12:油断
第三人称視点~
「ぎゃあああ! なんだこのガキは!? 急に巨大化しやがった!?」
人攫いの男は、今しがた3メートルもの巨大な鉄の巨人に、姿を変えた少女を見上げる。
男はよほど驚いたのか、そのまま腰を抜かしてしまったようだ。
「いたぞ! あそこだ!」
「なんだ!? ヨッシーの奴、変身しているぞ!」
そして鉄の巨人の後ろの方から、オベールとコロンが駆け付けてきた。
ヨッシー視点~
・・・・ガンガン! ガンガン!
何の音だろ? 鉄を叩く音?
「ほえ?」
気づくと上の方から、鉄を叩く音がしてきた。
何かと思って目を開けると、どうやらそこは、鉄のゴーレムの中のようだった。
「ヨッシー! 聞こえるか!? 人攫いは捕まえたから出てこい!」
すると頭上からコロンの声がした。
どうやらまだ寝足りないようで、瞼が重く感じるが、状況を確認しなければならないだろう。
そういえばオレは先ほどまで人攫いを追いかけていて、皮袋を投げつけられ、そこから出てきた粉を吸引して意識が・・・・。
どうやらコロンは追いついて来て、人攫いの男を捕まえたようだ。
「鉄のゴーレム・・・解除・・・」
オレは眠気に耐えながら、鉄のゴーレムを解除した。
「おお! 本当に女の子になったぞ!」
「いったい何なんだその少女は!?」
すると街の衛兵らしき男たちがやって来ていて、オレを見ながら叫んでいた。
「あんまり長いこと変身していたから、衛兵もきちまったんだぞ?」
ポコ!
「あいて・・・」
そして久々のコロンのチョップが、オレの脳天にさく裂した。
どうやらずいぶんと心配をかけてしまったようだ。
見るとオベールさんが、衛兵に事情を説明しているのが見えた。
先ほどの人攫いの男は、両手を縛られて項垂れている。
どうやら人攫いの男は、無事に捕まったようで良かった。
「コロン・・・もうひと眠りする・・・」
オレは安心すると、再び眠りについた。
夕方近くに目を覚ますと、オベールさんにしこたま説教された。
まあオレの油断から皆に心配をかけたんだし、仕方がないことだろう。
そしてその日は宿で夕食を食べた。
宿の食堂は飲み客も沢山いて騒がしい。
オレも早くお酒を飲める年齢になるといいのだが・・・。
夕食の内容は、例の硬いパンとスープと何かの肉を焼いたものだ。
「むにむに・・・」
くさみが強いことから、フォベロドンの肉と思われる。
フォベロドンの肉はビッグボアの肉よりもくさみが強く、比較的安価で取引されているのだ。
タレで誤魔化してあるようだが、このくさみを完全に消すのは難しい。
以前、某有名企業の焼肉のタレでフォベロドンを食べたが、あの時程の美味しさはない。
コロンは三人前の定食を、目の前でガツガツと食べている。
「おばちゃん! もう三人前!」
瞬く間に皿は空になり、再び三人前を注文するようだ。
「つつ~。むぐむぐ・・・」
スープはポトフだ。中の具は肉とエンドウ豆、それからジャガイモだ。
こいつに硬いパンを浸して食べるのだ。
味は薄いが、まあ悪くはない。
「おかみさん! エール追加で持ってきてくれ!」
「あいよ~!!」
大人連中はエールを飲みながら、何か話し込んでいるようだ。
どうやら今日の人攫いの話題で、盛り上がっているようだ。
あの後衛兵が集まってきただの、人攫いの男が腰が抜けてなかなか立てなかっただのと、話している。
「おいヨッシー! お前はもう少し周りを見て行動すべきだ!」
「もうそれはさんざん聞いたって!」
よっぱらいめ・・・絡んできやがった。
「コロン! 食べたらさっさと上に行こうぜ!」
「おう! おばちゃん! ご馳走様!」
夕食が終わるとすぐに宿の部屋に戻る。
ライザさんはまだ当分飲むそうで、しばらくは帰ってこないだろう。
「じゃじゃ~ん!」
そこでオレが用意したのはこれだ。
業務用 苺ショートケーキ 6個 832円
残りポイント:53894
今ではそのポイントも電池残量からチャージが可能になったので、少しぐらいの余裕はあるのだ。
ただし安物のケーキだがね。
ちなみに冷凍だったので、昼間に購入して常温解凍しておいたものだ。
もちろん誰にも見つからないように、メタセコで作った木製の箱に入れてベッドの下に置いておいた。
「むぐむぐ・・・!! おま・・・! これ!?」
コロンがショートケーキに食らいつき、驚愕の表情をしている。
驚きながらも一個を二口で食べてしまうのがコロンらしい。
瞬く間に4個目に突入してやがる。
オレは一個が限界だがな。ケプ!
うん。幼女になったせいか、前世で食べた時より、甘いものが美味しく感じるのが良いね。
安いわりには凝った味付けをしていて、それなりに美味しいケーキだったよ。
そしてその日は3000ポイントチャージして眠った。
翌朝ジュデロゾの街を後にしたオレたちは、エミソヤの街を目指した。
エミソヤの街までの道中は、すれ違う冒険者も多かったが、何事もなく進むことが出来た。
そしてその日の夕方には、エミソヤの街が見えてきたのだった。
残りポイント:56894
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