30:異端審問官
ベルナルダン枢機卿と遭遇して数日後・・・・。
オレは学園で魔術科の授業を受けていた。
そんな中物々しい足音をさせながら、黒い鎧を着こんだ男たちが、教室に入り込んできたのだ。
その見た目はまるで、前世の歴史動画で見た十字軍騎士のようだ。
「我々は異端審問官であ~る! この教室には禁忌の力を使う魔女がいる!」
そして教室の壇上に上がり込むと、そう告げたのだ。
どうやら彼らは異世界物でもテンプレの集団、異端審問官のようだ。
「間違いでしょう! この学園にそのような者はおりません!」
その言葉に対してレイスロン先生が抗議する。
「黙れ老いぼれ!」
ドカ!
「ぐあっ!」
すると非情にも異端審問官は、レイスロン先生を殴り飛ばしたのだ。
「貴様も異端者になりたくなければ黙っていることだな!!」
異端審問官は倒れているレイスロン先生にそう言い放つ。
オレはその様子に怒りが込み上げ、席から立ち上がる。
だが気づくとオレの両端からは、異端審問官が迫っており、オレの逃げ場を塞いでいたのだ。
「ヨーレシア・ド・ホワイトナイツ! お前を魔女として連行する!」
そして異端審問官はオレに向けて、そう告げたのだ。
「何かの間違いでは?」
「間違いなどではない! 貴様のような怪しげな魔法を使う者が、魔女でないはずはない!」
なんという強引な言い分なのだろうか?
その言葉で誰が納得するというのだろうか?
ピロピロピロ! ピロピロピロ!
そしてそのタイミングで、オレのスマホが着信通話を知らせる。
こんな時にいったい誰だろうか?
見ると通話の相手は、ユースたんだったのだ。
「えっと・・・。ユースたん? 今取り込み中だけどいったいなに?」
『ワタシだ! コロンだ!』
ユースたんの遠話の魔道具に出たのは、なんとコロンだったのだ。
「えっと・・・・。ユースたんに何かあったのか?」
『ユースが人質にとられた! 悪いがそちらに異端審問官が現れたら素直に捕まってくれ!』
なんとコロンの話す内容は、そんな信じられない内容だったのだ。
いったいコロンとユースたんに、何があったというのだろうか?
「こいつに魔封じの手枷をはめろ!」
オレはそれを聞いて唖然としている間に、手枷をはめられ、拘束されてしまった。
魔封じの手枷をはめられたということは、オレはスマホの能力を封じられてしまったということだろうか?
オレはそのまま異端審問に担ぎ上げられ、どこかに連行されていった。
「うあ!!」
ドカン!!
「ここで大人しくしていろ!」
気づくと何やら荷車の中に、投げ込まれていたようだ。
どうやらオレはこのまま、この荷車に積まれ、どこかに連れていかれるようだ。
「おいヨッシー! 無事か!?」
「コロン・・・・」
見上げるとそこにはコロンがいた。
コロンもどうやら魔封じの手枷をはめられ、力が使えないようだ。
「悪いな。ワタシもユースを人質にとられこの有様だ」
どうやらコロンはユースたんを人質に取られ、捕まってしまったようだ。
あのコロンが果たして、ユースたんを人質に取られたぐらいで、捕まるだろうかと疑問に思ったが、目の前にいるのは間違いなくコロンだ。
「ばぶばぶ!」
そしてコロンの足元には、力を失いただばぶばぶ言うだけの、ユースたんがいた。
どうやらユースたんも魔封じの手枷をはめられ、魔力を封じられてしまったようだ。
こうなればあのユースたんも、ただの赤ん坊だ。
「馬車を出せ!」
そして無情にも、馬車は走り出してしまう。
オレたち3人を乗せて・・・・。
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