表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/180

05:新たな機能


「おお~! あわあわだな~!!」


「シャンプーだからね」



 あれから数日が経った。


 オレとコロンは現在川で水浴びに興じている。そしてオレ達は通販サイトで購入したシャンプーで、お互いの頭を洗いっこしている。


 そしてその日オレは、驚愕の事実を知ることになる。


 何とコロンの角は、コスプレでなく頭から直接生えていたのだ。

 まるで鹿や牛のごとく・・・耳も触ってみたが、作り物ではなく、どうやら本物のようだった。

 つまり彼女は本人の言うように、魔族らしき珍しい部族なのは間違いないようだ。


 突然変異か新種のミュータントなのかは知らないが。


 そして相変わらずここが何処かなのかはわからずじまいだ。

 スマホの地図はオレの通った道筋しか表示されないようだし、色々検索もしてみたが、ここが地球のどの地域でどの場所かなんて、全く特定出来なかったよ。


 何しろここは色々未知な部分が多すぎるのだ。

 野鳥や虫にしても見たことのないものばかりだし、植物も検索しても特定できない物も多かった。

 特定できても微妙に違ったりするのだ。


 やはりそのうちに人里に降りて、何らかの手段で情報を集めなければならないようだ。



「ねえコロン?」


「何だ?」


「人里には下りないのか?」



 水浴びの後に洞窟に戻り、寛いでいる時にコロンに尋ねてみる。



「人里なんて怖いところに行けるか!! あそこには人攫いや怖い人間が、わんさかいるんだぞ?」



 コロンは人里について尋ねると、いつもこんな感じに返してくるのだ。


 そしてスマホのポイントは、あまり使わないように努力している。

 何でもコロンによると、ギフト・アーティファクトには、数字に関する記述のある物も多く、まれにその数字を0にすると、死に至る物も存在するようなのだ。


 このスマホがそうとは思いたくないが、その可能性は捨てきれないのだ。



「あれ? 久々にスキルマーケットからメールが来てる?」



 スマホのメールをチェックすると、何時もは通販サイトかメールサイト関連のメールしか来ないのに、珍しくスキルマーケットからのメールが来ていたのだ。


 ちなみにスキルマーケットとは、前世でオレが買い物などをするためのポイントを稼いでいた、仕事などを斡旋するサイトで、オレは3Dのモデリングや、プログラム、情報拡散サイトでの情報拡散などの仕事をしていた。



「どれどれ?」



 どうせまたサービスの紹介などだろうと思いながら、メールを開くと、メールの内容はなんと、仕事の依頼に関するものであった。



「やった! 仕事来てる!」


「ん? 何だ? 何か良いことでもあったのか?」


「前に言ってたじゃん!? スマホのポイントを増やす方法!!」


「それってスマホからの課題とか何とかいうのか?」


「そうだよ! ポイントが増やせるんだ!!」


「本当か!? それじゃあお米が食べ放題だな!?」



 お米は程々にしか買わないけどね。ていうか木の実や獲物で賄える内は、お米は買わないけどね。

 何度かコロンに強請られて出してはあげたけど、ドンブリ二杯までと決めている。でないとコロンは際限なくお米を食べようとするからね。



 残りポイント:42325



 まあポイントはあれから節約しているからそんなに減ってはいない。

 そしてさっそく仕事の内容を見る。

『3Dのローポリキャラのモデリングをお願いします。主人公の格闘少女で、詳細は以下に記します。



 依頼金額16000円』


 

 おう! そこそこの依頼だ!

 さっそく承諾して制作に移りますか。でもメタセコはスマホでは使えなかったはず・・・はたしてこの不思議スマホでインストールは可能なのか?


 ちなみにメタセコとは、3Dモデル制作ツールで、オレが長年ゲーム作りに愛用してきたツールだ。


 さっそくメタセコの最新バージョンを、インストールしようと思って、スマホを見ると、すでにメタセコらしきツールがインストール済みのようで、メタセコお馴染みの葉っぱのアイコンが出ていた。



「このスマホ、PCと同じ扱いなのか? 色々と謎の多いスマホだぜ・・・」



 そしてさっそくメタセコを開いて、色々機能を見ていく。



「スマホ操作で扱うのは慣れないが、まあ慣れるまでは仕方ないな・・・」



 するとおかしな追加機能を発見した。


 メタセコの機能の中に『素材選択』なる項目が加わっていたのだ。

 長い間メタセコを使ってきたが、こんな項目は初めて見る。


 素材選択をタップすると、『なし』『材木:ヒノキ』『石材:花崗岩』『金属:鋼鉄』という選択項目が出て来た。

 

 試しに『材木:ヒノキ』を選択して、単純な立方体を作成、すると木目の立方体が出来た。


 木の材質が画像素材から探さなくても、初めからあるのは地味に有難い機能だ。だがこの機能はこれだけではない気がするのだ。何せこのスマホは不思議なギフト・アーティファクトなのだから。


 とりあえず名前に『実験木』と付けて、ファイルをドキュメントに保存しておく。


 そして調べていくうちに、メタセコなどで作ったファイルを実体化して、目の前に出現させることができる機能も発見した。


 だがこの機能、実体化にポイントがかかるのだ。

 今回はメタセコで作った『実験木』を実体化してみた。すると400ポイントを消費した。実体化させた『実験木』を目の前に出現させると、高さ50センチメートルくらいの立方体が出て来た。



 残りポイント:41925



 このポイントの基準は今のところはっきりしないが、ポリゴン数と、素材の価値が関係しているのではないかと思われる。


 そしてさらに探すと、スマホの機能の中に『取り込み』なる項目を発見する。

 それが何ともブラックホールのようなアイコンで表示されており、禍々しいのだ。


 カメラのような画面で、取り込みたい物体に照準を合わせて、決定をタップすると、何とその物体が取り込めるのだ。

 これはラノベなどで見たアイテムボックスに近い機能だ。


 この機能はありがたいが、スマホの容量限界を超えては取り込めないと思われる。

 なぜなら取り込んだ素材に、キロバイトの表示がされていたためだ。


 ポリゴン数が多いと思われる落ちていた石は、当然容量が大きい。なので取り込む前にポリゴン数を減らす旨のメッセージが出た。

 これは色々取り込んで試してみないと何とも言えない機能だ。


 刃物などは、刃が細かいノコギリ状だと聞いたことがあるから、へたに取り込んでポリゴン数を減らせば、(なまく)らになってしまう可能性も高いのだ。


 そして生き物は取り込めないようだ。


 試しにバッタのような虫や、ヤモリを取り込もうと試みたが、無理だった。植物や虫の死骸は取り込めたが、容量が大きいので、あまりやりたくはない。


 ちなみに植物や虫の死骸のポリゴン数を減らして取り出すと、模型のような、どこか均一された感じになって出て来た。角ばっていないのは嬉しいが、どこか不気味だ。



「おう! スマホからの課題はどうだ? 出来たのか?」



 その時丁度、コロンが狩りから戻って来た。



「まあぼちぼち進めているよ。そっちの方はどうだった? 狩りの調子は?」


 パラパラ・・・


「悪い。今日は木の実と野草だけだわ。やっぱ米かパン食わねえと、調子が出なくてさ・・・」


 

 コロンはお腹を空かせているせいか、今日の狩りは調子が出なかったようだ。オレは木の実でも十分なのだが、育ち盛りのコロンには、全然足りていないようだ。



「じゃあ今夜はスパゲティーにでもする?」


「スパゲティー? 何だそれ? まあお腹いっぱい食べられるなら、何でもいいけど・・・」



 あれ? スパゲティーを知らない? パスタとかなら通用するのかな? まあいいか・・・

 今夜は例のバーベキュー用ハンゴーで、スパゲティーを茹でますかね?



 残りポイント:41365



「むぐむぐ!! 美味(うっま)!! 何だこれ!?」


「ミートスパゲティーだよ? そういうの好きかと思って・・・」


「とくにこの中に入っている肉が最高!!」



 やっぱ肉か・・・まあそのミートソースは某大会社のレトルトだからね。美味しいのは間違いないよ。





 そして食事が終わり、就寝の時間・・・



「おい。いい加減早く寝ろよ?」


「ああ。もう少し仕事進めたらな・・・」



 その夜、オレは徹夜で仕事にのぞんでいた。オレは受けた仕事は早めに仕上げないと、気が済まないたちなのだ。そしてふとスマホの電池残量に目をやる・・・。



「このスマホの電池ってよくこんなに長く持っているよな・・・充電なんかいまだにしていないしな・・・・ん?」



 ふと見るとスマホの電池残量が1%になっていたのだ。



「しまった! 気づかなかった! 今まで充電なしで当たり前に使えていたから、こんなものかと思っていたけど・・・」



 するとふと瞼が重くなる、この感じは何か変だ。

 そしてスマホの電池残量が0%になると、オレの意識はそこで途絶えた・・・



 残りポイント:41365


 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひブックマークと評価をお願いします。

 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

 感想、レビューもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ