表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/180

06:晩餐会の料理


「せっかくヨッシーがこの街に帰ったんだ。今日はブラハム家もよんで晩餐会といこう」



 その日オレたちはトムおじさんの屋敷に泊まることになり、談話室で色々と話が盛り上がっているところだ。

 現在は今日の夕食の話になり、そこから晩餐会の話となった。



「いいですね。それじゃあお世話になった皆さんに感謝もかねて、晩餐会の料理はオレが用意しますよ」


「お前がか? あの力を使うのはほどほどにしておけよ・・・・」


「今はポイントにも余裕があるんですよ」



 トムおじさんの言う力とは、オレのスマホのポイントのことだろう。

 このポイントは通販ショップでの買い物や、アプリを使って何か造るのに必要となる。


 最近魔石をポイントに変換する方法がわかり、魔物狩りなどで得ていた魔石で、ポイントもかなり潤ってきているのだ。


 それにエミソタのダンジョンで得た、大量のポイントもまだ残っているしね。


 ちなみに魔石はスマホの3D制作アプリ、メタセコでも作ることは出来るが、魔石を作るにはけっこうポイントを消費する上に、ポイントに変えても結果はプラスマイナスゼロになるので、得策ではない。気軽にエネルギーを得る手段ではあるがね。



「お付きの方々、お部屋にご案内します」


「フロランスお嬢さまはこれから礼儀作法のお勉強ですよ」


「ええやだ! ヨッシーと遊びたい!」


「それはお勉強が済んだ後です!」



 他の三人は各自の部屋に案内され、フランちゃんはこれから礼儀作法の勉強のようだ。

 オレは晩餐会の料理を提案するために、トムおじさんと厨房を目指す。



「久しぶりだねヨッシー。今日も晩飯をたかりにきたのかい?」



 厨房に入ると、料理担当の使用人、ベリンダおばさんが声を掛けてきた。

 まあ屋敷に招かれたときはいつもただ飯をご馳走になっていたし、たかりと言われても否定できないが・・・・。



「人聞きが悪いですよベリンダおばさん。それに今日はオレが料理を用意するんですよ」



 オレは得意げに胸を逸らせながらそう言った。



「生意気になって! あんたお貴族さまになったんだって!?」


 パシ!


「いて!」



 そんなオレの背中を、ベリンダおばさんが叩いてくる。



「止めてくださいよ! オレの背中はデリケートなんです!」


「ははは! よせよせ。今ではヨッシーも男爵さまだぞ」


「はいはい・・・。で? 何を作る気だい? あんたの料理が美味いのは各所で耳にしているけど・・・。正直本当にあんたみたいな小さな子供が料理を作れるとは、あたしは思えないんだけどね」



 どうやらベリンダおばさんは、オレの料理の噂は聞いているようだが、オレの料理の実力については信じていないようだ。

 まあ確かにオレは出来合いの物や、ソースを通販ショップで購入して、解凍や簡単な料理をするだけで、正直料理が得意とは言えない。



「まあオレの料理は魔法の料理で色々特殊ですからね・・・」


「ほう!? じゃあその魔法の料理とやらを、ぜひ見せてもらおうじゃないかい!?」



 オレはさっそく通販ショップにアクセスして、料理を検索する。

 今回はこの国では、珍しい料理がいいだろう。


 なら今回はあれにしよう・・・・


 オレは中華料理7種セットと、10種セットを購入した。

 

 とりあえず本番にはこの2つが、もう10セットは必要だろうか?

 合計10万ポイントほど消費するが、今のオレには大したポイントではない。


 中華料理7種セットの方は、肉まん、あんまん、エビニラ焼まん、ギョウザ、小籠包、シュウマイ、エビシュウマイを含む、点心料理のセットだ。


 中華料理10種セットは、肉団子の甘酢あんかけ、中華丼の具、中華スープ、麻婆春雨、鶏の唐揚げ、ナスの味噌炒め、かに玉、カニ身あんかけ、サンラータン、鶏つくねの旨煮あんかけなど主に点心以外のセットだ。


 どれも冷凍だが10分も湯煎すれば完成する、簡単料理だ。

 電子レンジがあれば使いたいところだが、今回はベリンダおばさんにもわかりやすい湯煎がいいだろう。



 ドサ!


「ひえ!? 何だい!?」



 オレが商品を購入すると、通販ショップの箱が降って来て、その音にベリンダおばさんが怯えたような声を出す。

 このおばさん威勢はいいが、本質はビビリなのだ。



「ほう? ヨッシーはそうやって欲しいものを呼び出していたのだな?」



 おや? トムおじさんにはオレの力について、話してはいたと思ったが、使うのを見せるのは初めてだっただろうか?



「とりあえず箱を開けますね」



 オレは箱を開けると、中から中華セットを取り出していく。



「何だい!? これ全部凍っているのかい!?」


「ええ。その方が長持ちするんですよ」


「でもこんなにカチカチで、どうやってもとに戻すんだい?」


「ちょっとの間湯煎すれば、どれも美味しく食べられますよ」



 この異世界には面倒なことに、時間を示す言葉が乏しい。

 小半刻である30分が最小単位なのだ。

 なので時間の感覚についてはとてもアバウトと言える。

 ちょっとの間は10~15分くらいと考えられる。



「ええ!? そんなに短くていいのかい!?」



 オレはそう言いつつもすでに火がついている、厨房の(かまど)の上に鍋を置いて、ドボドボと水を入れていく。

 この水はもちろんスマホのアプリで造った仕掛けで出している。

 この水はある条件を満たすと、オレの指から出てくる仕様になっているのだ。


 それははたから見ると、オレが魔法を使い、指から水を出しているかのように見えるだろう。


 

「あんた本当に魔術師さまだったんだね・・・」



 ベリンダおばさんは、怪訝な顔をしながらそう言った。

 そして砂時計で時間を測りながら、順番に湯煎していく。

 もちろんこの砂時計はオレが以前通販ショップで購入したものだ。

 この辺りには砂時計は売っていないからね。



「できました。食べてみましょう」



 一度にいくつか解凍し、出来たものを皿に移して並べていく。

 それぞれが熱々で、美味しそうな匂いを漂わせている。


「う~ん!! これ大変美味しいですよ旦那さま!!」



 さっそく肉まんを味見したベリンダおばさんが、うなりながらそう答えた。



「むぐむぐ・・・確かに美味いな。これならブラハムのやつも驚くだろう」


「あんた本当に料理が上手だったんだね!」



 オレがその料理を作ったわけではないが、ベリンダおばさんはそう解釈したようだ。

 中華料理を作った料理人の皆さんには申し訳ないが、どう説明すべきか悩むので、黙ってうなずいておくことにする。むぐむぐ・・・肉まん美味しい!!

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


 《ブックマーク》 と


 評価★★★★★を

 

 お願いします。

 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

 感想、レビューもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >ちなみに魔石はスマホの3D制作アプリ、メタセコでも作ることは出来るが、魔石を作るにはけっこうポイントを消費する上に、ポイントに変えても結果はプラスマイナスゼロになるので、得策ではない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ