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19:レーティシア姫との合流

 プロスペール辺境伯軍はこちらの正義を各国に示すために、魔族の街への侵攻はしない方針であるという。

 あくまで侵略行為を行うのは魔族側であり、正義は我にありというわけだ。


 侵攻を受けた街での、虐殺や略奪の話は耳に入っていたので、正直そんなことにならないで済んでとほっとしている。


 この砦の先にあるのは、一角鬼族という魔族の統べる街と城だ。

 一角鬼族は一本角に高身長が特徴の部族であるようだ。


 彼らは街を守るために、街の前に陣取りいつでも戦えるように、こちらの様子を窺がっているようだ。


 なので現在こちらとの睨み合いが、続いている状態だ。


 現在レーティシア姫率いる王国軍が、援軍としてこちらに向かっており、これからのことはその援軍と合流した後に決めるそうだ。


 オレたちはあれから訓練の毎日だ。

 敵軍を見張りつつ警戒しながらも、体がなまらないように訓練を怠らないようにするのだ。



「毎日訓練ばかりだと飽きてきますね・・・・」


「何を言っておる? お前はさっきから見ておるだけであろう?」


「え? 戦っていますよ・・・・オレのゴーレムが・・・・。それにオレ、弱っちいですから戦えませんし・・・・」


「お前なあ・・・・」



 現在オレの代わりに戦っているのが、自動戦闘ゴーレムだアオガネだ。

 アオガネはミスリルで造られており、素早く動くことが可能だ。

 全身を青く塗装していることから、青金、アオガネと名付けたのだ。



「はあはあ・・・・。何なんですかあのゴーレムは・・・?」


「動きが速すぎて対応できません・・・」


「ちくしょう!!」



 アオガネとの模擬戦を終えたオレの三人の部下は、再び敗北を(きっ)し地面に座り込む。

 ちなみにアオガネの頭上には風船がついており、時間内にそれを破壊すれば勝利となる。


 アオガネは容赦なく打撃攻撃や、投げ技を仕掛けてくるので、簡単には頭上の風船を破壊することは出来ないのだ。



「では次は我らが挑戦させていただくぞ・・・・。ほれ! 貴様らもとっとと位置につかんか!?」


「は、はいただいま!!」



 プロスペール辺境伯は、いまだに疲れて地面に寝そべっている部下たちに檄を飛ばし、再びアオガネの前に立ちはだかる。


 次は余裕な様子でコサックダンスを踊る、アオガネの連勝を止めることができるのだろうかね?



「申し上げます! この砦にレーティシア姫がお見えでございます!」


「なんだとこのタイミングでか? けっきょくヨッシーに一泡吹かせることは叶わなんだわ・・・・」



 プロスペール辺境伯が、がっかりしたようにそう呟く。

 どうやらレーティシア姫が率いる援軍が、この砦に到着したようだ。


 オレたちはさっそくレーティシア姫の出迎えにはせ参じた。



「だははは! お久しぶりでござるレーティシア姫!」


「貴方も元気そうですねプロスペール辺境伯」


「して・・・援軍はいずこに?」



 だが周囲をいくら見渡しても、援軍らしき軍勢の姿は見えなかった。



「わたくしとそこにいるバートム伯爵と、側近のみで参りました」



 見たところレーティシア姫はスレイプニールに跨り、浮遊バイクに乗るお供のトムおじさんと側近とともに、こちらへやって来たようだ。



「はあ!? たった三名ででござるか!? それは余りに危険なのではないですかな!?」



 レーティシア姫が強いのは知っているが、王族がたった二人の護衛のみで動き回るのは危険な気がしてならない。

 この周辺には盗賊も出るのだ。



「盗賊なら出会いましたが、このアラストルで蹴散らしました」



 レーティシア姫はスレイプニールを撫でながらそう言った。

 どうやらオレが危惧した盗賊は、既に蹴散らしたらしい。

 そして今頃知ったが、あのスレイプニールには、アラストルと名付けているようだ。



「そんなことよりもヨッシー・・・・!!」



 レーティシア姫は自らの痛いところを探られるのを回避するためか、オレのことに対しての話題をふってきた。



「はあ・・・何でしょうかレーティシア姫?」


「貴女どういうつもり!? あんなに目立つのを嫌がっていたのに、勇者と名乗って戦果を上げているそうではありませんか!」


「えっと・・・・成り行きで・・・・?」



 確かに雷撃を使うのを見られて勇者と思われてしまったが、あれは故意ではないのだ。

 不慮の事故であったと言ってもいい。



「成り行きですってヨッシー・・・・あれだけ注意せよとさんざん言って聞かせたのに・・・・」


「ま、まあ・・・チョコレートでも食べて落ち着きませんか・・・・?」


「いただくわ・・・・」



 いただくんかい!


 その後もさんざん小言を言われたが、お菓子を食べていたせいか、レーティシア姫の機嫌も徐々に回復していった。


 だがオレは今後の身の振り方を、考えないといけないようだ。


 現在の功績の全てをレーティシア姫に押し付けようかとも思ったが、今となっては少し遅いようだ。


 う~ん・・・? オレって今後いったいどうしたいんだろうか?



「あと・・・・トムおじさんお疲れ様です」


「お疲れ様ではないぞまったく!」



 オレの事情に巻き込まれたトムおじさん・・・お気の毒でした。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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