表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/180

13:開戦


「魔王軍が動き出しました!」



 あれから数日後、ついに魔王軍の進行が始まった。


 こんなこともあろうと、オレの従者三人には、魔剣や魔道具をわたしておいた。


 アーノルドには土と風の魔銃を渡した。

 彼は投擲などを得意としているので、飛び道具の命中精度が高いのだ。

 また移動用に、浮遊バイクを渡しておいた。


 これによりアーノルドの戦闘能力は、飛躍的に向上したようだ。



「姫より預かりし魔道具・・・大切に使わせていただきます!」



 アーノルドは恭しく騎士の礼をすると、オレにそう告げた。


 ゴンツには前に渡した収納可能な大盾はもちろん、ミスリル製の軽い槍を渡してある。

 なお彼の移動用には、浮遊移動するための設置型の靴のパーツを貸し出した。


 軽いミスリル製の槍はもちろんだが、浮遊移動を可能にしたことで、ゴンツの移動速度は格段に向上し、それが戦闘能力の向上につながったようだ。



「この魔道具たちがあれば、俺も姫に後れをとりませんよ!」



 ゴンツは自信ありげに胸を逸らし、オレの前でそう告げた。


 パナメラにはレイピア型の、風の魔剣を渡しておいた。

 この魔剣は柄頭の部分に装着された魔石に魔力をこめることで、風の刃を飛ばすことが可能だ。

 またその魔剣そのものがミスリル製なので、自前のレイピアよりも格段に軽いようだ。

 しかも魔術師の杖のような性能もあり、魔剣に魔力を蓄積させることで、自らの魔力を上乗せすることも可能だ。


 なおパナメラも希望したので、浮遊移動するための靴のパーツを与えてある。



「この魔剣、王家の聖剣アルゲースに匹敵するんじゃないですか?」



 パナメラはオレの渡したレイピアを、まじまじと見ながらそう告げた。


 まああの聖剣アルゲースも風の刃を飛ばせるし、同じような機能ついていると言えなくもない。

 ただ聖剣アルゲースと違い、その魔剣には、雷撃を放つ機能はついていないがね。


 あの性能と同じものを付与できなくはないが、それをしてしまうと後が面倒そうだ。


 そんなわけでオレたちの戦闘能力は、抜きんでてしまったために、遊撃部隊として行動するように命令を受けている。


 まあ悪く言えばオレたちは、他の部隊との足並みが揃えられないとも言える。



「敵軍は6000! オークとインプの混成部隊です! また大将と見られる魔人の周辺に、ジャイアントが三体目撃されています!」



 オークは豚の頭部をもつ怪力の魔物だ。対してインプはやせ型だが魔法が得意と聞いている。

 いずれも大群となると、かなり厄介な相手となる。

 ジャイアントは五メートルほどの身長で、見た目通りの怪力であるという。

 その戦闘能力は、単体であっても非常に高いようだ。


 魔人は魔物を使役し、魔法も近接戦闘もこなす、なんでもありの存在だ。

 あのコロンほどの戦闘能力があるとすれば、かなり危険な存在になるだろう。


 現在オレたちは敵の魔族を迎え撃つために、砦からかなり離れた荒野まで来ている。

 その数は兵士が10000で、騎士が500といったところだ。


 戦力的には数ではこちらが勝るが、こちらが劣勢のようだ。

 それはこちらの戦力の大半を占める兵士の戦力が、オークやインプにかなり劣るからだ。


 オークやインプは騎士並みの、戦闘力を有しているそうだ。 



「ふむ・・・・。大将の魔人の身長が異常だね」



 双眼鏡で確認すると、大将の魔人の身長は、ジャイアントに匹敵するほどだ。

 肌は黒々としており、相撲取りのような体系で、頭に一角の角がある。

 魔人というよりはまるでオーガのような奴だ。



「それは遠見の筒か? 変わった形をしておるな? それもアーティファクトなのか?」


「まあそんなところです」


「しかし貴様は遊撃部隊なのだ。わざわざ吾輩の側にいなくていいのだぞ?」



 オレが現在いるのは、プロスペール辺境伯がいる、部隊の一番中心であり先頭である。

 その後方には多くの部隊が、突撃の命令を待ち構えているのだ。 



「ここが一番安全そうですので」


「「姫!!」」



 従者たち三人はそんなオレに呆れるが、先制攻撃を仕掛けるならこの位置が最適だろう。



「巨大な鉄球発動!!」


 ズズズ~ン!!!


「む!? 何だ!?」



 オレが巨大な鉄球を発動させると、10メートル先に直径三メートルほどの、巨大な鉄球が落下してくる。



「いけ!!」


 ドドドドド~ン!!



 オレが命令すると巨大な鉄球は、敵の魔物の群れに向けて勢いよく転がっていった。



「鉄球が敵大将を直撃! 跳ね飛ばしました! 鉄球はなおも魔物たちを跳ね飛ばしながら前進中です!」



 あの大将の魔人はよほど力に自信があったのだろうか?


 あの巨大な鉄球を受け止めようとして、跳ね飛ばされやがった。

 以前オークの集落で発動した大岩なら、破壊された可能性もあるが、あの鉄球はオークジェネラル級に対抗するために造った鉄球だ。簡単には受け止められられないだろう。


 あわよくばあの大将の魔人が、あれでお亡くなりになっていてくれればいいのだがな。


 その後鉄球をジグザグに移動させ、結構な被害を出した後に回収した。

 まあまあな先制攻撃ではなかっただろうか?



「ヨッシー・・・・。今のは何だ?」


「魔法による先制攻撃です。けっこう自信はあったんですが、駄目でしたか?」


「駄目ではないが・・・・。ああいった魔法を使う時は、吾輩に進言してくれ。いきなりあの規模の物を放つと皆が驚く」


「はあ・・・・」



 後ろを振り向くと、騎士や兵士の皆さんが唖然とした様子で、突っ立っていた。

 なるほど。こういうことですか・・・・。



「敵大将健在! 立ち上がりました!」


「なるほど・・・・。やはりそう簡単にはいかぬか・・・」



 大将の魔人を見ると、頭から血を流しダメージを受けているように見える。

 敵軍も混乱状態のようだし、攻めるなら今ではないだろうか?



「それじゃあ皆いきますよ!」


「「は!」」



 オレたちは遊撃隊なので、その行動も個々の判断にゆだねられているのだ。

 オレは現在の状況を好機と見て、突撃を開始したのだ。



「ヨッシーに後れをとるな!! 全軍突撃を開始せよ!!」


「「わああああああ!!」」



 そして混乱する魔王軍に向けて、プロスペール辺境伯が全軍に突撃を命じる。

 こうしてプロスペール辺境伯軍と、魔王軍との戦いが

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


 《ブックマーク》 と


 評価★★★★★を

 

 お願いします。

 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

 感想、レビューもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ