16:魔術の要塞
魔族の砦の前にやってきたのはいいが、その砦は魔術の要塞ともよばれ、迂闊に近寄ることができず攻めあぐねていた。
迂闊に接近しようとすれば魔術の集中砲火が、砦の中から飛んでくるのだ。
その魔術による攻撃は、対象を追尾するようで、逃げるのは困難のようだ。
ドカ~ン! トッパ~ン!
「うわあああ!」「ぎゃあああ!」
再び砦に近づいた部隊が、魔術の集中砲火をあびて、吹き飛んでいった。
彼らはオレと同じ遊撃部隊で、独断専行で動いたのだろう。
「あの集中砲火を耐え抜いても、広範囲魔術による攻撃を受けるのだ」
プロスペール辺境伯は自慢の髭を、指で整えながらそう言った。
「それはどんな魔術なんですか?」
「あの砦は三魔将の一人・・・炎のギエンが守護しておる。
そのギエンが使うとされる、広範囲に炎を出現させる魔法だ。その炎は毒も放出し、いくら炎に耐性があっても死に至るのだ」
炎に毒? もしかして一酸化炭素中毒のことだろうか?
それにしても三魔将の炎のギエンって、また厨二臭いのが出て来たな。
三魔将って言うからには三人いるんだろうな・・・・。
「それじゃあオレが行って魔術師だけでもなんとかしましょうか?」
「先ほどの話を聞いておったかヨッシー? いくらお前のゴーレムの装甲があっても毒は防げまい?」
「いえ。何とかなりますよ」
ガチャン!
オレは自信ありげにそう返事をすると、黒金のゴーレムを起動した。
「今回は三人はお留守番していてください」
「ええ? 姫お一人で向かうおつもりですか?」
「貴方たちじゃあ単一魔法はしのげたとしても、突然大火災を巻き起こすような魔法を使われたら耐えられませんよね?」
「それはそうですが、姫お一人で向かわれるのは危険かと!」
「まあ見ていてくださいよ」
「あっ! ちょっ姫・・・!」
オレは言い終わると黒金のゴーレムを走らせて、魔族の砦を目指した。
三魔将炎のギエン視点~
ドカ~ン!!
馬鹿な人種族どもが、再び我らが魔法により吹き飛んだ。
某は上空より敵の様子を窺がう、遠見の魔術を使うことが出来る。
さらにそのイメージを、配下の魔人どもに伝えることも可能だ。
「撃てええええ!!!」
ドドドド~ン!!
そのイメージを頼りに敵の位置を捕捉し、爆炎魔法を的確に命中させることが可能なのだ。
この方法ならばわざわざ狙撃の危険性のある城壁に登る必要もなく、安全に敵を攻撃できるのだ。
さらに人種族が吹き飛び、そこから膠着状態となる。
我らが魔法を恐れた人種族どもは、無駄な突撃をするのを止めたのだ。
このままいつものように、引き返していくことだろう。
あのギバドーとその軍勢が破れたと聞いた時には、正直肝が冷えたが、どうやら杞憂であったようだ。
「ぬ? 黒金の鎧の大男が一人だと?」
某のイメージがこちらへ走り単身で突撃をする、黒金の大男の様子を伝えてきた。
なぜあの男単身で突撃を? 今までの仲間の様子を見ていなかったのか?
いや待て・・・・あの男には何かがある・・・?
「撃てええええ!!!」
ドドドドド~ン!!!
大男に爆炎魔法が命中するも、大男はそれに動じることなく、突撃してくるのだ。
その装甲に某は覚えがあった。
「小癪な! アダマンタイトの鎧か!」
それはアダマンタイトによる、魔法耐性によるものだ。
かつて同じようにアダマンタイトの全身鎧に身を包み、さらにはアダマンタイトの盾を構え、この砦への突撃を仕掛けてきた人種族がいたのだ。
その時はあらゆる魔法が、あの鎧と盾に防がれ、肝が冷えたものだ。
だが最後のあがきと広範囲魔法である、炎の波を発動したところ、思わぬ事態が起こったのだ。
炎の波は広範囲に火災を巻き起こし、さらに火災旋風を巻き起こす魔法だが、その先の効果があったのだ。
魔術による炎が通用しないはずの、アダマンタイトの鎧と盾に身を包んだ人種族たちが、次々と倒れ始めたのだ。
某はそれを毒の効果であると判断した。
その毒の効果はいまだ未知のものであるが、検証の結果、炎とともに発生する毒ではないかという結論に達した。
即効性の毒ではないようだが、重厚な鎧をまとい鈍重となり、その炎の海からは逃れられない奴らを殺しきるには十分な効果であると言えよう。
「炎の波!!」
詠唱を終えた某は、大男がいる場所に向けて炎の波を発動する。
勝った! 性懲りもなくアダマンタイトなど着こみおって・・・・!
だがその時某はわが目を疑った・・・・。
ヨッシー視点~
「うわ! 火災発生!」
オレは足元から火の手が上がるや否や、息を止め、砦の上空に向けて飛び立つ。
あの距離ならばわずか数秒で、砦の上空に到達することだろう。
爆発の魔法には怯みもしなかったこの黒金のゴーレムも、火災から発生する一酸化炭素までは防いでくれないからね。
ゴゴォウ!! ブバアアア!!
その直後足元で激しい火災が巻き起こった。
三魔将炎のギエン視点~
「な・・・何なのだあいつは・・・・?」
その時某は我が目を疑った。
先ほどまで地を走っていた鎧の大男が、異常なまでの跳躍で飛び上がり、今まさに砦の上空にいるのだ。
あれは本当に人種族であるのか・・・・?
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