04:鳥の生姜焼き丼
「いったい何をおっぱじめるつもりだ?」
コロンが頭を傾げる中、オレはスマホ片手に思案する。
本当はコロンにスマホを見せるべきではないかもしれないが、この隠れる場所もない洞窟に、一緒に住むとなれば、いつかはばれるのが関の山だ。
どうせならここでスマホを見せて、このスマホについて相談してみるのもいいかもしれない。
「お腹いっぱいなら・・・お腹に溜るもの・・・お米がいいな!!」
まずはお米お試し3合500円を、通販サイトで購入。
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ドサ!!
「おお! 今のは何だ? お前の魔法か!?」
すると目の前に箱が落ちてきて、その様子にコロンが驚愕する。
「お米だよ。でもこれだけじゃあ駄目だな。お米を炊く道具も買わないと・・・」
次にバーベキュー用ハンゴー4合炊き1720円を購入する。
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ドサ!!
お米の炊き方は、バーベキュー用ハンゴーを購入したサイトに書いてあったので、それを引用する。
慣れない手つきでカチャカチャと、音を鳴らしながらの作業だったが、なんとか無事に完了。
水は前に買ったのを使ったよ。
薪を再び1000円で購入して、前の薪の燃え残りに追加して点火する。
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「うん! いい感じ!」
しかしご飯だけでは物足りないだろう。おかずは何かないかと思っていると、先ほどの鳥が目に付いた。
竹製まな板500円を購入。
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「コロン! このまな板で、その鳥を小さく切ってくれるかな?」
「さっきお前が魔法で出したそれでか? いいけど何作るんだ?」
「鳥の生姜焼き! 絶対に美味しいから!」
オレが今回ご飯のおかずにと考えたのは、鳥の生姜焼きだ。
とりあえず簡単に作れる鳥の生姜焼きのレシピを検索して、必要なものを購入。
玉ねぎ3個300円、サラダ油一本280円、生姜焼きのタレ一本298円、ミニフライパンアルミ製折りたたみ式1600円、料理用菜箸255円をまとめて購入。
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「切れたぞ!」
「はや!」
コロンはオレが、生姜焼きに必要なものを購入している間に、ナイフで素早く鳥を細切れにしていた。
「玉ねぎの皮を剥いて、薄切りにしてくれるかな?」
オレはコロンに玉ねぎを一玉渡し、薄切りを頼む。
「その野菜を切ればいいのか? お安い御用だ」
バリ! トトトト・・・
なんて手際のよさだ。こいつどこかで料理を習ったことがあるのか?
そんなコロンを横目に、フライパンを焚火にかざし、サラダ油を入れる。
まず鳥肉を入れて炒める、途中で玉ねぎも入れて、生姜焼きのタレも入れて炒める。
ジュ~
「うお~~!! いい匂いだな!! 初めて嗅ぐ匂いだが、たまらねえ!!」
丈夫で安そうなドンブリ300円2個、コロン用にステンレスフォーク155円、オレ用には竹製箸110円を購入。
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ご飯をドンブリに盛って、鳥の生姜焼きをのせたら、鳥の生姜焼き丼の完成だ!!
「完成!!」
「おお! 美味そうだ!!」
出費は結構かさんだけど、これから使う道具ばかりだし、魔法を見るためだから仕方ない。
初めてのサバイバル料理は、焦げ目が多くて見た目は悪いけど、大メーカーの生姜焼きのタレだけあって、とてもいい匂いだ。
「美味い! これ最高だな! ガツガツ! お代わり!!」
コロンはその味を気に入ってくれたけど、相変わらず食べるのは早かった。
オレがもじもじとご飯少量の生姜焼き丼をかき込んでいる間に、ドンブリに大盛りの生姜焼き丼を、あっという間に平らげたのだ。
「まあまあお腹いっぱいかな?」
結果的にドンブリ3杯平らげたが、まだお腹に入るようだ。
オレから見たら大きなコロンだが、まだ12歳くらいの子供なのだ。
何処にそんなにご飯が入るというのか?
「でも一こと言っておく・・・」
いつになく真面目な顔で、オレを見つめるコロン。いったい何だというのか?
「その道具はワタシ以外の人には見せるなよ?」
オレが無意識に握りしめていたスマホを指さして、コロンはオレにそう忠告した。
ですよね~・・・
「忠告ついでに教えてやるよ。その板かしてみ?」
コロンはスマホを指さして言った。
正直このスマホを渡していいかは悩むが、オレはコロンを信用して渡すことにした。
「ほら」
コロンにスマホを手渡すと、コロンはスマホの画面をオレに向けてきた。
すると先ほどまで映っていた画面は、真っ暗となり、何も表示されていなかった。
あれ? スリープ状態にでもなったか?
そう思いながらオレがスマホに触れると、なんと再びスマホの画面は点灯したのだ。
そして手を離すと再び画面は真っ暗となった。
もしかしてこのスマホ・・・オレ以外には使えないのか?
「えい!」
「あ・・・」
すると唐突にコロンは、スマホを洞窟の外へと投げ込みやがった。
オレはコロンのその唐突な行為が信じられずに、唖然とその様子を見るばかりだった。
「あああああああ!!!! 何すんだコロン!!」
オレはスマホが飛んでいった方に走ろうとするが、コロンがオレの右手を掴んでいかせてくれない。
「離せよ!! あれは大事なスマホなんだ!!!」
「右手!!」
コロンがオレの右手をオレの目の前に持って来ると、なんとコロンが投げたはずのスマホが、オレの右手に握られていたのだ。
「え? 何? 手品ですか?」
オレにはそれが、昔テレビでよく見た手品にしか見えなかった。
「手品が何か知らないが、その板、ギフト・アーティファクトに間違いないぜ。しかも能力からして特級品だ」
え? ギフト・アーティファクト? 特級?
「ギフト・アーティファクトは、神が唐突に人に与える遺物だと云われているんだ。有名なのには、光の剣が出る棒とか、滑るように走れる靴なんかがあるな」
え? それってライトセイバーとかローラースケート的な何かか? つまりこの国には、コロンの使う魔法以外にも、妙ちくりんな、本人指定の固有アイテムがあるってことだよな?
「えっと・・・そのギフト・アーティファクトは、わりと皆さんお持ちなのですか?」
「なわけあるか!! それこそ国に10人いるかいないかだ! それに特級なんて持っている奴は、伝説の存在だけだ!」
それじゃあこのスマホ・・・相当やばい物じゃないか?
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