表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

156/180

11:対策会議


「それでは会議を開きたいと思います」



 その日オレたちは、城の会議室に集まり、ある議題についての話し合いをしていた。


 それがオレたちの領地に起こった、二つの問題についてだ。

 その1つが盗賊の襲撃だ。


 それは領主であるオレが、他領の貴族への挨拶終え、帰還途中に起こった出来事だ。


 しかもその盗賊が、ナジェル帝国で作られた弓矢を使って、襲撃してきたというからややこしい。

 その場合国内のどこかに、ナジェル帝国の内通者がいることを、疑わなければならないのだ。

 幸運にも3人の盗賊を捕らえており、彼らを尋問して、ある程度の事情を聴きだせる可能性はある。

 その三人は王都へ護送することになっているが、人手が足りない今、その護送すらままならない有様だ。

 幸い十日遅れで、追加の人員がアリ村に到着することになっている。


 盗賊を護送して、王都に向かうとしたらその時だろう。


 そしてこの件に関しては、すでに襲撃をしてきた盗賊が、捕らえた3人を除いて、全て討伐されいる。

 他に仲間が隠れている可能性もあるが、そこはこれから、アジトの捜索などを行うこととした。


 そしてもう1つの問題が、ドラゴンの襲撃だ。


 こちらは当のドラゴンが逃走しており、再び村に襲撃にくる可能性があるため、現在最優先事項となっているのだ。


 この議題で話に上がったのが、ドラゴンに傷を負わせ、アリ村から追い払った、ヴァルキリーについてだった。



「姫! ヴァルキリーを我々にもお貸しください! そしてヴァルキリーの部隊を編成いたしましょう!」



 そう願い出てきたのは、オレの側近の1人であるゴンツだった。

 確かにヴァルキリーの数を増やせば、ドラゴンを倒すことも容易になるかもしれない。



「正直ヴァルキリーの部隊を造ることには、わたくしは反対です」



 だがそのゴンツの意見に難色を示したのは、ユースたんだった。

 ちなみに2歳児の体系となったユースたんは、現在幼児用のドレスを着ている。



「なぜです女神ユースティティア!?」


「あの装備は危険です。よほど信頼できる相手にしか、与えてはならないでしょう」



 ヴァルキリーは破壊のランスという、オレの黒金をも倒しかねない、兵器を搭載しているのだ。

 そんなヴァルキリーが、敵のスパイにでも渡れば、目も当てられない結果となるだろう。



「しかもあのヴァルキリーには欠陥もあります。そうよねヨッシー?」


「はい・・・・。確かにヴァルキリーには欠陥があります」


「あの完璧に見えるヴァルキリーに、いったいどのような欠陥があるというのですか!?」


「それはヴァルキリーは、魔術適性のない者には、乗りこなせないということです」


「そんな・・・まさか・・・」



 オレもこの欠陥には、最近気づいたのだが、どうやらヴァルキリーを操るためには、魔術適性が必要らしいのだ。


 それは学園時代に、バリーの戦闘力増強を図ろうとした際に、発覚したことだ。

 魔法が使えないバリーには、ヴァルキリーの装備は勿論、風魔法を駆使した素早い移動手段が、いっさい使えなかったのだ。

 それをユースたんは、魔術適性の問題だと断じた。


 ただ魔石カートリッジ式の魔銃などで、出力を設定済みの物ならば、魔術適性が無くても、問題なく使用可能なので、その辺りを踏まえた上で改良を加えれば、もしかしたらその欠陥も、克服できるかもしれない。

 いずれにせよ現在多忙につき、その研究は後回しになっているがね。



「そういうわけでオレや皆からの信頼もあり、ヴァルキリーを使用可能な人物は5名に絞らせていただきました」



 ヴァルキリーを使用するには、魔術適性と、領主であるオレや、オレの側近からの信頼が必要なのだ。

 それを踏まえた上で、オレはある5人を、ヴァルキリーの装備者として選んだ。



「まずコロンは・・・・」


「ワタシにはそいつは必要ない!」



 ですよね~・・・・。


 コロンはヴァルキリーを極端に毛嫌いしているのだ。

 それはヴァルキリーに対する、対抗意識からなのかもしれないが・・・・。

 どちらにせよコロン程の戦闘能力があれば、ヴァルキリーは必要ないだろう。


 そしてオレは次の候補の目を見た。



「わたくしには必要ありません」



 すると言葉を発する前に、ユースたんに断られてしまった。

 まあユースたんは自前で魔法障壁を張れるし、身体強化や風魔法により、ヴァルキリー以上の動きが可能だからね。



「では次にフォセットさん・・・・」


「はい!」



 オレが次に候補者として選んだのはフォセットさんだ。

 彼女はシャルちゃん専属の護衛であるが、オレが信頼を置いている人物の1人だ。

 だが彼女にこれだけは、確かめておく必要がある。



「貴女はオレとシャルちゃん・・・・両方が危機に陥った場合、どちらを助けますか?」


「申し訳ありません。・・・・その場合シャルロッテお嬢様を優先させていただきます」


「フォセット!」



 シャルちゃんはそんなフォセットさんに、目くじらを立てるが、こればかりは仕方がないだろう。

 これは彼女の信念の問題なのだから・・・・。


 だがこれでフォセットさんが、シャルちゃんを人質に取られた際に、敵にまわる可能性があることが、わかってしまった。

 そんなフォセットさんに、ヴァルキリーという危険装備を、渡すわけにはいかない。



「それではライザさん・・・・次に貴女の気持ちを聞きたいです・・・」



 ライザさんはフランちゃんの護衛だ。

 だからフォセットさんと同じ様な、結論を出す可能性もある。



「申し訳ありません・・・・フロランスさま・・・・。私はヨーレシアさまに近づくために貴女を利用しました・・・。私はフロランスさまの護衛ではありますが、ヨーレシアさまにお仕えしたいと、ずっと思っていたのです」


「はあ~・・・・。なんとなく気づいてはいましたよ・・・・」



 ライザさんのその言葉を聞いたフランちゃんは、残念そうな顔はしたが、笑顔でそう答えた。



「次にパナメラさん・・・・」


「わたくしはヨーレシア姫一筋です!!」



 オレがパナメラさんに尋ねようとすると、パナメラさんはオレが言い終わる前にそう即答した。



「ではパナメラさんとライザさんには、本日からヴァルキリーの訓練をしていただきます」


「「よろしくお願いします!」」



 パナメラさんとライザさんは、嬉々としてそう返事をした。

 こうしてヴァルキリー装備者が、二人追加された。



「私もヨーレシア姫には忠誠を誓っております!」


「俺もです!」



 するとアーノルドとゴンツが、そんなことを言って来た。

 そして期待を込めた目で、こちらを見つめてきたのだ。

 そう言われたも、魔法を使えない二人には、ヴァルキリーを使えないし・・・・。



「それでは二人には、魔道航空機を任せてみてはどうかしら?」



 するとユースたんが、そんな提案をしてきた。


 魔道航空機とはヘリコプター型の、魔石を動力とする航空機だ。

 確かにサンプルデータもあるし、これならすぐにでも製作可能だ。

 だが前世で空の事故の悲惨なニュースを、聞いたことのあったオレは、この魔道航空機については嫌煙していたのだ。



「航空機は危険では?」


「墜落に対する危険性を危惧しているのね? それなら安心よ。貴女も黒金には、落下時の安全装置を付けていない?」



 確かに黒金には浮遊能力もあり、その浮遊能力で、高所からの落下の衝撃を抑えている。

 それが黒金の安全装置とは言えなくもない。

 

 浮遊能力の仕様は、地面すれすれでは浮かぶが、それ以上になると、徐々に落下していくというものだ。


 この仕組みを魔道航空機に使えば、最悪墜落しても、助かる可能性は格段に上がるだろう。



「わかりました・・・・。アーノルドとゴンツには、明日から魔道航空機の訓練をしていただきます」


「「ありがたき幸せ!!」」



 こうしてアーノルドとゴンツには、魔道航空機を任せることになった。



「ヨッシー。それだけでは不十分よ」


「え? 何でですかユースたん?」


「ヴァルキリーには跳躍はできても、飛行が出来ないでしょ? 貴女の黒金もそうよ。空を飛ぶドラゴンを相手に、跳躍のみではどうしても不利になっちゃうわ」



 確かに空から襲い掛かってくるドラゴンに対して、跳躍のみでは不利かもしれない。

 それなら飛行ユニットを、試して見るのがいいかもしれない。


 飛行ユニットは魔道航空機と違い、15分程度しか飛行ができないが、小回りの利いた飛行が可能だ。


 それに魔道航空機で運搬してもらえば、飛行ユニットの飛行時間も稼げるだろう。


 この飛行ユニットも墜落の危険性を考え、嫌煙していた装備の一つだが、今はそんなことを、気にしている場合ではないのかもしれない。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


 《ブックマーク》 と


 評価★★★★★を

 

 お願いします。

 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

 感想、レビューもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ