったよな。それなのに能力が不完全な理由を考えてたんだ。能力ってのは十代が黄金期とされている。理由はまあ、大人になればなるほど自分の能力のイメージが固定化されちまうからだ」
「確かに先生やあんたはもう成長ってよりかは天井にいる感じだよな」
「だが、天華はあの歳でもう能力に対するイメージが固定化されつつあった。意味が分かんねえよな。おそらくあいつは、研究所で極限まで尊厳を破壊された生活を送っていたんだろう」
確かに天華と初めて会った時は殺さないでくださいって言ってたな。
「まあ、あいつの過去の話なんかはどうでも良いしくだらん話だ。今の天華ならば自由なイメージで能力を使えるはずだ」
まだ一日しか経ってないのにそう言い切るほどに変わったということはよほどルシファーが天華の師匠に向いてたんだろうな。
「この調子なら…あと一週間だ。一週間で浄化を物にさせる」
この師匠は結構スパルタ側なんだな……天華、頑張れよ。
「ああそうだ、忘れてたが一週間後に神話種狩りが攻めてくるってのが分かったから準備しとけよ」
「は?」
こいつ今なんて言った?攻めてくるだと?
「そう言う大事なことは早く言え!」




