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大英雄の大罪人  作者: 親の顔よりみた小指
第一幕 英雄
1/79

第一話 旧日本

瞬間、ふと過去の誤ちを思い返す。

いつになってもあの地獄のような光景が瞼の裏に染み付いて離れない。

 俺と弟は十年前に友人も家族も全て失った。いや、厳密には"ほとんど"だが。若さ故の判断だったと思う。一瞬であの場にいた俺達四人は罪人となった。


 この物語は俺たちが認められるための物語である。


「兄さん、今日予定ある?」

「ん?どうした?何か用か?」


 俺の名前は稲光明、明と書いてメイと読む。

そして今話しかけてきたのが稲光暗、暗でアンだ。

「実は今日乃亜達に旧日本の方の見回りに行かないかって誘われてね、兄さんが行くなら行こうかなって」

 

 旧日本…久しぶりに聞く単語に少し驚いた。

「乃亜と龍ともここしばらく会っていないしな。行ってやるか」

「やっぱり兄さんならそう言うか。分かったよ」


 俺たちは旧日本に向かうために龍に連絡を送った。

 数秒後には龍が俺達を迎えに来た。


「遅いよー明、暗、久しぶりね!」

「よう乃亜、龍、久しぶりって言っても数ヶ月ぶり位だけどな」

 こいつは白雪乃亜、そして先程俺と暗を迎えに来たのが神川龍、二人とも俺達兄弟の親友だ。

「見回りって言ってたけどどこに行くんだ?」


「うーん…特に決めてないから四人で旧日本をぶらぶら歩きたいなぁって」

「いつも通り雑なやつ」

「女の子にそういうことは言わない方が良いよ?明は空気が読めないんだから」

「よし! じゃあ行くか暗、龍、準備しろよ!」

「ちょっと! 無視しないで」


 旧日本にも久しぶりに来る。今更こんな危険地帯に来るやつなんていないと思うのだが、まあ旧日本には貴重な資料や財産が眠っているから荒らす奴が出てくるのも納得ではある。

「それじゃ行こっか! 乃亜ちゃんが先導してあげるから」

「今日ノリおかしくない?お前」

「……そ、そんなことないよ?」

「久しぶりに明に会えて嬉しいんだろ?お前明のこと大好きだもんな」

「ちょ! り、龍さん?それは言っちゃダメだって前言ったよね?」


 そんな会話をしてると空気が変わった。

 ふと前を見ると、俺達を大柄の男が見下ろしていた。


「マジか、旧都荒らしなんてまだいたんだな」

「今じゃレアなんだよ?偶然遭遇するなんて、明は運がいいね」

「兄さん、相手する気だろうけど程々にしときなよ?」

「明、お前と普通の人間が戦ったら大変なことになるんだから加減するんだぞ」


「暗だけじゃなく龍までも……そんなに俺が弱そうに見えるか?」

「いや、敵の方が心配でね…」

「本当だよ、あいつが死んじゃったら責任は明だけにあるからな、乃亜や暗を巻き込むなよ」

 ひどい奴らだ。本当に仲間かよこいつら。


 さて、

「おい! お前、旧都荒らしだろ?国に突き出してやるから大人しくしてろよ」

「な、何! 誰だお前は! 正義の味方気取りか?お前みたいなガキが旧都に来て何ができるんだ!」

「はぁ、仕方ない、力ずくで行くから覚悟しとけよ?」

 瞬間、俺の手がとてつもない光を帯びた。


 さあ、蹂躙の時間を始めるとしよう。

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