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33:異端審問裁判


「それでは異端審問裁判を開廷いたします!」



 オレが聖国で投獄されてから数日後、異端審問裁判は開廷された。

 通常裁判は時間をかけて準備してから行われるものだが、その開廷の早さに、オレは何か陰謀が見え隠れしてならなかった。


 裁判には多くの傍聴人も訪れ、特別な傍聴室には、教皇と思われる人物と、下卑た笑みを浮かべるベルナルダン枢機卿がいた。


 オレとコロンとユースたんは、部屋の中央に立たされ、まるで晒し物のようだ。

 もちろん三人とも両手に魔封じの手枷をされている。


 いざとなったらオレは、破壊の光を使いこの手枷を壊して、黒金を起動し、ユースたんとコロンを助けて逃げ出す算段でいる。


 ここまでオレが大人しかったのは、ただコロンに言い止められていたからだ。

 だがオレがもうそのコロンの言葉を聞くことはない。


 どのみち罪人として確定するならば、今更暴れて逃げ出しても変わらない。



「まずは異端審問官が三人の罪状を述べなさい!」


「まずはコロンなる魔族についてです! コロンはあの魔王コロナ・ロロロ・ンロダと同等の者であります! このような者を放っておくことはできません!」


「そうだ! 殺してしまえ!」


「魔王死すべし!」



 傍聴席からもコロンに向けて、野次が飛んでくる。

 


「次にヨーレシア・ド・ホワイトナイツについてです! その魔女の正体は巨大で邪悪な黒き魔人であります! 複数の信者がその姿を目撃しております!」


「意義あり!!」



 オレは両手を上げて意義を訴えかける。



「魔女の意義は認められない」



 どうやらオレの意義は、認められないようだ。



「最後にその赤子についてだ! その赤子は罰当たりにも、自らを女神ユースティティアであると風潮した上に、邪悪な力でベルナルダン枢機卿を襲ったのです!」


「この罰当たりが!」


「くたばれ!」



 そして再び傍聴席から野次が飛んでくる。



「それでは判決を言い渡す!」



 えっと・・・・罪状認否とかすっとばしているのですが?

 この国の魔女裁判はずいぶんと理不尽なもののようだ。



「三人にこの場での死刑を言い渡す!」


「殺せ!」


「やっちまえ!」



 ほう? そうですか?


 初めからこいつらは、オレたちを公開処刑にでも、するつもりだったようだ。


 オレはこの時、怒りが頂点に達した。



「ヨッシー。その手枷を壊してはダメよ?」


「はあ?」



 すると聞き覚えのある声が、オレの後ろから聞こえてきた。


 なんと見ると魔封じの手枷をしたユースたんが、オレの後ろでふよふよと浮かんでいたのだ。


 

 パキン!


「え?」



 そしてオレの手枷の錠が外れる。



「ば、馬鹿な! 魔封じの手枷をしていてなぜ魔法が使える!?」



 するとそれを見ていた異端審問官の一人がそう叫んだ。



「この魔封じの手枷は、魔術の命令式の発動の部分を封じた物でしょ? なら発動の部分の文言を変えてしまえば余裕で魔法が発動できてしまうのよ」



 ユースたんの言う意味が、オレにはよく理解できなかったが、どうやらユースたんに魔封じの手枷が効かないことはわかった。


 あとユースたんの流暢な口調にも驚いた。

 今までの赤ん坊口調は、どうやら芝居だったようだ。



「ごめんユース。壊れちゃった」



 すぐ横を見ると、すでにコロンが魔封じの手枷を、壊したところだった。



「ああもう! それは教皇とベルナルダン枢機卿を、拘束するために使う予定だったのに・・・」


 

 コロンは何で魔封じの手枷があるのに、身体強化を使えるのだろうか?

 身体強化も魔力を使う技術なので、魔法が封じられれば使えないはずなのだ。

 オレは今もそのことについては疑問に思っていた。


 後で聞いた話なのだが、どうやらコロンの使っている身体強化は、ユニークスキルのようなもので、魔法とは似て非なるのものだとか・・・・。

 まあこれ以上聞いてもわからないので、オレはそれで納得しておいたが。



「あの三人を捕らえろ!!」


「黒金!!」



 オレは異端審問官たちが詰めかけると同時に、巨大な黒金を起動した。


 

「ヨッシー! 異端審問官は無視して! 死なない程度に周囲に電撃をお願い!」


「了解!」



 オレはユースたんとコロンを肩に乗せると、足元から周囲に微量の電撃を放った。


 

 バリバリバリ!!


「「ぎゃあああ!!」」



 すると周囲には気絶者が続出し、死屍累々の状態となる。



「あの二人は逃げていないわね! 捕らえてちょうだい!」



 ユースたんは気絶してのびている、教皇とベルナルダン枢機卿を指さしながらそう言った。

 どうやらユースたんは、あの二人が逃走しないように、オレに電撃を使わせたようだ。



「あら? こんな場所に隠していたのね?」



 ユースたんは気絶しているベルナルダン枢機卿に近づくと、首から下げていた、女神のペンダントの後ろを探り、小さな杖のようなものを取り出した。



「それは?」


「これは洗脳の杖よ。ベルナルダン枢機卿はこれで洗脳魔法を使っていたのよ」



 そしてユースたんはベルナルダン枢機卿から、洗脳の杖を取り上げた。

 これでベルナルダン枢機卿は、厄介な洗脳魔法が使えなくなったようだ。



「えっと・・・・。ユースたんはなぜ今までこのようなお芝居を?」


「ここまで芝居をうたないと、この二人を騙して捕らえるなんて、不可能だと思ったからよ」



 どうやらユースたんがこれまで一芝居うっていた理由は、教皇とベルナルダン枢機卿を、確実に捕らえるためだったようだ。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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