表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

99/180

21:魔王との遭遇


「やれ・・・突撃開始だ!!」


「「グオオオオオオオ!!」」



 魔王がそう命じると、魔族の軍勢は一斉に辺境伯軍へと突撃していく。

 


「てえええ!!」


 ピュピュピュピュ!



 辺境伯軍は弓矢での攻撃を継続するが、今度はオークの大盾部隊の介入により、その効果は薄いようだ。



「温存している魔術部隊を介入させますか?」


「いや・・・あの様子では魔術での攻撃も大した効果はあるまい・・・」



 広範囲攻撃魔法やオレの電撃であれば、あの大盾にも通用するだろうが、今回は魔術師に広範囲攻撃魔法の使い手がいないようなので、オレが前に出るしかあるまい・・・・。



「ヨッシー・・・・。ここはわたくしが」



 オレが前に出ようとすると、スレイプニールのアラストルに跨る、レーティシア姫が前に出てきた。



「雷撃剣であの大盾のオーク共を薙ぎ払います!」



 レーティシア姫は聖剣アルゲースを抜き放ち、天に掲げるとそう宣言した。

 前もって雷の魔剣で聖剣アルゲースの雷を充填していたようで、その聖剣アルゲースは光り輝き、帯電していた。



「いきます!! 雷撃剣!!」


 ゴロゴロ!! ピッシャアアアン!!



 レーティシア姫が聖剣アルゲースを薙ぎ払うと、魔王軍に向けて雷撃が扇状に放たれる。


 聖剣アルゲースから放たれた雷撃が、辺りを眩しく照らしていく。

 だがその雷撃が収まると、オレたちは想像もしない光景を目の当たりにする。


 なんと魔王軍は誰一人として、倒れてはいなかったのだ。



「な!?」


「あの雷撃が効いておらんのか?」



 見ると空中に帯電している、一本の棒が浮遊していた。

 どうやら雷撃剣による雷は、全てあの棒に逸らされてしまったようだ。

 あれは避雷針のようなものだろうか?



「ふはははははは!! 無駄だ! 勇者の魔法はとうの昔に対策済みである!」



 魔王はこちらをあざけるように、高笑いをしていた。

 そして余裕な感じに、そう言い放ったのだ。


 オレが以前砦で雷撃を使ったことは早計だっただろうか?

 それで魔王は雷撃に対策を?


 いや魔王の口ぶりから、そうでないように思える。

 この雷撃への対策は、もっと昔に編みだしていたものだろう。


 するとあの避雷針は、歴代の魔王から引き継いだ技であろうか?


 だがオレには気になることがもう一つあった。

 魔王の声は想像以上に幼く、オレには聞き覚えがあったのだ。


 まさかあの声の主は・・・・いやそんなはずは・・・・。



「黒金のゴーレム起動!!」



 オレは黒金のゴーレムを身にまとうと、それを確認するために魔王軍へと単独で突撃した。



「待てヨッシー!!」


「姫! お一人では危険です!」



 静止の声を無視して、オレは一心不乱に魔王のもとを目指す。

 敵は大勢いて危険だが、オレは一刻も早く魔王の正体を確認したかったのだ。



「止まれ!!」



 すると魔王は魔王軍の前進を止め、一人前に出てきたのだ。



「久しいな・・・ヨッシー!」



 そして魔王はオレに、そう言ったのだ。



「やっぱりお前は・・・・コロンか!?」



 オレは魔王と相対すると、そう魔王に尋ねた。

 魔王は漆黒のフルフェイスをかぶり、目は赤く光を放っている。

 周囲にに圧倒的な気配を放ち、その気配に押しつぶされそうな気さえしてくる。



「そう名乗っていたころもあったな・・・・」



 魔王はフルフェイスに手をかけると、ゆっくりと頭から外し始めた。

 そしてフルフェイスの下からは、見覚えのある懐かしい顔が現れる。



「我が名はコロナ・ロロロ・ンロダ!! 当代の魔王であ~る!!」



 それは邪悪に歪んだ笑顔を浮かべる、あのコロンだったのだ。


 コロンはいったい、どうしたっていうんだ!?


 オレはそのコロンの雰囲気の様変わりに、ショックを受けざるを得なかった。

 オレと冒険していたコロンは、芝居だったとでもいうのだろうか?

 それとも目の前の少女は、コロンの双子の姉妹なのだろうか?



「お前はコロンじゃないのか?」



 オレは魔王にそう問わずには、いられなかった。



「ふはははは! 我は間違いなく貴様と冒険をともにした仲間・・・コロンだよ! だがあれは残念ながら本名ではない!」



 コロンが本名ではない? いったいどういうことだ?



「王族である我が、他国で本名を名乗り冒険者などやっていられると思うのか? それにあの時は兄に命を狙われていたからな」



 なるほど。コロンは偽名で・・・本名はコロナだったわけだ。

 まあコロンとコロナ・・・・コロンらしい安直な偽名の付け方だとは思うが、オレにはまだしっくりこないことがあった。



「コロン・・・いやコロナ・・・。その喋り方はなんだ? それにその雰囲気・・・・まるで別人のようだぞ?」


「なかなか鋭いではないかヨッシー! だが貴様の方こそ正体を隠しておるのではないか女神(・・)よ?」



 女神だと? いったい何を言っているんだこいつは?



「おしゃべりはここまでにしようではないかヨッシー・・・・」



 そう言いつつ馬を降りると、魔王はオレにその禍々しい槍を向けてきた。



「どうだろう? ここは我と・・・・一騎打ちで決着をつけぬかヨッシー?」



 そしてそう提案してきたのだ。

 オレはその提案を受けて思案し、その間、両軍に沈黙が生まれる。

 しばらくして、オレは魔王を一睨みすると、答えを出した。



「いいだろう! その提案を受け入れよう!」


「ふはははははは!! そうでなくてはなヨッシー!!」



 こうしてオレは魔王と、一騎打ちをすることになったのだ。


 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


 《ブックマーク》 と


 評価★★★★★を

 

 お願いします。

 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

 感想、レビューもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ