31:帝国との開戦後編
「まさかこれは・・・・ルエパラ王国側からの・・・・攻撃だというのか!?」
4度目の落雷にして、ようやくプリウス中将は、それがルエパラ王国側の、攻撃であると理解した。
ただ気づくと航空戦力であるバルーンは、20機以上も撃墜されていたのだ。
「今度は4発同時に飛来物が放たれました!」
「まずいな・・・・」
これまでの被害を考え、プリウス中将の表情は、絶望に染まる。
ゴロゴロ!! ピッシヤ~ン!!
4発の飛来物が光を放ち、轟音と共に、雷を広範囲に放出する。
そして雷がおさまると、煙を吹きつつ、次々とバルーンが墜落していく。
無事なバルーンの数は、わずか15機となっていたのだ。
「このままではまずいです! 撤退しますか!?」
「いいや・・・・。見ろあれを・・・・」
撤退を呼びかける帝国兵士に、プリウス中将はあるものを示した。
それはあの壮絶な攻撃にも、生き残った、8騎のドラゴンライダーの存在だ。
ドラゴンは魔法に強く、なぜか騎乗する者にも、その守護の影響は及ぶのだ。
8騎のドラゴンライダーは、無事に雷をしのいで見せたのだ。
「生き残りのドラゴンライダー全てで、あの2機を攻撃せよ! 奴らの攻撃はドラゴンには届かぬようだ!」
ここで期を見たプリウス中将は、ドラゴンライダーによる、総攻撃を命じたのだ。
プリウス中将に命じられたドラゴンライダーは、ヨッシーたちの乗る魔道航空機に向けて、接近していった。
ヨッシー視点~
「ドラゴンライダー8騎が、こちらに向けて接近中!」
「やっぱり雷撃だけでは、落とせない奴がいたね・・・・」
その報告を受けたオレは、迫りくるドラゴンライダーを睨みつけた。
「ヴァルキリー全機でドラゴンライダーに向けて攻撃を! オレとコロンも出ます!」
そして全員にそう指示を出したのだ。
オレがそう指示するとすぐに、別機のヘリから、次々とヴァルキリーが出撃し、飛行ユニットの翼を広げていく。
同時にオレとコロンも、ヘリから外に飛び降る。
「黒金!! 飛行ユニット起動!」
そしてオレは黒金を装着し、飛行ユニットを起動する。
コロンは軽快に、空を駆けだしている。
「ドラゴンのブレスが来ます!」
「風の防壁を展開!!」
風の防壁とは、ヴァルキリーの最新機能で、あらゆる飛翔物を跳ねのけ、ドラゴンのブレスをも受け流す、風魔法によって展開される障壁だ。
これによってドラゴンのブレスは、無効化されるのだ。
「ドラゴンライダーを1騎撃破!!」
「こちらも同じく撃破しました!」
ブレスを跳ねのけ、破壊のランスや、魔槍で攻撃するヴァルキリーに、ドラゴンが次々と撃破され、墜落していく。
「破壊弾!!」
ババッ!!
オレも黒金を起動し、負けじと新魔法の破壊弾を放つ。
破壊弾とはその名の通り、破壊の光を弾丸として放つ魔法である。
破壊弾は300メートル先の標的を攻撃し、アダマンタイトすら貫通する、恐るべき魔法なのである。
ただ弾丸が小さい割に、消費魔力が大きく、数多くは放てない魔法だ。
「うわああ!」「ぎゃあああ!」
その破壊弾により、2騎のドラゴンライダーを撃墜する。
そしてドラゴンライダーからの、断末魔の叫びが響く。
「へへん! こっちも2騎撃破だ!」
するとコロンも既に2騎のドラゴンライダーを、仕留めたとっころだった。
こうしてドラゴンライダーは、なすすべもなく撃墜されていくのだった。
第三者視点~
「馬鹿なこれは悪夢か!?」
プリウス中将は、目の前の光景が信じられなかった。
次々と魔道航空機から飛来した、ヴァルキリーと見られる機体が、ドラゴンライダーを撃墜していったのだ。
ヴァルキリーにはドラゴンの最大の武器である、ブレスも通用することもなく、なすすべもなくドラゴンライダーは倒されていった。
「撤退だ! 撤退する!」
帝国最大の戦力である、ドラゴンライダーが叶わない以上、残ったバルーンで攻撃を仕掛けても、ただ犠牲を増やすだけだろう。
そう判断したプリウス中将は、生き残ったバルーン部隊15機に向けて、撤退を指示したのだ。
こうしてルエパラ王国と、ナジェル帝国の航空戦力による戦闘は、ルエパラ王国側の圧倒的な勝利で、幕を閉じたのであった。
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