15:他領の騎士との接触
現在オレとコロンは、冒険者希望の盾のメンバーとともに、森の野営地にいる。
そこに護りを固めるために、さらにオレがスマホで造った塀を設置して、周囲を覆っているのだ。
その塀には正面に大きな門があり、裏には隠し扉がある。
その厚さは1メートルほどあり、高さは10メートルはある。
さながらちょっとした砦にも見える造りだ。
その理由は、他領からオレを探しに、不審な騎士が来ているためだ。
その騎士は冒険者を20人ほど先導して、すでにオレの造った塀の前に、迫っているのだ。
「ヨッシー! 奴ら今どのあたりだ!?」
コロンが下から、オレに奴らがどこまで迫っているかを尋ねてきた。
オレは現在奴らの様子を探るために、板に乗って塀の上まで浮遊しているのだ。
「もうすぐそこまで来たよ!」
オレが下に向けてそう言うと、希望の盾のメンバーとコロンが、緊張の面持ちで身構える。
「旦那方、ヨッシーを見つけましたぜ!」
すると髪がぼさぼさで、悪そうな顔の冒険者が駆けてきて、オレを下から指さしてそう言った。
「でかしたぞ。あとは俺が話す・・・」
そう言うと見覚えのある騎士が、下卑た笑みを浮かべながら閉ざされた門の下まで、馬に跨り近寄ってきた。
「ヨッシーだな!?」
「違いますけど。人違いじゃあないでしょうか?」
オレは名前を聞かれたが、とりあえず嘘をついて誤魔化すことにした。
「嘘をつくな!! 俺の顔を見忘れたとは言わせんぞ!!」
そう言うと下にいる騎士が、そう叫んできた。
「えっと・・・どなたか存じませんがお帰りを・・・」
「この・・・あくまで白を切るつもりだな! 冒険者ども!! この門を押し開けろ!!」
すると騎士は冒険者に命じて、門を押し開けにかかった。
オレはもしものことも考えて、門の後ろに10メートルの高さの長方形の岩を、設置してみた。
この岩が障害となることで、門を押し開けるのがさらに困難となるのだ。
まあこの壁を登ってくるという手もあるが、凹凸のないこの壁を登り切るのは困難だろう。
さらに壁に、オレのように飛び乗るという手段もあるが、見たところ彼らに、その手段があるとは思えない。
だからこそ門を押し開けにかかっているのだろうが・・・・。
気づくとオレの足元に、丁度いい大きさの地面が出来上がっていた。
それはもちろん先ほど造った長方形の岩だ。
オレは足元の浮遊する板を解除すると、その岩の上に腰かけた。
「「よおおおい・・・しょおおお!!」」
その下では門を押し開けようと、10人の冒険者が門を押している。
だがその門は、押せども押せども動く気配もない。
「ヨッシー!」
見るとコロンが長方形の岩を登ってきたようで、オレの後ろに立っていた。
長方形の岩の後ろには、もしものことも考えて梯子をつけてあるのだ。
その梯子を使って、登って来たのだろう。
「なかなかの眺めだよコロン」
オレは笑いながら、下にいる連中を指さす。
「まったく・・・良い性格だなヨッシーは・・・」
そう言うとコロンも、オレの隣にドカッと腰かけた。
「お茶でも飲んでいようよ。クッキーも焼いたのがあるよ」
お茶もクッキーも、もちろんこちらの素材だけで作ったものだ。
クッキーは蜂蜜少量で甘みは薄いが、悪くない味だ。
「サクサク。今日は天気もいいし、ピクニック日和だね」
「何言ってんだお前? あ~ん!」
コロンはクッキーを一気に数枚掴み取ると、口の中に放り込む。
「「よおおおいしょおお~!!」」
「何をやっているお前たち!? びくともしておらんではないか!!」
下の方では冒険者たちが必死に扉を押しているが、扉はびくともしないようだ。
その様子に業を煮やしたのか、先ほどの騎士が怒鳴り散らしている。
「もうあきらめて帰ったらどうですか!? サクサク・・・」
オレはクッキーを食べつつ、お茶を片手に、先ほどの騎士に語り掛ける。
「貴様ら!? 何をしておるか!?」
「おそらく我らを見下ろしながら間食をしているものかと思われます・・・」
こちらに向けて、先ほどの騎士が怒鳴り散らす。
すると他の騎士がやってきて、オレたちの様子をその騎士に耳打ちしたようだ。
「この! 馬鹿にしおって! 見ておれ!?」
すると怒った騎士が、背中にある弓矢を構え、こちらに向けてきた。
オレは即座に鉄の陣傘を起動して、防御しようと思うが、そのまえにコロンが出てきて、槍を立てて立ち尽くした。
「旦那!! それは何が何でもやばいですって!!」
「うるさい!!」
ピュッ!
騎士は静止する冒険者を無視して、弓矢をこちらに射てきたのだ。
パシ!!
だがその矢は、コロンが掴み取って、防いでしまった。
「あ~あ攻撃しちゃた! それは正当防衛には十分な理由になるよ!」
「黙れヨッシー!! 貴様は逆らえんように痛めつけてから、我が領に連れ帰ってやる!!」
だが頭に血が上っている騎士は、こちらの言うことなど、聞く耳を持たないようだ。
「オベールさん!! 矢で射られました!!」
オレはコロンが掲げる矢を指さしながらそう言った。
「そうか! 俺達も確かに確認したぞ!」
オベールさんは下から手を振りながらそう言った。
ここからがオレたちの作戦の始まりだ。
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