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06:魔力枯渇



「はっ!! 今何時だ!?」


「何時とは何だ?」



 オレが目を覚ますと、すぐ横にコロンがいた。

 そして洞窟から外を見ると、外は赤く染まっていた。



「え? 朝?」


「違う。夕方だ」



 夕方? つまりオレは、昨日の夜から翌日の夕方まで、熟睡していたことになる。

 いったいなぜこんな時間まで、目が覚めなかったのだろうか?



「いくらゆすっても声をかけても起きないし、どうしたかと思って心配したぞ?」


「そうだ!! スマホの電池残量!!」



 昨日意識を失う前に、スマホの電池残量が0%になったのを思い出したのだ。

 ところがスマホを付けてみると、電池残量は50%に回復していた。


 オレが寝ている間に、スマホが自動で充電されたのか? 


 それは便利ではあるが、何故オレは昨日スマホの電池残量が0%という衝撃的な状況で、寝コケてしまっていたのか?



「魔力枯渇だな・・・」



 コロンはオレを見ながら、唐突にそう告げた。



「魔力を使いすぎて枯渇すると、意識を失って、だいたい翌日までは目が覚めないんだ」



 オレは魔法なんて使えない。だから魔力枯渇なんて考えられないと思ったのだが、ふと右手にある、不思議スマホに目を落とす。



「まさかこいつを使いすぎたせいか?」


「だろうな・・・」



 コロンがそのオレの言葉に頷づく。



「ギフト・アーティファクトは魔力を食うんだ。気を付けて使わないと危ないんだぞ!」


「あいて!」



 そんなオレの頭に、コロンは軽くチョップをかました。

 その心配そうなコロンの顔を見て、少し後ろめたい気持ちになる。



 ぐうぅぅぅ~


「あ、お腹空いた。そういえば朝から食べてなかった!」



 コロンはオレを心配して、飯も食わずに見ていてくれたんだな・・・・。


 せめてもの罪滅ぼしに、オレは訳アリタレ付きミートボール1キロを購入して、お湯で湯煎解凍して、コロンにご馳走してあげた。

 698円と値段はお得だったけどね。



 残りポイント:40667



「がつがつ!! 何この肉柔らかい! めちゃ美味!」


「むぐむぐ・・・初めからタレが付いているからお手軽だね!」



 オレは4個でお腹いっぱいになったけど、コロンは40個くらいを完食しやがったよ。



「あんなことがあった後だし、今日はスマホは消して寝るよ」


「ああそうしろ」



 スマホが示す時間は、電源をおとす前には19時となっていたから、前世基準でいえば寝るには早い時間だ。

 しかし外は真っ暗で、明かりは現在焚火の光のみとなっている。

 スマホを消したらやることはもうない。


 コロンは相変わらず地面に寝そべっているが、オレはサバイバルアルミブランケットに包まる。

 これが温かいのは勿論、見た目以上に居心地が良いのだ。



「洞窟の入口は何時も開けっぴろげだけど、猛獣とか入ってこない?」


「さあな。今のところウルフどころか、ゴブリンも入ってこないぜ」



 ん? ゴブリン? 今不穏な単語を聞いた気がする。

 ゴブリンといえば異世界ラノベの定番モンスターで、集団で人を襲う、あの人型の背の小さい緑の奴らだ。



「えっと・・・ゴブリンっているの? この辺りに?」


「いるな。たまに遭遇するが、ワタシが脅すとすぐに逃げる臆病な奴らだ」


「緑で・・・背が小さくて・・・耳が尖った醜悪な顔の?」


「よく知っているな。だいたいそんな感じだぞ」



 コロンの言うように、本当にゴブリンがいるのなら、この世界は間違いなく異世界ということになる。

 そしてオレは異世界転生をはたしたことになるな。

 それはともかくそんなのがいるとしたら、この洞窟の安全面も心配になってきた。



「まあ安心しろ。ワタシがいる間はワタシの魔力を恐れて、ゴブリンもウルフもここには入って来ないから」



 なるほど・・・。それはそれで、コロンが狩りに出ている間が心配になってきた。

 この先はこの洞窟の安全についても、考えてみた方がいいのかもしれない。






「この扉ヨッシーが造ったのか?」



 翌朝早起きしたオレは、さっそく洞窟の入口に壁を作り、扉を取り付けてみたのだ。

 総額3200円と、費用はそれなりにかかったが、どこかの業者に頼むよりは、安いのかもしれない。

 それにこういった安全対策は必要だ。


 まあこんなスマホが無ければ、どこかの業者に頼む方が、安全なのは確実だけど、この場所にその業者は呼べないだろう。



 残りポイント:37467



「うん。壁の上の方は光が入るように、開けっぴろげにしているけどね」



 この洞窟を完全に壁で塞いだら、昼でも中が真っ暗になってしまうからね。


 扉は引き戸式にしてみた。片開式にすると、扉を開閉させる軸の金具に、ポイントがかかりそうなのだ。

 そのうち余裕があれば、片開式も試してみたいけどね。



「じゃあワタシは狩りに行ってくる」



 小さな木の実をいくつか食べたら、コロンはさっそく狩りに向かった。

 オレはこれから再びスマホの新たな実験を開始するけどね。

 まあ仕事の方はいまだに振り込みもないし、振り込みがあった後に再開してもいいだろう。




 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

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 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

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