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26:茶葉騒動



「ヨーレシア様! この茶葉は何でございましょう!?」



 狩りを無事に終えて野営地に戻ると、唐突にリュシーさんにそんなことを聞かれた。


 オレたちが狩りに行っている間に、3名の使用人には、冷凍弁当の温め具合を確かめてもらっていたのだ。

 こちらには電子レンジがないので、湯煎で冷凍弁当を解凍する際には、丁度いい温め時間を知る必要があったのだ。


 だいたいは15分で大丈夫ではないかと思っていたので、そう知らせてはいたのだが、念のために砂時計を渡し、計測してもらっていたのだ。


 すると開口一番にリュシーさんの口から、飛び出た台詞がそれだったのだ。



「えっと? 茶葉なんて渡していました?」


「お忘れですか!? ヨッシー様より昨夜、今日のお食事の際にと、いただいた茶葉でございますよ!」



 そう言えば昨日、今日のために特別な茶葉はないかとリュシーさんが悩んでいた時に、美味しいと評判の紅茶を、通販で購入してあげた記憶がある。



「ああ・・・・。確かアールグレイでしたよね? それがどうかしたんですか?」


「そのようなお名前だったのですねあの茶葉は!?」



 そういえばリュシーさんには、美味しい茶葉としか、伝えていなかったのを思い出す。



「えっと・・・・。確かお弁当の解凍を頼んでいましたよね?」


「ええ! お弁当は無事に解凍が成功し、3人で試食させていただきました! それは美味しゅうございましたが・・・・その時に出したこのお茶が、大変美味だったのでございます!」


 

 するとリュシーさんの言葉に合わせて、シャルちゃんのメイド2人も頷いていた。

 どうやらこの2人も、あの茶葉が気になっているようだ。

 確かこの2人の名前は、ミモザさんとアンナさんだ。


 それにしてもあの弁当よりも、茶葉の方が気になるとは、どうもこの国の文化については、まだわからないことが沢山あるようだ。



「この地域の茶葉では、あのような奥深い香りと風味は出せません! これは絶対に評判になる味ですよ!」



 アールグレイ・・・・そこまでか・・・・?

 茶葉に疎いオレは、メイドたち3人に気圧されながらも、出された紅茶を一口飲んだ。


 

「つつ~・・・・」



 ほのかに感じる甘い香り? フルーティーな感じだろうか?

 まあ紅茶にしては美味いな。

 リュシーさんの淹れ方も良いのだろう。



「リュシーこれ!?」


「ちょっとヨッシー様!?」



 だがオレ以外にこれを飲んだ令嬢2人が、かなり驚いた表情をしていたので、この紅茶はそれほどなのかもしれない。


 コロンは・・・・オレと同じであまり気にした様子は見られない。



「えっと・・・・。この茶葉の出所を知りたいのでしょうか?」



 どうやらコロン以外の全員が頷いているので、それに間違いはないようだ。

 この紅茶の茶葉の産地を知り、直接買い取りたいとか思っているのかもしれない。


 だが残念なことにこのアールグレイの茶葉は、オレはスマホの通販ショップで購入したものなのだ。

 つまりこの異世界では、手に入らない茶葉なのだ。


 ここはどう誤魔化したものだろうか?



「それはヨッシーが秘密の力で手に入れたものだろう。その秘密については・・・・わかっているよな?」



 そんな皆に対して、そう口を開いたのはコロンだった。



「そ・・・そうでしたわね」


「厳命ですわね・・・・」


「残念ですが致し方ありません・・・・」



 するとそれを聞いた全員が、何かを示し合わせたように追及を止めたのだ。

 皆の隠している厳命について少し気になるが、騒ぎが収まって良かった。



「まあオレに頼んでくれれば、茶葉くらいはいつでも用意しますよ」


「では秘密裏に購入させていただきます」


「当家にもお願いするわ」



 そんな話をしていると、弁当の解凍が終わったのか、使用人のアンナさんがトレーに乗せて、いくつかの弁当を運んできた。


 今回用意した弁当は、かつ丼弁当、オムライス弁当、お好み焼き弁当の三種類だ。

 弁当はそれぞれ2食ずつの、計6食用意したようだ。



「どれも目新しい物ばかりですが美味しそうですね」


「取り皿もくださるかしら? 全て少しづつ味を確かめたいわ」


「ワタシはかつ丼追加で」



 コロンは食う前から追加を要求しやがった。

 まあコロンの好みからして、かつ丼ばかりを食うのは、予想できたいたがな。



「ふわとろの卵の中に、この赤い穀物がよく合いますわね。このオムライスは気に入りました」


「わたくしはこの風変わりな黒いソースが気に入りましたわ。たしかオコノミヤキでしたか?」


「ワタシはカツドン一択だな!」



 コロンは1人かつ丼をかきこみ、シャルちゃんとフランちゃんは、3食を取り皿で少しづつ取って食べている。


 オレはオムライス半分で、お腹いっぱいだったがな。ケプ!


 最後にデザートにバニラアイスを食べて解散となった。


 この後はシャルちゃんを実家に送り届け、そのままフランちゃんを連れて、王宮に戻るのだ。

 夕方にはレーティシア姫に招かれ、夕食を頂く予定となっているのだ。

 今回はフランちゃんも招かれているので、色々と報告されそうで、今から怖い気もする。



 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

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