16:エミソヤのダンジョン
更新が遅れてしまい申し訳ありません。
エミソヤのダンジョンの前には多くの冒険者が列をつくって、ダンジョンに入るための手続きの順番を待っていた。
エミソヤのダンジョンには、B級冒険者以上のメンバーがいないと、入ることはできない。
また、たとえB級以上の冒険者がいても、D級以下であれば入ることはできないのだ。
このダンジョン前にはそれを知らない冒険者も並んでいて、長蛇の列となっているが、ダンジョンに入るまでに100人くらいまでなるという話だった。
「お嬢ちゃん歳はいくつ? このダンジョンにはD級以上の冒険者じゃないと、入れないのは知っているかな?」
オレたちの受付の番になると、そう言って受付のお姉さんに止められた。
「知っています。ほら。オレD級ですので」
「うそ? お嬢ちゃんがD級冒険者ですって?」
受付のお姉さんがオレの冒険者ランク証を見て、信じられないようで、リーダーであるB級冒険者のオベールさんの顔を、確認するように見る。
「間違いない。そいつは鉄腕ヨッシーといって、今話題のルーキーなんだ」
「・・・・!!」
オベールさんのその言葉を信じたのか、受付のお姉さんが驚愕で言葉を失う。
オレたちはそのまま受付を通過して、エミソヤのダンジョンに足を踏み入れた。
エミソヤのダンジョンの入り口付近は、木材で補強され、地下へと通じる階段がついている。
階段といっても、木材と土で固めた簡素なものだ。
階段を降りると、ダンジョンの第一階層に到着する。
ダンジョンの第一階層は、岩壁で出来ていて、植物の蔓がびっしりとはっている。
地面は土で出来ていて、草も生えている。
天井には光を放つクリスタルが無造作に生えていて、ダンジョンの中を明るく照らしている。
見ると壁際にも、ちょこちょこと光るクリスタルが生えていた。
まるでLED電球のように光るそのクリスタルは、とても幻想的に見えた。
「あれはサンクリスタルだ。どこからか太陽の光を吸収して、光を発しているらしい。そのためか夜になると、このダンジョンも暗くなるんだ」
「あのクリスタルには、どのくらいの価値があるんですか?」
この異世界の明かりは、ロウソクなどが一般的だ。
夜には使えないとしても、これほどの明かりならば、密室や地下、薄暗い部屋などで活用できるし、それなりに高価なものではないだろうか?
「サンクリスタルは国の財産とされているから、不用意に採掘すれば、罪に問われることになる。
それにダンジョンの外に出すと、黒ずんできて、最終的には価値のない石になりさがるんだ」
ただの石になる上に、採掘すれば罪に問われるなら、採掘するメリットは何もない。
採掘してメタセコの素材にできたりしないかと思ったが、石になるならその価値もないだろう。
ちなみにスマホに入れた石や木材などの素材は、メタセコの素材として追加されることがあるのだ。
現在までに石灰石や玄武岩、銅や銀などが追加されているが、今のところ使う機会はない。
いずれも電池消費量やポイントが高すぎるのだ。
これは素材の価値に比例していると思われるが、詳しいことはわかっていない。
また金貨をスマホに入れて、金も素材にしようと思ったが、なぜか金は素材に追加されなかった。
他にも飴玉や岩塩も素材として、加えることは出来なかった。
今のところこの素材追加にも、どのような条件があるのか、明確にはわかっていない。
ダンジョン入り口付近は広いホールになっていて、そこに100人くらいの冒険者がひしめいている。
先に通じる通路も12ヵ所はあり、目的に応じて冒険者の行き先は変わるようだ。
「一番左の通路の先頭で、戦闘が開始されたようだな・・・」
オベールさんが指し示す方を見ると、10人ほどの冒険者が、キノコに手足が生えたような魔物3体を、よってたかって攻撃しているのが見えた。
「あれはマッシュルームマンだ。噛んだり殴ったりして攻撃してくるが、たいして強くもない」
弱い敵をあの人数でとか思ったが、やはり安全を考えると、ああいった戦い方がいいのかもしれない。
「俺たちが向かうのは、左から三番目の通路だ」
さっそくオレたちは、オベールさんの指し示す通路に向かった。
通路を先に進むと、木々が生い茂る開けた場所に出てきた。
そこまで来ると冒険者は、オレたちだけとなった。
「上から降ってくるビッグリーチに気を付けろ・・・」
ダンジョンの天井を見ると、巨大な蛭の魔物が、うねうねと無数に張り付いているのが見えた。
「うえ・・・!」
それを見たオレは、気持ち悪さを感じた。
ブ~ン・・・!
「気を引き締めろ! 向こうからも魔物がくるぞ!」
オベールさんが指さす先には、体長60センチメートルになろう、巨大な蜂が複数飛んでいた。
「あれはダンジョンビーだ! ここらでは弱い部類に入る魔物だぞ!
コロン! ベルトラン! お前らで対処しろ!」
「おう!」「はい!」
どうやらここは低ランクに経験を積ませるために、魔物の相手を譲るつもりのようだ。
ズパ! パサン!
「コロンはさすがだな! 百発百中じゃないか!」
コロンの槍は、次々とやってくるダンジョンビーを、確実に突き刺し倒している。
「ちっ! 当たらね~!!」
一方ベルトランの攻撃は、まったく当たる気配もない。
ようやく倒したのが、六発目に、やややけくそ気味に放った袈裟蹴りだ。
「はあ・・・はあ・・・やっと倒したぜ・・・」
「情けないぞベルトラン! あれくらい一撃で仕留めろ!」
そんなベルトランを、オベールさんが叱りつける。
「もう一体ダンジョンビーが飛んでくるな・・・ヨッシー。お前もやってみるか?」
「う~ん・・・オレは基本運動音痴だし、大ぶりなアイアンアームで、あの素早い蜂にどこまでやれるかはわからないけど・・・」
ガチャン!
そう言いつつオレも右のアイアンアームを起動して、ダンジョンビーへの挑戦を主張する。
「おお! やる気だなヨッシー!」
ブ~ン! ブオ~ン!
やはり大ぶりなアイアンアームの攻撃では、素早いダンジョンビーには躱されてしまう。
「おい! ヨッシー危険だ! ダンジョンビーが反撃に転じようとしているぞ!」
ダンジョンビーは空振りばかりのオレの攻撃を掻い潜り、お尻の針で攻撃してくる。
バキン!!
「きゅ!!」
ところがダンジョンビーは、見えない壁に激突し、動きを止めてしまった。
これはオレが前もって起動しておいた、見えない壁だ。
この見えない壁は、以前宿屋に押し入った男たち三人に、使用した壁と同じ物だ。
ダンジョンビーはその壁に衝突し、ダメージで動きを止める。
ぐしゃ!!
「ぐえ~・・・潰しちゃった・・・」
そんな隙だらけのダンジョンビーを、横から拳で殴りつけると、アイアンアームの拳に、張り付く感じでつぶれてしまったのだ。
「ヨッシーはパワーはあるが、戦闘経験が少なすぎるな・・・・」
まあ冒険者になって、数ヶ月の初心者のオレはこんなものだろう。
その日はあまり奥へは進まず、ダンジョンビーや、落下してくるビッグリーチを倒したりした。
初日なのでダンジョンに慣れるために、あまり強い魔物が出ない辺りを、探索して周るそうだ。
「次回はこの先の、トレントなどの強敵が出る辺りに行ってみよう」
その日は昼になるまでに探索を終了した。
ちなみにビッグリーチは漢方薬の材料として使われるようで、それなりの価値がある。
またダンジョンビーは食用としての価値があるようだ。
まあそのどちらもオレは、口にするのは御免だが・・・・。
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