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34:女神ユースティティアの演説

『ジュノマ聖国の皆さん。お集まりいただき感謝します』



 現在オレとコロンとユースたんは、ジュノマ教の総本山である大神殿の、公衆広場の見えるテラスに立っている。

 そして縛り上げた教皇と、ベルナルダン枢機卿もここにいる。


 テラスの真下にはジュノマ聖国の人々が集まり、ユースたんの言葉を聞いている。


 ユースたんは魔法を使い、ジュノマ聖国の聖都中の人々に声を届けて集めたのだ。



「あの神々しい気配を放つ赤ん坊が、我らに声を届け、集めた本人か!?」


「あの気配は神殿にある女神ユースティティア像が放つ気配そのもの!」


「まさしくあの赤ん坊こそ女神ユースティティアの生まれ変わりではないか!」


「「女神ユースティティアに祈りを!!」」



 皆さんがどのような感じで、ユースたんを女神ユースティティアと判断しているか、わかった気がする。


 だとしたら大神殿で裁判を行った信者の皆さんも、ユースたんが女神ユースティティアであると、知っていたのではないだろうか?

 本当にそうだとしたら、例え一方的であっても、自らの信仰する対象を貶めようとするなど、もはや救いようがない連中なのではないだろうか?


 まあオレはその女神像とやらを、拝んだことすらないがね。


 そして女神ユースティティアを信仰する国だけあって、ジェノマ聖国の人々の熱意が半端ない。

 まるでアイドルのステージに集まる、熱狂的なファンのようだ。



『いまからわたくしは皆さんに、残念なお知らせをしなければなりません』


「残念なしらせ?」


「女神様自らが・・・?」


「いったいどのような話だ?」


『ジェノマ聖国は終わりを迎えます』


「終わる? この国が?」


「それはいったいなぜだ・・・?」



 それを聞いた人々から次々と戸惑いの声が上がる。



『なぜならこの国の教祖ジェノマを、わたくしは教え導いてなどいないからです。つまりジェノマ教の教えは、彼がでっち上げた嘘なのです。ようするにこの国そのものが嘘で成り立った国ということなのです』


「そんな馬鹿な・・・・」


「まさか教祖ジェノマの教えが嘘だったなんて・・・」



 そして真実を聞いた人々から、落胆と絶望の声が出始める。



『しかもこともあろうかそれを知った現教皇エクサソリイは、ベルナルダン枢機卿とその配下の者たちと共に、わたくしを亡き者にしようとしたのです!』



 あの教皇の名前・・・・エクサソリイだったのか・・・・。



「エクサソリイ教皇自らがそのような行為に・・・・」


「確かに終わりだ・・・この国は・・・・」 


「お許しください女神ユースティティア! それはなぜかあの時ベルナルダン枢機卿の言うことに逆らえず・・・・」



 それを聞いていたエクサソリイ教皇が、ユースたんに許しを請うために、すがるように謝罪し始めた。

 エクサソリイ教皇はベルナルダン枢機卿の洗脳魔法を受けて、言いなりになっていたのか?

 だとしたら少し気の毒にも思えてくる。



『逆らえなかった? ベルナルダン枢機卿に? 洗脳対策が完璧な貴方がですか?』



 どうやらエクサソリイ教皇には、洗脳魔法が効かなかったようだ。

 

 つまり洗脳魔法をかけられたふりをして、虚言で許して貰おうとしていたのだろう。

 最低の人間だ。気の毒でもなんでもなかった。



「ひっ! 申し訳ありません女神ユースティティア! この男には弱みを握られてしまして・・・つい・・・!」


『つい・・・で自らの信仰する女神を殺そうとするような者が、果たして教皇としてふさわしいでしょうか? それでは信者の資格すらありませんね? もっとも偽物の教皇だったわけですが・・・』



 ユースたんの言うことももっともだ。

 それを聞いたエクサソリイ教皇は、白くなって魂を吐き出した。チ~ン・・・・



 ドンドンドン!!


「お前らここを開けろ! 我々は正教騎士だ! 貴様らを捕縛する!」



 どうやら後ろにある扉の向こうから、追手がやってきたようだ。

 彼らはユースたんの声を聴いてなお、なぜユースたんに刃を向けようとするのだろう?

 彼らも女神ユースティティアを信仰する、ジェノマ教の信者であるはずなのだが・・・。

 まあ敵である以上排除しますけどね。

 



「ヨッシー! やっておしまい!」


「了解!」


 ドシャ~ン! バリバリバリ!!



 オレは扉の向こうにいる正教騎士に向けて、電撃を流して差し上げた。

 


「「ぎゃああああ!!」」



 すると複数の叫び声が上がり、その後静かになった。

 どうやら扉の向こうは、死屍累々の状態となったようだ。



「この人でなし教皇!!」


「今まで払った高額のお布施を返しやがれ!!」


「ジェノマ教を取りつぶせ!!」


「「おおおおお!!」」



 そしてオレが目をはなしている間に、どうやら暴動が起こったようだ。



「ここを通せ!」


「「そうだそうだ!」」


「教皇や枢機卿に今までの横暴な行いの罪を問え!」


「「そうだ! 罪を問え!」」



 だが大神殿に詰めかけようとする、民衆の前には教会の騎士が立ちふさがり、誰一人入れないようだ。



「教会に逆らう者には容赦はせん!」


「暴徒を鎮圧せよ!」


「うわ! 何をしやがる!」「騎士が攻撃してきたぞ!」



 しかも武器をもたない民衆に対して、容赦なく剣や魔法を使い、攻撃をはじめたではないか。



「ヨッシー、コロン! 民衆を傷つけるあの横暴な正教騎士を懲らしめてやりなさい!」



 まるで水戸のご隠居のように、ユースたんがそう命じてくる。



「はいはい・・・。やりますかね」


「お~う! やっと暴れられるぜ!」



 そしてオレとコロンはテラスから飛び降り、民衆の前に立ちふさがる正教騎士に向けて攻撃をしかけた。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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