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14:ガラの悪そうな男たち

 ドカ~ン!!


「性懲りもなくまだ営業してんのかこのボロ宿は!?」



 その時宿の扉を勢いよく蹴り開け、ガラの悪そうな男が数人乱入してきた。


 現在オレたちはエミソヤの街にある、酒飲みケンチャン亭に宿泊している。

 それはその宿の食堂で、夕食をいただいていたところだった・・・。


 乱入してきた男は三人いて、中央にいるのがリーダーのようで、盗賊のような出で立ちの小男だ。

 それに追従するように、スキンヘッドの男と、髪の毛をバンダナで逆立てた男がいる。

 男たちは下卑た笑みを浮かべ、とても感じが悪い。



「あんたら! またやってきたのかい!?」


「ひぃ~!!」



 それを見て悲鳴を上げるリナちゃん。

 そしてニナおばさんが、リナちゃんをかばうように男たちの前に出る。



「帰りやがれおめえら!」



 そして騒ぎを聞きつけたのか、奥の方から、親父さんが飛び出してきた。

 あの親父さんが、この宿の主人なのだろう。

 親父さんは頭を丸めて、鉢巻をした顎の大きなおじさんだ。

 その親父さんは両手を広げて、ニナおばさんとリナちゃんをかばっている。



「痛い目にあわせてやりな!」


「「おう!!」」



 小男に命じられた二人は、拳をバキバキ言わせながらゆっくりと親父さんに歩み寄る。 



「あいつら食事の最中にうるせえな・・・」



 すると目を赤く光らせたコロンが、怒り心頭でそちらに目を向ける。

 コロンが出ていくと、男たちごと宿も破壊しそうなので、ここはオレが出ていくことにする。



「コロン。ここはまず妹分のオレが行くよ」


「・・・いいけど・・・殺すなよ・・・」



 コロンに殺すなとか、言われたくないけどな。

 なんとかコロンを言いくるめたオレは、男たちのいる宿の入り口に急行する。


 オレはスマホで靴底に板を出すと、その板を操作して浮遊させ、滑るように走り込む。

 


 ビュウ~ン!


「なんだ子供!?」



 そして親父さんと男たちの間に、躍り出るように割り込んでいく。

 それを見た男たちは、驚いて後ろに飛びのく。



「これ以上のおいたは止めないと怪我しますよ?」


「ちょっと! あぶないよ!」


「下がるんだ嬢ちゃん!」



 すると後ろから、オレを心配して止めようとする、ニナおばさんと親父さんの声がしてくる。

 オレは大丈夫と言わんばかりに、笑顔で手を振ってそれに答える。


 

「ガキはすっこんでな!!」



 そしてモヒカン男が、オレに掴みかかろうと突撃してきた。



 ドン!!


「・・・ぶへ!?」



 だがモヒカン男は何かに顔をぶつけて、後ろに仰け反る。



「なにしてやがる!? 早くやっちまえ!」


「いえ・・・前に何か壁があるようで・・・・」



 小男はそんなモヒカン男を急かすが、モヒカン男は打ち付けた鼻をおさえながら、不思議そうにそう言った。



「ふざけてんのかてめえ! そんなわけ・・・」



 そう。オレは男たちの前に、見えない壁を出しているのだ。

 これはメタセコで作った石壁で、何も描いていない透過画像を張り付けて見えなくしているのだ。



「壁前進~」


「な!」「ぐあ!」「げっ!」



 オレが透過した壁に命じると、壁は前進し、男たちを宿の入り口の方へと押していく。

 


「三名様お帰りで~す」



 男たちは壁に押されて、開け放たれていた宿の入り口から、次々と外に押し出されていく。



「いてててて!!」



 だが一人だけ壁と宿の入り口に手を挟まれて、引っかかっているやつがいた。

 まあ初めて使う技だし、初めからそんなに上手くはいかないだろう。



「壁少し後退~」



 オレがそう命じると、壁が少しだけ後退して、男の挟まれた手を開放する。



「ひっ、ひっ~お助け~!!」



 すると男は一目散に宿から出ていった。



「壁解除~」



 オレは壁を解除すると、男たちの様子を見るために、宿の外に出ていく。



「て、てめえ! 魔術師だな!?」



 オレが外に出ると、男たちが待ち受けていて、オレに指さしながらそう尋ねて来た。


 見ると男が一人増えているようだ。

 その男は初めから外に、待たせていたのかもしれない。


 

「ボブ! やっちまえ!」


「うっす!」



 その男は身長が二メートルはあるような巨漢で、腹も出ていて太っている。

 腕も太く、怪力であることが窺える。

 その巨漢がオレに向けて、バキバキと拳をならし、ゆっくりと歩き、距離をつめてくる。



「ひねり潰してやるぜチビ!」


「チビで悪かったな・・・鉄のゴーレム起動!」


 ガチャン!!



 掛け声とともにオレは、三メートルの身長の鉄のゴーレムを起動する。

 そして巨漢より身長が高くなったオレは、そのまま巨漢を見下ろした。

 

 

「ひいい!!」


 ズシン!



 すると巨漢の男はよっぽど驚いたのか、尻もちをついてしまった。

 そしてオレを見上げ、怯えるように震えている。



「ば・・・化け物だ!!」


「「ひぃぃぃ~!!」」



 それを見た三人の男は、一目散に逃げていく。



「お、置いて行かないでくれ~!!」



 それを追いかけるように、巨漢の男も逃走していった。



「さて・・・帰って食事の続きをしますか・・・鉄のゴーレム解除」



 オレは鉄のゴーレムを解除すると、ふわりと地面に降り立つ。

 そして再び宿に戻るために、後ろに振り返った。


 すると宿を経営する親子三人が、目を丸くしてその様子を見ていたのだ。

 ベルトラン、レティーくんまでもが、オレと男たちの様子を見物していたようだ。

 コロンは大丈夫と知ってか、まだ中でご飯を食べているようだが・・・・。



「お嬢ちゃん・・・・もしかしてその歳で魔法使いなのかい?」

 

「まあ・・・そんなところです・・・・」



 尋ねてきたニナおばさんには、そう返しておく。



「それよりも先ほどの男たちはなんです?」


「あれはレッドバジリスクの連中さ。

 この宿が繁盛し始めたころにはちょくちょく悪さしに来ていたんだけどね。近頃はとんと姿を見せなかったのに、また突然やってきたのさ」



 オレが先ほどの三人の男たちについて尋ねると、ニナおばさんはそう答えてきた。

 レッドバジリスクといえば、悪い噂しか聞かない例の冒険者クランだ。

 こんなところにもそのメンバーがいたなんて驚きだ。

 


「衛兵には通報したんですか?」


「衛兵は私ら平民相手じゃあ、現行犯でないと動いてくれないんだよ」



 なるほど。ならこの件は貴族であるオベールさんに、相談してみるのがいいだろう。



 残りポイント:56894

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