14:ヴァルキリーの活躍
フロランス視点~
「あの傷は!?」
そのドラゴンにはくっきりと、わたくしとシャル様が付けた、傷がついていました。
偶然にもわたくしたちが相対したドラゴンは、例のわたくしたちが、取り逃がしたドラゴンだったのです。
「フラン! これは雪辱戦よ! 今度こそあいつを仕留めるわよ!」
「はい! シャル様!」
わたくしとシャル様は、さらに2機のヴァルキリーである、ライザとパナメラ様の機体を加え、そのドラゴンに相対しました。
この上空にはさらに2体のドラゴンがおり、それぞれヨッシー様とコロンが、相対しています。
「回復などの支援はまかせなさい!」
そんなわたくしたちの後ろには、女神ユースティティアがおられ、いつでも支援魔法が使えるようにと、身構えておられます。
あの女神ユースティティアの支援が受けられるのは、とても心強いことです。
「絶対に奴らには近づかせるな! ブレスで攻撃しろ!」
「クルオオオオ!」
グゥボオ~ウ!
ドラゴンに騎乗する賊が、そうドラゴンに命じると、一気に距離を取りブレスの態勢に入りました。
どうやら以前その身に受けた、わたくしたちの破壊のランスを、警戒しているようです。
「散開! ブレスを躱します!」
「「はい!」」
今回のヴァルキリーの指揮は、戦闘経験豊富なパナメラ様が行います。
もともとレーティシア姫の護衛を務めていた彼女は、多くの実戦経験もあり、非常に有能な人材であると耳にしています。
ですが散開してブレスを躱したのは良いが、これでは一向に、ドラゴンに接近することができません。
唯一ドラゴンに傷を付けられる武器は、わたくしたちが構える、破壊のランスのみなのです。
こちらの飛行ユニットによる飛行時間は、四半刻ももたないと聞いています。
対してドラゴンの飛行時間は未知数です。
このままではこちらが、不利になる可能性もあるでしょう。
「ブレスの間は向こうの動きが止まります! 各自その間に接近して斬り付けてください! ブレスはわたくしが引き付けます!」
「「はい!」」
そう指示を出すと、パナメラ様はドラゴンへの攻撃を開始しました。
「・・・・風よ吹き荒れろ!!」
ビュウゥゥゥゥ!
パナメラ様が詠唱すると、ドラゴンに向けて竜巻が発生し、その飛行を妨害します。
その魔法そのものはドラゴンに傷はつけられませんが、ドラゴンは飛びにくそうに、左右にゆられます。
「くっ! 飛行が妨害される! あの女からやれ!」
「クルオオオオ!」
グゥボオ~ウ!
思惑通りにドラゴンは、パナメラ様に向けてブレスを放射します。
「もう一つよ!・・・・風よ吹き荒れろ!」
そこへもう一つの竜巻が出現し、ドラゴンに襲い掛かります。
それはシャル様が独断で放った、竜巻だったのです。
竜巻が2つも重なれば、その効果はさらに上がることでしょう。
「クルオ! クルォ!」
ドラゴンは完全に飛行バランスを失い、空中で留まるので精いっぱいの状態に陥りました。
「今よ皆!」
その掛け声とともに、わたくしとライザがドラゴンに斬りかかります。
ザザン!
「浅い!!」「くっ!」
だがわずかに躱され、その2つの傷は浅いものとなってしまいます。
「まだまだ終わりませんわよ!」
ズドン!!
「クルオオオオ!」
そこへパナメラ様が飛んできて、ドラゴンの額に、破壊のランスを命中させます。
その傷は浅くドラゴンを仕留めるには至りませんが、十分なダメージを与えたようです。
痛みにもだえ苦しむドラゴンは、そのまま地面に向けて、墜落していきました。
ドラゴン討伐をするような冒険者は、一握りだと聞いています。
このわたくしがそのドラゴン討伐に加われたのは、とても栄誉なことだと思います。
わたくしは誇らしくなり、その慎ましい胸を張るのでした。
「どうやらそちらも方が付いたみたいですね・・・・」
「ちっ! 今回もヨッシーに先を越されちまった!」
見るとすでに戦闘を終えたヨッシー様とコロンが、こちらの様子を見ていたのです。
コロンはヨッシー様に、先にドラゴンを仕留められて、その悔しさに、不貞腐れ気味の様子です。
魔物最強と恐怖される程のドラゴンを、倒せるだけでもすごいことだというのに・・・・。
「全員このまま地上へ! 生き残りを拘束します!」
「「はい!」」
そのままヨッシー様の指示により、わたくしたちは地上へと向かいました。
ヨッシー視点~
「最初に雷を喰らった奴らは、全員息はあるようだね」
隠れ集落に降りて、賊たちの生死を確認をすると、どうやら雷を喰らった連中の命に別状はないようだ。
「こちらは駄目ね・・・・」
「こちらもです」
だが落下したドラゴンと、そのドラゴンに騎乗していた賊は、すでにこと切れていたようだ。
あれほどの高さから落下したのだ。
無事でいられないのは、仕方のないことだろう。
「ドラゴンの死骸はオレが収納魔法で・・・・生きている十数人の賊は、このトラックで運びましょう」
この賊たちはこのまま王都に運び、尋問することになるだろう。
ドラゴンについては、その素材がかなりの高額で売れるようだし、解体したら売り払い、領内の開拓資金にあてるとしよう。
こうして無事にオレたちの、ドラゴン掃討作戦は、終了したのであった。
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