24:ヴァルキリーの武器
「それでは次に、ヴァルキリーに搭載された、武器について説明します」
ヴァルキリーの操作についての説明を終えたオレは、今度は武器についての説明を始める。
「ヴァルキリーのベルトには、それぞれ白と黒と銀の、棒が差してあります・・・・」
白の棒は抜くと短剣になり、魔力を流して振ることで、風の刃が飛んで行くのだ。
風の刃は速度は速いし、見えづらいという利点はあるが威力が弱い。
武器名は、風の短剣といったところだろう。
黒の棒は抜くと2メートルほどのランスになる。
このランスは魔力を流すことで、先端に破壊の光が発生し、あらゆる物を貫通するようになるのだ。
破壊の光は威力は高いが、消費魔力が凄まじい。
なのでこのランスに魔力を流す場合は、標的に当てる瞬間のみにしぼるのがいいだろう。
こいつは破壊のランスだな。
銀の棒は抜くと短い杖になる。
この杖に魔力を流すと、回復の光が発生して、傷を癒すのだ。
これはそのまんま回復の杖で・・・・。
なおこの三点は使うと、いずれも自らの魔力を消費する。
ちなみにヴァルキリーのエネルギーである魔力は、背中に背負う箱の中の、魔石によるものだ。
これは戦うための魔力を失っても、ヴァルキリー本体が魔力を残しておけば、いつでも逃走が可能になるからだ。
シャルちゃんもフランちゃんも、自前の魔力はそれなりにあるので、使えるなら使ったほうがいいだろう。
ちなみにオレの魔力は、湯水のごとくあるようなので、オレのヴァルキリーは、全て自前の魔力で運用している。
「なるほど。それで赤色のメーターがあるわけですね」
オレが話を終えると、フランちゃんがそう言った。
赤色のメーターは自前の魔力の量を示すものだ。
この赤色のメーターがなくなると、自らの魔力は枯渇し、三点の道具が使えなくなってしまうのだ。
シャッ! シャッ! ・・・・ズゴズゴン!!
「風の刃がこんなに簡単に出てしまうなんて! それに結構な威力ですわよ!」
さっそくシャルちゃんが、遠方の岩目掛けて、短剣を振り風の刃を放つ。
すると岩には、風の刃による傷がついた。
ズゴオオオン!! ガラガラ・・・・
「ものすごい威力ですのねこのランス! 大岩に突き刺さりましたわ!」
続けてフランちゃんが、ランスを大岩に向けて突き立てる。
するとランスが大岩に突き刺さり、そこから無数のヒビが広がり、大岩は半壊してしまう。
「ええ・・・少しよろしいでしょうか?」
「何でしょうライザさん?」
するとここで今回フランちゃんの護衛を務める、ライザさんが手を上げ、質問をしてきた。
「武器の威力が過剰すぎではないでしょうか?」
「私もそう思います! 護衛対象が逃げるだけであれば、その武器は必要ないかと・・・」
するとライザさんに賛同するように、シャルちゃんの護衛である、フォセットさんもそう意見を述べてきたのだ。
確かによく考えてみれば、ヴァルキリーを装着して、逃走を図るだけでも、追いつける者はそういないだろう。
それを考えれば武器などは必要もなく、回復の杖だけでよかったのかもしれない。
「そ、そうですわね。確かにわたくしも威力が強すぎると・・・・」
「そんなことはありませんわよ! 敵が必ず人間とは限りません! ビーストテイマーだっているんですから、魔物と相対する事態も起こるはずです!」
シャルちゃんは護衛二人の意見に賛成のようだが、フランちゃんがすごい剣幕でその意見に反対する。
「ならばその武器は、本当に身に危険が及んだ場合のみに使用すると・・・お誓いください!」
フォセットさんが真剣な顔で、二人にそう詰め寄る。
「いいでしょう! ただし今回のような、狩りや訓練などでの使用は許可していただきます!」
するとフランちゃんがビシッとポーズを決めて、フォセットさんにそう言い返した。
そしてオレはここで重要なことを、まだ二人に言っていなかったことに気づく。
「えっと・・・・ちょっと言いにくいんですけど・・・・・」
「なんでしょうヨッシー様?」
フランちゃんが怖い笑顔でそう言うと、四人がオレに注目する。
「そのヴァルキリーですが・・・・貸し出すだけですからね?」
するとフランちゃんは、何とも言えない顔でオレを見た。
まあヴァルキリーは自衛のためとはいえ武器だからね。
友達とはいえ他人に、軽々しくあげるものじゃないと、オレも思ったのだ。
「と、当然ですわ!! しかしわたくしこのヴァルキリーに見合う働きを、必ずしてみせます!」
「わ、わたくしも・・・・出来れば買い取りたいと思いますけど・・・」
どうやら二人はヴァルキリーを、手に入れる気のようだ。
まあ彼女らはともかく、その親が何というかは、わからないがね。
この後いよいよ二人には、ヴァルキリーを使った実戦訓練を、してもらう予定だ。
まあ実戦訓練といっても、護衛付きの魔物狩りだがね。
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