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29:動き出すナジェル帝国

 ゲスノール視点~


 あのヨーレシアの領地の発展ぶりには、正直度肝を抜かれた。

 高くそびえ立つ摩天楼、街を照らす不思議な光、理解不能な浮遊する乗り物・・・・。


 その全てが儂の想像をはるかに超えていたのだ。

 

 世界中から集められたと思われる酒に料理、アーティファクトに見まがえるほどの品々・・・。

 まさに夢のような街と言えよう。


 だが惚けてばかりもいられない。

 儂にはヨーレシアの為人と、このヒュロピア領の戦力を、知る必要があったのだ。


 帝国と秘密裏に通じている儂の目的は、それらの情報を、帝国に伝えることなのだから。


 

「拍子抜けにもほどがある・・・・」



 儂はそう呟かずにはいられなかった。


 ヨーレシアは王族からの評価を気にするあまり、最大の戦力と思われる、航空戦力の数を増やすことをしなかったのだ。


 儂にあれだけの技術があるならば、できうる限りの航空戦力の数を揃え、反旗を翻し、あの帝国をも支配してみせるものを・・・・。


 帝国には100を超える航空戦力と、20騎ものドラゴンライダーがいるのだ。


 それだけの数で押しつぶせば、10にも及ばない航空戦力など、あっという間に押しつぶされてしまうだろう。


 儂はこのことを一刻も早く帝国に報告する必要がある。


 近いうちに帝国は、このヒュロピア領に航空戦力を送り込み、ヨーレシアの街を蹂躙することだろう。

 その後ヒュロピア領に拠点を築き、ここから王国の領地を、次々と占領していくのだ。


 航空戦力など持たぬ王国は、帝国になすすべもなく、蹂躙されていくことだろう。


 その後儂は帝国の支配のもと、王国全土を統治する、国王を任されることになっている。

 そうなればヨーレシアのあの技術も、この国の権力も全て儂の物となるのだ。



「この報告書を皇帝陛下のもとへ・・・」



 儂はヒュロピア領の視察が終わると、即座にに領地へ戻り、ナジェル帝国からの密偵に、ヒュロピア領の戦力と、ヨーレシアの為人についてしたためた報告書を渡した。


 だが儂はこの数日後、王都から来た使者に捕らえられ、王都に連行されていくのだ。

 そこで洗いざらい、白状させられる羽目となってしまった。


 儂の野望は、ここで途絶えるのだ・・・・。





 ヨッシー視点~



「近いうちにナジェル帝国は、このヒュロピア領に多くの航空戦力で攻め込んでくるでしょう」



 そう予言のように告げたのは、このヒュロピア領の頭脳ともいえるユースたんだ。

 その言葉を聞いた皆は、青い顔をしていた。


 この国で女神と崇められているユースたんが、そんなことを口にしたのだ。

 皆信じずにはおれないだろう。


 現在城の会議場には、ヒュロピア領の主要な人物が集められ、ユースたんの緊急の報告を聞いていたのだ。



「ゲスノールが尋問で白状した内容を聞いた結果・・・そう判断したのよ」



 王族はヒュロピア領でオレたちが捉えた密偵から得た情報をもとに、ゲスノール伯爵の裏切りの事実にたどり着いていた。


 ゲスノール伯爵はヒュロピア領の視察の数日後、帝国と裏で通じていた疑いで捕らえられ、王都で尋問を受けていたのだ。


 そのゲスノール伯爵が白状した内容を、レーティシア姫が、オレとユースたんに伝えたのだ。


 それが今回のユースたんの、報告会につながったのだ。



「ナジェル帝国の戦力については、何か情報があるでしょうか?」



 そう質問をしたのはアーノルドだ。



「それについては画像を用意してあります・・・・」



 オレはある一枚の画像を、会議場の画面に映し出した。


 実は数日前、オレが造った透過するドローンを使い、山脈の向こうにある、ナジェル帝国の様子について調べていたのだ。

 その結果あちら側の山脈のふもとには、すでに砦が築かれているのが、発見されたのだ。



「もしかしてこれは・・・ナジェル帝国のバルーンでしょうか?」


「まさかこんなに沢山の!?」


「ドラゴンらしき魔物の姿もあるぞ!」



 そこには上空から撮影された、砦の様子が映し出されていたのだ。

 勿論それは山脈の向こうにある、ナジェル帝国の砦である。


 その砦には多くの飛行船と見られる航空機と、数頭のドラゴンが待機していたのだ。





 第三者視点~



「このナジェル帝国は次なる繁栄のために、ルエパラ王国に攻め入る!」



 ゲスノール伯爵からの報告を受けた皇帝は、幹部たちの前でそう宣言していた。


 それはヨーレシア伯爵の為人と、ヒュロピア領の戦力について、何ら問題がないと判断してのことであった。


 皇帝は未知の航空兵器、ヴァルキリーや魔道航空機について、恐れを抱いてはいたが、数の暴力で押し切ろうと考えていたのだ。



「その作戦を一度山脈を超えた経験のあるプリウスに任せる」


「は! 謹んでお受けいたします!」



 プリウスはドラゴンライダーを3騎も失った咎を受けて、降格処分となっていたが、皇帝は今回のことで、プリウスを再び将軍の地位に就かせるつもりであったのだ。


 プリウスは帝国の航空戦力であるバルーンの開発や、ドラゴンライダーの育成に努め、これまでにもナジェル帝国に、多大な貢献をしてきているのだ。


 そんなプリウスに、今回のルエパラ王国侵攻の指揮を任せるのは、皇帝にとって至極当然のことであった。


 こうしてナジェル帝国は、ルエパラ王国のヒュロピア領に向けて、侵攻を開始したのであった。


 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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