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35:革命


「あらよっと!」


「うわああ!!」「ぎゃああ!!」



 オレは民衆に横暴を働く正教騎士を、次々と摘まんでは、空高く飛ばせて差し上げた。

 現在巨大ゴーレム黒金を起動中で、武器も魔法も効かないオレは、もはや無双状態と言ってもいい。



「おら! どうした歯ごたえがないぞ!」



 コロンも同じく槍をふるい、次々と正教騎士を、叩き伏せて行く。



「いいぞ姉ちゃんやっちまえ!」


「でかいのもっとやれ!!」



 すると民衆からオレとコロンへ、声援が飛んでくる。



「助太刀するぞ!!」



 すると民衆の中から、オレたちの助太刀を買って出る集団が現れた。

 それは丸刈りで貴族服を着た、血気盛んなおじさんを先頭に駆け付けた、武装集団だった。



「おじさん誰?」


「うお! 巨体なのに声はずいぶんと幼いな!?」



 オレが武装集団の代表らしきおじさんに尋ねると、黒金をまとったオレを、巨体の男と勘違いしたのか、驚かれてしまった。



「私はレジスタンスの代表、ガレオ・ヴァレールだ! 君たちは女神ユースティティアの眷属という認識でいいのかな!?」


「まあ・・・そんなとこ」



 オレがユースたんの娘とか、コロンは魔族で、ユースたんのただの友達だとかはっきり言うと、逆にややこしくなりそうなので、いちおうそう答えておく。



「よし! このまま神殿の中の奴らも捕縛しろ!」



 粗方正教騎士が倒されると、ガレオのおっさんがそう叫んだ。

 そのガレオのおっさんの掛け声で、いっせいに群衆が大神殿の中へなだれ込んでいく。


 こうしてレジスタンスの皆さんや、民衆の手によって、次々と正教騎士や枢機卿とその配下たちは捕縛されていった。






『我々はこの国の次の代表を決めねばなりません!』



 大神殿が制圧され暴動がおさまると、ユースたんが民衆に向けてそう告げた。



「女神ユースティティア様が我らを導いてくださるのではないのですか!?」


「女神ユースティティア様! 我らをお導きください!」


「我らの国の代表は女神ユースティティア様がやるべきだ!」



 するとユースたんを国の代表にという声が次々と出てきた。



「皆待つんだ!!」



 するとそこにレジスタンスの代表、ガレオのおっさんが現れた。



「我々の政治は我々の手で行わなければならない! 人は人が導くべきなのだ! そこに神が介入してもろくなことはない!」



 どうやらガレオのおっさんは、ユースたんが代表になることには反対のようだ。



『その通りです気に入りました! わたくしは貴方をこの国の王に推薦します!』



 そしてあっさりとこの国の代表の座を、ガレオのおっさんに譲るユースたん。

 おそらくだがユースたんは、国の代表などという、面倒な役割はやりたくないのだろう。

 ユースたんはそういう赤ん坊だ。



「え?」



 するとガレオのおっさんは、煮え切らない表情で、ユースたんを見た。



「女神ユースティティア様がおっしゃるなら仕方ないな・・・」


「女神ユースティティア様が決めた者なら間違いはあるまい!」


「俺もガレオ・ヴァレールが国王になることに賛成だ!」



 そして次々にガレオのおっさんを、国王にという声が上がる。



「待て待て待てえええ!!!」



 するとなぜかガレオのおっさんが、拒絶ともとれる声を上げた。



『何ですガレオ・ヴァレール? レジスタンスの長である貴方が、まさか王になることを拒絶するなんてことはありませんよね?』


「違うのです女神ユースティティア! 私どもレジスタンスの考えは、この国を共和制にすることなのです!」



 共和制とは、国民が選挙によって、国の代表者を選んでいく制度だ。

 ガレオのおっさんはジュノマ聖国を、共和国にするつもりのようだ。



『絵空事ですね・・・・。この国が本当に純粋な共和制でやっていけるかしら? まあ現実を思い知るとよいでしょう。どのみち最初の代表者は貴方になるでしょうけどね・・・・』



 ユースたんの現実を思い知るとは、いったいどういうことだろうか?

 それほどこの国を共和制でまとめ上げるのは、大変だということだろうか?



『あとジェノバ教は全国に散らばる教会に、孤児や浮浪者を養っています。取りつぶせば彼らが路頭に迷うでしょう。なので政治にかかわらない、武力放棄する形で、別の名前で活動させなさい』


「はい。それは考えております。ではその新たな教会には女神ユースティティアからの教えをお願いします」


『仕方ないわね。ヨッシー、コロン。あと数日この国に滞在することになりそうだけどいいかしら?』


「別にかまわねえ」


「仕方ありませんね・・・・」



 ジェノバ教の教会はクアリーの街にもあったし、あの教会にはオレと仲良くしてくれた孤児もいた。

 彼らが路頭に迷うのはオレも心苦しい。

 女神ユースティティアの箔が付いた教会ならば、各国も無下にはしないだろう。

 ここはユースたんにぜひ教会を、教え導いていただこう。


 その後正式な会議で、教会や国の体制のことなどが話し合われ、名実ともにジェノバ聖国はこの異世界から消滅した。


 そして国名を、神が生まれ変わらせた国を意味する言葉、ジェフネを使い、ジョフネ国と改名し、宗教名を平和を意味する言葉、ピスフルを使い、ピスフル教としたのだ。


 ただこの国がガレオのおっさんの目指す、ジョフネ共和国と名を改めるまでには、まだ遠い道のりになるようだ。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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