04:盗賊との遭遇
「姫は強いと聞きますが、いったいどんな戦い方をされるのですか? その体型から魔術師ではないかと思うのですが・・・・」
昼食も終わり片づけを終えて、再びキャンピングカーに乗り込むと、オレたちは再び目的地を目指した。
そんなおり出た質問がそれだ。
オレの戦闘はほとんどスマホだよりで、魔法使いっぽいと言えばそうなのだろうか?
「え・・・ええ、まあ。そんな感じです」
オレは言葉を濁しつつ肯定しておく。
まさかスマホで戦っていますと言っても、意味不明だろうからね。
「貴方たちはどうなんです? こうして特殊任務に参加するということは、それなりには強いんじゃないですか?」
これ以上聞かれても答えにくいので、会話を違う方向にもっていくことにする。
「そうですね。戦う機会でもあればお見せできるのですが・・・・」
そんな言葉がフラグになったのか、前方に怪しげな武装集団が立ちふさがった。
「前方に盗賊です! 数は二十!」
どうやらオレたちは盗賊に遭遇してしまったようだ。
「その何だ? 馬車じゃねえな・・・・白いのを止めろ!!」
盗賊たちは武器を抜きつつキャンピングカーの前に立ちふさがると、オレたちの行く先を阻みながらそう告げてきたのだ。
「相手はあの人数ですけど、皆大丈夫ですか?」
「盗賊ごときに遅れはとりませんよ!」
「有象無象の集団など、蹴散らしてくれましょう!」
「姫はこの中に・・・我々だけで肩を付けますから」
この人数差でも全く物おじしないところを見ると、三人はよほどの手練れなのかもしれない。
「心配にはおよびませんよ。これでもオレはAランク冒険者ですから・・・・」
そう言いつつ外に出ていく皆の最後尾に続く。
「女とその乗り物は置いて行け! それ以外は見逃してやろう!」
盗賊は下卑た笑みを浮かべつつ、オレたちにそう言い放つ。
「寝言は寝て言え!!」
アーノルドが盗賊たちを煽るような返事をする。
「いい度胸だ・・・」
その言葉を聞いた盗賊の頭が、舌なめずりしている。
「正直俺は大きな盾でもあった方が戦いやすいんだがな・・・・」
ゴンツはそう言いつつ、ショートソードを抜いた。
どうやらゴンツは、盾があった方が戦いやすいようだ。
なら確かいいものがあったはずだ。
「ゴンツ! これを使ってください!」
「何です?」
ゴンツはオレがその小さなアクセサリーを投げつけると、片手で受け取った。
「おおすごい!! 大盾になったぞ!!」
それはボタン一つで、大きなタワーシールドになるアクセサリーなのだ。
作ったはいいがオレには使いにくく、死蔵していた一品だ。
「ちっ! 妙な魔道具を使うようだが問題ねえ! 逆らうようだから皆やっちまえ!」
こうしてオレたち四人と盗賊二十人の戦端は切って落とされた。
「うわああ!!」「ぎゃあああ!!」「ぐは!!」
「そんな隙だらけだと全員まとめて斬り伏せちゃいますよ!!」
瞬時に盗賊に接近し、一度に三人も斬りつけたのはパナメラだ。
パナメラはレイピアを愛用しているようだ。
彼女の身体強化も伊達ではないようだ。
「おらあああ!!」
「「ぎゃあああ!!」」
大盾を前方に構え、数人まとめて突き飛ばしたのはゴンツだ。
彼は力任せに、盾を使いタックルを繰り出すのが得意なのだろう。
「ふん! はあ!」
アーノルドは短剣を二刀流に構え、投げたり斬りつけたりしながら攻撃している。
短剣は懐に隠しているようで、投げてなくしても次のを即時補充していた。
彼は見た目通り斥候のような戦い方のようだ。
「この!! あのガキを人質にとれ!!」
「承知しやした!!」
不利と悟ったのか盗賊の頭がそう告げると、小男が三人の間を抜け、オレに向けて迫って来た。
「しまった!! 姫が!!」
「問題ありませんよ・・・・」
「この! 大人しく・・・・おう?」
小男はオレを捕まえようとして、何かに阻まれ困惑顔だ。
オレは小男が迫って来た時に、オレの前方に見えない壁を展開していたのだ。
この見えない壁は鉄で出来ており、スマホのアプリ「メタセコ」で見えないように加工してある。
ちなみにこの鉄の壁は、オレの側からは薄く青色に見えている。
オレが見えないでこの壁にぶつかったら本末転倒だ。
「アイアンアーム起動!!」
オレはアイアンアームを起動すると、困惑して止まっている小男を摘まみ上げる。
アイアンアームは二メートルもある、鉄のゴーレムの肩腕だ。
「ひっ! ひいいい!!」
摘まみ上げられた小男は、怯えて大暴れするが、アイアンアームはピクリとも動かない。
「でかい!!」
「あれが姫の鉄の腕か!?」
「ほらよ!!」
「ぎゃあああ!!」
オレは小男をそのまま、盗賊の固まっている辺りに投げつけた。
「「うわあああ!」」
すると小男が数人の盗賊に命中し、まとめて吹き飛んでいく。
「まずいですぜお頭!! あれは鉄腕ヨッシーだ!!」
「あんな化け物がなんでこんな場所に!! 退け!! 退けええ!!」
盗賊は蜘蛛の子を散らすように、方々に逃走をはかった。
どうやらオレのことは、盗賊にも知れ渡っているようだ。
「さすがは姫ですね・・・・。おかげで無駄な戦闘は避けられましたが・・・・」
「Aランク冒険者は伊達じゃないということですね・・・」
「・・・・」
三人はなにやら不満顔で、武器をしまい込んでいく。
どうやら三人は、戦い足りなかったようだ。
彼らはバトルジャンキーなのだろう。
「姫この大盾は?」
アーノルドは先ほど渡した盾についてオレに聞いてきた。
「盾のこの辺りを押すと再び小さくなるんですよ」
ガチャン!
オレが盾の裏側にあるスイッチを押すと、大盾は再び小さなアクセサリーに戻った。
これはオレが造った魔道具で、持ち運びしやすい大盾なのだ。
「すごい魔道具ですね・・・・」
「しばらく預けますよ」
「ずる~い!! 私には何もないんですか!?」
パナメラがそんなオレたちを見て、頬を膨らませながらそう言ってくる。
「パナメラにはその愛剣があれば十分でしょ?」
パナメラは今腰に帯剣しているレイピアで、十分に無双していたし、正直パナメラにとってあれ以上の武器となると思い浮かばない。
パナメラは魔力もあるようだし、ミスリル製のレイピアとかならいいのか?
戦闘を終えると再びオレたちは、キャンピングカーに乗り込み走り出す。
「おお! もう街が見えてきましたよ!」
「本当だ!! はや~い!!」
すると前方にラベナイの街が見えてきた。
オレは久々にラベナイの街に行き、お世話になった人たちに会う予定なのだ。
トムおじさんやフランちゃんは、元気にしているだろうか?
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