31:南砦にて・・・
遡ること数時間前。オレたちは南砦に到着していた。
レーティシア姫はスレイプニールに跨がり、その護衛としてベルトランが馬に跨り周囲を警戒する。
その後ろからオベールさん他三人が、浮遊バイクでついて行くのだ。
さらにその後ろには、鉄のゴーレムを起動したオレが、肩にコロンを乗せて歩いている。
斥候のカンタンさんは、オレの横で徒歩で歩いている。
そんなオレたちを出迎えたのは、兵士を引き連れたトムおじさんだった。
「バートム伯爵。ただいま帰還しました」
「おかえりなさいませ姫様。壮健な様子でなによりでございます」
まずはレーティシア姫と出迎えに出てきた、トムおじさんが挨拶を交わす。
「戦況はどうですか、バートム伯爵?」
「今のところ敵に動きはありません。南砦の正面を占拠されてはおりますが・・・・」
「ならばすぐに表に出て、敵の兵士によびかけます!」
そう言うとレーティシア姫はスレイプニールに跨り、南砦の南門を開け、敵の軍勢の正面に出ていく。
オレたちもそれに付き従うように、ついていった。
どうやらレーティシア姫は、さっそく敵の兵士の前に出て、自らの王位継承権の正当性を訴えかけるようだ。
「我が名はレイティシア・ルエパラ!! 聖剣アルゲースを受け継ぎし者なり!! 我こそは正当な王位継承者である!!」
ゴロゴロ!! ピッシャアアアン!!
こうして雷撃剣を放ったレイティシア姫は、オレの購入した拡声器を使って、第一王子とパーシヴァル伯爵の率いる軍勢と思われる兵士たちにそう呼びかけたのだ。
第三人称視点~
「馬鹿な!! 雷撃魔法だと!?」
「スレイプニールのような馬も見えるぞ! それにあれは聖剣アルゲースか!?」
南砦の前に雷が放たれ、第一王子とパーシヴァル伯爵は驚愕の目で、その雷撃を放ったと思われる者を見た。
「あれはレーティシア姫様だ!!」
「では姫様は正式な王位継承権を獲得されたのか!?」
そんな中ついにある人物が動き出した。
「我らは姫様につくぞ!! アルベリヒ第一王子に王としての資格はない!!」
「そうだ! 我らも姫様につくぞ!」
「それなら我らもだ!」
バルテルミ騎士団長がそう声を上げると、次々にアルベリヒ第一王子とパーシヴァル伯爵についていた貴族が、寝返り始めたのだ。
すると第一王子とパーシヴァル伯爵の率いていた軍勢は、たちまちのうちに大混乱に陥る。
多くの味方が敵に回ったために、収拾がつかない状態となってしまったのだ。
「王子! ここは引きましょう!」
「お前たち! 私の盾となれ! 私をこの場から逃がすのだ!」
するとアルベリヒ第一王子とパーシヴァル伯爵は、あれよあれよとその場からの撤退を始めた。
ヨッシー視点~
「あああ! 馬鹿王子が逃げ出した!」
オレが双眼鏡で馬鹿王子を見張っていると、なんと馬鹿王子は混乱に乗じて逃げ出そうとしていたのだ。
「不敬ですよヨッシー・・・」
あんなでも王族だから、悪口を言うと不敬にあたるようだ。
「コロン! 飛ぶからしっかりつかまってね!」
「おう!!」
オレは鉄のゴーレムを飛び立たせると、逃げ出す馬鹿王子のところへ飛んでいった。
第三者視点~
ガチャン!!
「今度はなんだ!?」
鉄の落ちるような音がして、アルベリヒ第一王子とパーシヴァル伯爵はそちらに目を向ける。
「お初にお目にかかります。オレがヨッシーです」
すると二人の目の前には、魔族の少女を肩に乗せた、巨大なごつい、アイアンゴーレムがいたのだ。
「お前が・・・・ヨッシーか・・・・噂以上に巨体なのだな・・・」
アルベリヒ第一王子とパーシヴァル伯爵は、その巨大なアイアンゴーレムを見て、顔が青ざめていく。
「失礼ですが、お二人にはこれから人質になっていただきます・・・」
「「ひいいいいい!!!」」
アイアンゴーレムは二人に手を伸ばすと、その大きな手で掴み取り、頭上に掲げた。
「王子と伯爵の命が欲しけりゃあ、全員武器を捨てろ!!」
そしてコロンが畳みかけるように、魔力を乗せた声で、威圧するように周囲にそう叫んだのだ。
「終わりだ・・・」
「あんな化け物相手じゃ勝ち目がねえ・・・・」
すると恐怖で戦意を失った兵士たちは、次々と武器を捨てていった。
ヨッシー視点~
「ヨッシーとコロンと言ったか? 頼む・・・儂を逃がしてくれたら、儂の息子と結婚させてやるぞ! 一般人であるお前たちが、貴族と身内になれるなんて願ってもないことだろう!?」
するとパーシヴァル伯爵はそんなことを言いながら、みっともなくあがき始めた。
「うえ・・・!」
前世のオレは男だったせいか、その話を聞いて気分が悪くなる。
「三男なんてどうじゃ!? あれでもあ奴は騎士なのだ!? 騎士は女どもの憧れじゃろう!?」
「ひっ!!」
するとその言葉を聞いたのか、何処からか男の悲鳴が聞こえてくる。
見るとそこには以前野営地で閉じ込めた、例のいけ好かない騎士がいた。
お前かその三男は!! こっちだって願い下げだ!!
「もう五月蠅いので黙っていてくれますか?」
「ぎゃあああ! 苦しい! 潰れる!」
そんなパーシヴァル伯爵を、オレは少し強く握りこんで差し上げた。
するとさすがに答えたようで、パーシヴァル伯爵も大人しくなった。
こうして第一王子とパーシヴァル伯爵の強行は、あっという間に鎮圧されたのであった。
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