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大英雄の大罪人  作者: 親の顔よりみた小指
第三幕 悪魔との接触
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第十五話 狂者

 一週間後

「おいハエ、お前もう回復しただろ。俺達を『転移』で関西都市群まで連れて行け」

「全く、人使いが荒いですね。良いでしょう、今の身体ならば能力に支障は出ません」

「じゃあ、頼んだぞ」


「天華、須藤、俺の近くにいるんだぞ。ハエの転移範囲外にいると俺の腕みたいになっちゃうからな」

「そ、それは笑えないですね」

 冗談のつもりだったんだけどな…天華がなぜか俺に抱きついてきてしまった。


「それでは行きますよ?能力発動『転移』!」

「ぐっ」

 龍のワープとは全然違うな。距離が遠いのもあるだろうが一瞬で移動する訳じゃなくて別次元のような場所を経由して行くのか。


 目を開けるとそこには見慣れた街並みがあった。近くの看板には関西都市群大阪区と書いてある。

「先生の家はちょうどこの辺りだ。ハエ、お前もついて来い」

「良いんですか?ちなみに『運命』と戦っても?」

「お前が勝てると思ってるならな。俺達は過去一度も先生に傷をつけたことはないから、まあ精々頑張れ」


 ピンポーン

「おーい、先生ー!帰ったぞー」

 俺がそんなことを言ったらドタドタと大きな音が鳴った後に焦った様子でドアが開いた。

「め、明!この一週間なにしてたのよ!」

 真っ先に乃亜が出てきた。そしてそのまま視点が俺の右腕に辿り着いた。

「え、な、なんで…明、なによそれ」


「あー、その、右腕はこいつに取られちまってな」

「は?」

 瞬間、とてつもないほどの殺気が乃亜から放たれていた。そして突然手にナイフが握られてハエの首を捉えていた。


「お、おい!落ち着けって。もう過ぎた話だ。俺は気にしてない」

「なんで?そもそも誰よこいつ。信用できるの?敵なの?」

「敵じゃない、多分な。俺たちが帰ってくるのが遅れたのはこいつのせいであり、帰ってこれたのもこいつのおかげでもある。まあ今は大丈夫だ」

「はぁ?何よそれ」


「何の騒ぎだ?」

その声が聞こえた途端、ハエの目の色が変わった。

「あ?お前は『悪魔』のとこのガキか。何だ、急に私のところに来て」

 先生はそう話しながらニヤリと笑った。

「もしかして、私と戦いに来たのか?」

「叶うならば…是非戦いたいですね」


「ふん、たまにはお前の話にも乗ってやる。一発でも私に入れられたら『悪魔』の野郎の考えにも付き合ってやる」

 この感じ…先生はすでに全部知っているのか。

「分かりました。私から行かせてもらいますよ?最強」

「龍!」

「はい!先生」

 先生が名前を呼んですぐに龍が現れて俺達は旧都にまで移動していた。周囲に被害を出さないためだろう。


「龍、お前もいたのか?」

「おぉ、明、久しぶりだな。俺は先生の事務作業ばかりを手伝わされ続けててな。人間の限界ってやつを知ったぜ」

 かわいそうなやつ。

「乃亜はお前から連絡が来ないってずっと心配で心配で一人で北海道まで行こうとしてたレベルなんだぜ?」

「ちょっ!ち、違うから。天華が心配だったのよ!」

「そ、そうか」


「それでは私から攻めさせてもらいますよ」

「ああ、どっからでもかかってこい」

 さて、一旦はこっちに集中だ。最強と挑戦者の戦い…いや、戦いになるのだろうか……

 ベルゼブブの能力『転移』

 自身の周り半径2メートルまで空間ごと別の場所に転移することができる。空間ごと削り取るため、能力を使って防ぐことはできない。転移できる場所は自分が見たことのある場所という制限があるが、写真などでも条件を満たすことができる。

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