04:アリ村の現状
「今日は農地の視察をしていただきます」
その日の朝、パナメラに予定を尋ねると、そんな答えが返ってきた。
農地開拓については数々の問題があり、現状では上手くいっていない状態だと聞いている。
視察を行うことで、その農地開拓の問題点について、確かめる必要があるのだろう。
「あの村人たちは・・・?」
オレが農地に向かおうとすると、いまだに集合住宅を、うろうろとしている村人が目についた。
その村人はふてぶてしく歩き、ガラの悪い感じを受ける。
「パダーム領から押し付けられた問題のある人員です。あれこれと理由をつけて、働こうとしないのです」
「どうしてパダーム領はそんなことを?」
「パダーム領を統治するゲスノール伯爵は、若くして活躍しておられる、ヨーレシア様を妬んでおられるのではないでしょうか?」
いくら問題のある人員でも、好意で寄こされた人員を、いきなり追い出すのは、貴族としては外聞が悪い。
その辺りを把握しての行為だとしたら、より一層質が悪い。
その原因が妬みということなら、しっくりこなくもない。
若干11歳で伯爵に就任したオレを、妬んでいる貴族は多いのだろう。
だがどんな理由があろうと、働ける人員を、放置しておくのはもったいない。
「コロン。あの村人たちの教育を頼めるかな?」
「よし! 任せとけ!」
コロンは赤い目をぎらつかせながら、その村人たちの元へ向かった。
現在のコロンの身長は180以上にもなっており、その迫力は以前の比ではない。
反抗的な村人たちも、すぐに素直になることだろう。
ドカ! バキ!
「何だこの怪力娘は!?」
「強ええぞこいつ!」
「ひいぃぃ! お助け!」
「おら! てめえらきりきり働け!」
コロンは嬉々として、反抗的な村人の教育を開始した。
コロンが反抗していた村人を引き連れて来ると、オレは彼らを引き連れて、農地へと向かった。
「随分と広い農地ですね・・・・」
農地に到着してみると、そこは人員に対して、あまりにも広大な農地だった。
この農地をこの人数で開拓するには、無理があるだろう。
なぜこの人数に割り当てられた農地が、ここまで広大なのだろうか?
「予定されていた人員がいまだに全員到着していないのです。調べたところなんらかの妨害に遭い、人員の大半がこちらに到着していない有様なのです」
オレがその理由を尋ねたところ、農地開拓の指揮を行っていたアーノルドから、そんな答えが返ってきた。
どうやらこのヒュロピア領は、色々と問題のある領地のようだ。
「とりあえず農地開拓に必要な魔道具を出すから、それでなんとかしてみてくれ」
オレは魔道耕うん機やら、魔道草刈り機やら、魔道ショベルカーなど、思いつく限りの魔道具を数台製作して、アーノルドに託すことにした。
国から出た予算は、まだかなり残っているので、これくらいの魔道具を造るのに苦はない。
「これはまたとんでもない魔道具を・・・・」
使いかたの説明などに、苦労した部分はあったが、村人が魔道具を使いこなし始めると、農地開拓は徐々に軌道に乗り始めた。
「とりあえずまず優秀な人員を送ってく頂いたゲスノール伯爵にはお礼をしないといけませんね」
オレは悪い笑みを浮かべながらそう呟いた。
悪い人員を押し付けてくれた、お礼はしなくてはならないだろう。
「それならば近々近隣の領地への、挨拶回りがありますので、その時にでもなさってはいかがでしょうか?」
オレの呟きが聞こえたのか、パナメラがそんなことを言って来た。
貴族の挨拶回りには贈り物が必須だという。
そのゲスノール伯爵とやらには、どんなお土産を渡すのがいいだろうか?
その後はアリ村に城壁を造ったり、他の村の視察をしたりと、忙しい日々を送った。
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