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11:鉄のゴーレム完成


「ヨッシー! こんな岩なんかどうだ!?」



 コロンが巨大な丸い岩を指さしながら、そう言った。


 現在オレ達は、次の戦いに備えて、新たな武器となる大岩を探している。

 あの戦いの後、オレ達はこの南の砦に待機となったのだ。


 その理由は再びオークがクアリーの街に、群れを差し向けて来る可能性が高いからだ。

 それは調査により、この南の砦からさらに南東に行った辺りに、オークの集落が発見されたからだ。

 そのオークの集落には、昨日のオークの残党も合わせると、2500もの群れが存在しているようなのだ。


 オレ達の次なる任務は、騎士団がこちらへ派遣されてくるまで、この砦を護り切ることだ。



「なかなかいい岩だね」



 オレはスマホを操作して、その巨大な岩をファイル化して取り込む。


 こうすることでこの大岩を、次なるオレの武器へと昇華させるのだ。

 前回この大岩を操作することで、かなりの数のオークを倒すことが出来た。

 しかもオークジェネラルを負傷させることで、倒しやすくもした。

 そのおかげか、怪我人をほとんど出すことなく、オーク1000体の群れに勝利することが出来たのだ。



「ヨッシーの岩を操る土魔法は確かに凄まじいが、普通土魔法は魔力で岩を創造したりもできたはずだ。ヨッシーにはそれは出来ないのか?」



 そう聞いて来たのは、同じく大岩捜索中のギルド長だ。



「え? そうなんですか? オレの場合は魔力以外のものが減るんですけど、魔力でも岩とか創造できるんですね?」



 オレのスマホでも確かに岩は創れるが、いつなくなるかわからないポイントを消費してしまうために、あまり使いたくないのだ。

 しかし念のために、魔力で物体が生成できないか、メタセコを色々と調べてみる。



「ああ!! まじか・・・」


「何だヨッシー? どうした?」


「お腹でも空いたのかヨッシー!?」



 それはお前だろコロン。


 実体化可能なファイルのプロパティを調べたところ、『実体化に使うコストの種類』という項目を発見。

 そのチェック項目の中に、『ポイント』『電池残量』と二択書かれていたのだ。

 現在チェックが『ポイント』になっていたために、何か作るのにポイントを消費していたのだろう。


 試しに『電池残量』で電池量をいくつ消費するか実験してみる。


 メタセコで直径5メートルほどの、球形の岩を作ってみる。


 球形は立方体を曲面タイプに設定するだけで、簡単に出来てしまう。

 その岩を実体化してみようとすると、次のような表示が出た。



 電池残量を16%消費して、このファイルを実体化しますか?



 なんとポイントだと3200もかかるのが、電池残量だと16パーセントで済むようだ。

 だが電池残量の最大が100パーセントだと考えると、この消費は大きいとも言える。



「魔力の6分の1を使えば、大岩が造れるみたい」


 

 ちなみにオレの魔力量は、スマホの電池残量で表示されているようなので、オレはこの電池残量を周囲にわかりやすく、魔力と表現している。

 たぶんコロンやギルド長に電池残量とか言っても、伝わらないからね。



「6分の1か? お前の魔力がどれくらいかわからないが、大岩を創造するなら、かなりの魔力を消費するだろうな?」



 睡眠または、甘味で魔力が回復することはわかっているが、睡眠は時間を消費するし、甘味はポイント又はお金を消費する。そしてオレの胃袋次第でもあるので、そこら中に転がっている大岩を創るのに、わざわざ魔力を消費するのも無駄な気がする。でも今ならあれが出来る。



 ガチャン!!



 オレは電池残量を43パーセント消費して、アイアンアームのもう片方の腕を創り出した。

 そして両腕を出して、コロンとギルド長に披露する。



「お! クラブが両腕になったのか!?」


「何!? お前ギフト・アーティファクトを更に得たのか!?」



 ギルド長はオレのこのアイアンアームを、ギフト・アーティファクトだと思っていたようだ。

 でもこの調子で1日1パーツずつ創れば、あと4日ほどで、乗り込み式の鉄のゴーレムは完成しそうだ。






 ガチャン! ガチャン! ガチャン!

 


 そしてあれから4日が経過したが、オークの群れに動きはなかった。


 どうやらオーク達はこちらの戦力を警戒して、動きを止めているのではないかというのが、ギルド長の見解だ。



「お前達喜べ! 騎士団があと二日ほどでこの砦に到着するぞ!」



 そしてついに騎士団の到着が間近となった。だが話はそう上手くはいかない。



「だが残念なことに騎士団が到着しても、俺達が戦わなくてはならないことに、変わりはない」



 ギルド長の言うには、集落にいるオークの群れ2500は、騎士団だけでは討伐しきれないという話だった。


 そのためオレ達冒険者は、何らかの戦力に投入される可能性があるというのだ。



「ヨッシー。数日で随分とごっつくなったな?」



 ギルド長がオレを見上げて、そう言って来た。



「そう?」



 オレの鉄のゴーレムは完成し、オレはそのゴーレムに乗って、冒険者達が驚愕の目で見る中、悠々とギルド長の話を聞いている。


 鉄のゴーレムは身長3メートルほどで、両腕は2メートルと長めだ。

 胴体は大きく、足は短く太い。頭には鉄の大きな陣笠があるだけだ。これでほとんどの攻撃を防げるし、オレは陣笠の隙間から、周囲を見渡せる。


 見た目はかなりゴリマッチョな戦国の足軽みたいな感じだろうか?


 まあ陣笠が大きすぎて、頭は陣笠にしか見えないが・・・。

 陣笠は背中に収納可能だが、陣笠を収納すると、オレの顔がそのままむき出しになるので、ごっつい体にちんまい幼女の頭と、かなり不自然な見た目となるようだ。

 まあ弱点となりそうな大きな頭は、あえて創らなかっただけだけどね。



「ほら! どうしたワタシを掴まえてみろ!?」


 ドンドンドン! ガチャン!! 



 現在オレ達は、この鉄のゴーレムの性能を確かめるために、実戦形式の鬼ごっこをしている。


 この鬼ごっこでわかったことは、消費電池残量が、全身鎧の時は大きくなることだ。

 大人しく歩いているだけだと、そう電池残量は消費しないが、両腕を多彩に使ったり、走り回ると消費は大きくなるようだ。

 戦闘時の活動限界は、良くて15分といったところだろう。まあゆっくりと歩くだけなら、一時間以上はもちそうだし、丈夫な鎧になるのは大きいけどね。






 パカラ! パカラ! パカラ!


 

「アイアンゴーレムだ!! 一斉に包囲しろ!!」



 しばらく鬼ごっこに興じていると、なんと突然遠くから現れた、馬に乗ったフルアーマーが複数で取り囲んで来たのだ。

 こいつらは何だろう? 何処かの部族には見えないし・・・盗賊か何かか?


 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

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 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

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