24:猫メイド隊の一日
猫メイド隊は、ヨッシーが孤児となった猫の獣人を、保護したことから結成された、4人の猫メイドからなる集まりである。
猫メイド隊の一日は、ヨッシーの目覚めから始まる。
ヨッシーより早起きした、猫メイド隊隊長のニャーナは、メイド服に着替えると、ヨッシーを目覚めさせるために、ヨッシーの寝室へ向かうのだ。
「おはようございますボス!!」
「「おはようございますボス~!」」
だが気づくとニャーナの後ろには、幼い猫メイドたちが、いつもついてきているのだ。
彼女らにはとくに仕事は与えられていないが、彼女らは自ら率先して、ニャーナの後からついて来ていた。
「ん~・・・。おはよう・・・・。小さなお前たちまで、いつも無理して早起きする必要はないんだぞ?」
ヨッシーは目覚めると、ニャーナに付き従う、幼いメイドたちにそう声を掛けた。
「いえ! ニーはボスのおきがえをてつだいまちゅ!」
「ミーもボスをてつだいまちゅ!」
「ボクもでちゅ!」
ヨッシーが着替えを終えた後も彼女らは、当然ヨッシーに付きまとう。
「仕方ない・・・・。今日も皆で朝のジョギングをするか・・・・」
「「はいボス!」」
幼い彼女らは、いつもヨッシーの日課のジョギングについてくる。
そんな彼女らの楽しみの一つは、ヨッシーがジョギング中に行う森での狩りである。
「アイアンアーム!」
ドカン!
「ブギィィィィ!」
ズシ~ン!
ヨッシーは巨大な鉄の腕を起動すると、突撃して来たビッグボアを、ワンパンで沈める。
「すごいですボス!」
「きょうもおおものでしゅね!」
「ボスつよ~い!」
ヨッシーの狩りの様子を見物した彼女らは、大興奮でヨッシーを称賛する。
猫人である彼女らは、狩りに対する関心が高いのだ。
ジョギングの後には、日課の鍛錬が始まる。
ヨッシーはヴァルキリーを装着したフランソワ、シャルロッテ、パナメラと共に、黒金のゴーレムを装着して、戦闘訓練を行うのだ。
その間ニャーナは、コロンに剣の手ほどきを受ける。
剣初心者のニャーナは、まだ素振りしかやらせてもらえないが、その気合は十分であった。
「やあ! とう!」
「ほら! まだ突きが甘いぞ!」
「はい!」
その様子を幼い猫メイドたちが見学するのだ。
彼女らにはまだ剣は早いために、学ぶことが許されない。
だが彼女らは上空で訓練を行うヨッシーたちの様子や、姉の行う素振りの様子を、いつもキラキラした目で見ていた。
訓練の後は朝食となる。
「ご馳走様!」
「きょうも美味しかった!」
「おなかいっぱいでちゅ!」
「きあいじゅうぶんでちゅ!」
「ボクも!」
朝食の後はヨッシーが執務仕事に入るため、彼女らには他の仕事が振られる。
ただこの時実際に仕事を振られるのは、姉妹で一番上のニャーナだけである。
ところが幼い猫メイドたちも、自ら率先してニャーナの手伝いを買って出るのだ。
それは幼い猫メイドたちが、あることを知っているからだ。
それは姉のニャーナが何か仕事をするたびに、ヨッシーからチップと称して、お菓子を貰っているということだ。
メイド初日に、ニャーナは多くのお菓子を持ち帰ったのだ。
それを彼女らはとても羨ましく思った。
翌日から彼女らは、そのお菓子の出所を知るために、ニャーナの動向を探り始めた。
その時に何か仕事を手伝うことで、お菓子を貰えることを知ったのだ。
その日から彼女らの、猫メイド隊としての活動が、始まったと言っても過言ではない。
ヨッシーは使用人や護衛にチップを渡すために、いつも駄菓子の入った宝箱を、スマホの中に入れて持ち歩いていた。
その見たこともないような目新しいお菓子は、彼女らの心を大いに揺さぶったことだろう。
「今日はこの金貨にゃ!」
「ニャーナは金貨チョコレート好きだよね・・・・」
「ニーはこのゼリーにゃ!」
「ミーはおにくなの!」
「はいはい蒲焼のやつね・・・・」
「ボクはこの・・・たべたことないやちゅ・・・・」
「それは止めとくにゃあ~・・・酸っぱいから・・・・」
だがヨッシーの宝箱の中には、まれにお菓子に含まれない外れもあるのだ。
過去に手痛い経験をした彼女らは、その外れについても情報を共有し、よく理解していた。
「何だ・・・・。梅は酸っぱくて美味しいのに・・・・」
「そんなことを言っているのは、コロン姉さんだけにゃ!」
だが誤解のないように言っておくが、そのお菓子ならざる駄菓子を、こよなく愛する者がいることも確かなのだ。
あくまでそれらが外れに当たるのは、彼女らの主観の問題である。
そして昼食を終え昼休憩を挟むと、今度はヨッシーは農地や工事現場の視察へ向かうのだ。
もちろん彼女らも仕事がなければ、ヨッシーに付き従う。
最近の農地や工事現場では、農耕機やトラックなどの魔道車が動き回り、彼女らにとって見ごたえのある視察となるのだ。
今日も猫メイド隊は目を丸くして、魔道車が働く様子を見ている。
視察の後は猫メイド隊の勉強の時間が始まる。
日によって科目の内容は異なり、それは算術だったり国語だったり、歴史や社会だったりする。
だが教師を担当するのは、どう見ても彼女らより年下である幼女であった。
初めはその幼女を、懐疑的な目で見ていた猫メイド隊であったが、その実力を見れば、彼女を認めざるを得なかった。
その幼女はヨッシーからも慕われ、魔法も使いこなす天才だったのだ。
当然その正体が、ヨッシーが高次元生命体とよんでいる、女神ユースティティアであるのは言うまでもない。
彼女はいつもノリノリで、この教師役を担当していた。
この勉強が終わると、休憩を挟んで再び、彼女らの仕事が始まる。
その仕事とは担当された箇所の掃除やら、届け物やらさまざまだが、今日も多くのお菓子を獲得した彼女らは、ほくほく顔でその後の夕食に顔を出すのだ。
夕食を終えると、あとは風呂に入り歯を磨き、就寝につくだけだ。
彼女らは城に与えられた、広い一室に戻ると、巨大なベッドに四人一緒に潜り込み、川の字になって眠りにつくのだ。
そして彼女らの活躍は、翌日もヨッシーの目覚めと共に始まることだろう。
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