28:発電の魔道具
ヴァルキリーをシャルちゃんとフランちゃんにお披露目した後、オレはレーティシア姫に会食に招かれた。
そこでヴァルキリーのことが話題に上がり、冷や汗をかく場面もあったが、レーティシア姫のスリーサイズを知らなかったことを理由に、なんとか難を逃れることが出来た。
そんな会食の最中、同じく会食に参加していたユースたんに、オレはあることを相談していた。
「やっぱり電子レンジが使いたいですね」
ヴァルキリーを装着しての戦闘訓練の後、オレたちは冷凍弁当を解凍して食べた。
だがこの異世界には電子レンジが存在せず、仕方なく湯煎で解凍していたのだ。
電子レンジで解凍すれば、冷凍弁当は5分で解凍出来てしまうのだ。
だが湯煎では解凍に15分近くもかかってしまった。
それにお湯を沸かす手間まであるのだ。
それをもどかしく感じていたオレは、電子レンジを使うために、発電機が作れないかを考えていたのだ。
通販サイトで販売されている発電機は、どれも素晴らしいが、ユースたんの提唱する発電機が、かなりぶっ飛んでいた。
「そのくらいの電気でちたら、その辺りに漂っている程度の魔素でも、生み出せるんじゃないでちか?」
「ええ? この辺りに魔素が漂っているんですか?」
ユースたんによると、異世界では空気中にも微弱に魔素が漂っていて、家電製品を動かす程度の電気であれば、空気中の魔素を循環させることで、半永久的に発生可能なのだとか・・・・。
「ただこの辺りの魔素では100V程度の電気しか生みだせまちぇんので、場合によっては電気を生み出す魔道具を、連結する必要がありまちゅがね」
さすが神を自称する、高次元生命体だけはあるようだ。
この技術を地球で公表すれば、世界がひっくり返ること間違いなしだ。
まあ地球に魔素が存在すればだがね。
あと場所によっては、使える電力が違うらしいので、場所によっては家電すら動かない場合もあるらしい。
つまり場所によっては、使えない技術と言うのが欠点のようだ。
「この命令式をわたくちの図案どおりに作り上げた、発電の魔道具にお使いなちゃい」
以前から地球の家電に興味を示していたユースたんは、快く発電の魔道具の製作に手を貸してくれた。
あとはオレがこの魔道具を、スマホのアプリで作り上げるだけだ。
「思ったよりも小さな発電機ですね?」
会食の翌日、発電の魔道具を完成させたオレは、再びユースたんのもとを訪ねていた。
完成した発電の魔道具は、高さ15センチメートル程の立方体に、コンセントがついたような物だ。
この発電の魔道具に十分な魔素を、蓄えるのに少し時間はかかるが、魔素さえ溜まってしまえば、半永久的に電気を供給できるそうだ。
「おお! これで未視聴のアニメが見られるぞ!」
オレはDVDプレーヤー内蔵テレビを購入すると、さっそく未視聴のアニメのDVDを購入して、アニメを見始めた。
「ヨッシー・・・・。これはこれで楽しいのでちゅが・・・さっそく趣旨が変わっていまちゅよ?」
「は! そうだった電子レンジ!」
どうやらオレはアニメを目の前にして、電子レンジという当初の目的を忘れていたようだ。
「よし! 電子レンジ購入・・・・。まあ電子レンジはまた今度試すか・・・・」
電子レンジを購入したものの、王宮でも学園でも、食事が用意されているオレには、現在電子レンジの使い道がなかったのだ。
というわけで呆れるユースたんをよそに、一時間近くもアニメを見続けたのである。
そんな最中ある不快な出来事が起こった。
「ユース様! ベルナルダン枢機卿が面会を求めてやってこられました!」
アニメの視聴も終わりに差し掛かったころ、ユースたんの世話役である、使用人のおばさんが駆け込んできたのだ。
「アポなしでの面会はお断りでちゅ! 追い返しなちゃい!」
ユースたんは使用人のおばさんに、そうぴしゃりと命じる。
いったいそのベルナルダン枢機卿が、何の用事でユースたんに会いに来たというのだろうか?
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