23:ヴァルキリーを装着しよう
「それでは今お二人の手元にある、ヴァルキリーの取り扱いについて説明します」
オレはシャルちゃんとフランちゃんに、剣型のアクセサリーのついたペンダントを渡すと、その中に収納されている、ヴァルキリーについての説明を始めた。
「これがヴァルキリーですのね?」
「これをどう装備するのですか?」
そのアクセサリーを目にした、シャルちゃんとフランちゃんは困惑気味の様子だ。
アクセサリーをひっくり返したりしながら、色々な角度から見ている。
現在オレたちは森の前の野営地に到着し、さっそく自衛のための訓練を開始しているのだ。
オレの前には今回訓練に参加するメンバーを始め、その護衛と使用人が集まり、オレの話に耳を傾けている。
「このペンダントには赤色と緑色のボタンがあります。緑色は清掃用のクリーンーモードですが、こちらは今回は使いません。今回使用するのは赤色のバトルモードです」
オレは剣型のアクセサリーを掲げ、そう説明する。
「あの・・・・。質問をよろしいでしょうか?」
「はい。なんでしょうかシャルちゃん」
「このような小さなペンダントが自衛の役に立つとは思えないのですが・・・?」
シャルちゃんは困惑しながらも、オレにそう尋ねる。
フランちゃんも頷いているので、同じように考えているのだろう。
「まあまあ・・・そう焦らないでくださいシャルちゃん。このペンダントを今から実際に使って見せますので」
ガチャン!
オレが赤いボタンを押すと、オレの腰の辺りに、まずベルトが出現するのだ。
このベルトが出現すると、オレの両足は地面から離れ、オレは宙に浮かぶのだ。
「「おおおお!」」
「ヨッシー様が宙に浮きましたわ!」
その様子に皆が驚愕し、声を上げる。
ガチャガチャン!
そして宙に浮いたオレの全身に、金属のプレートが装着されていき、それが全身を埋め尽くすと、白いプレートメイルを装着したような感じになる。
頭の部分は羽根つきのサークレットのみになっている。
これは視界を広くためだが、防御面は心配ない。
なぜなら見えない金属のバリアが、頭部を覆っているからだ。
羽根つきのサークレットは、あくまでビジュアル的なものだ。
そしてこれが今回二人にオレが勧める、ヴァルキリーの真の姿なのだ。
「「おおおお!」」
「すごいですわ! 瞬時に鎧が装着されました!」
「それがヴァルキリーですのね? でも重くはありませんの? そんなにごてごて鎧を着ていたら動きづらいのでは?」
フランちゃんは、この鎧の重さが気になったようだ。
「心配ありません。このようにいくらでも動けますから」
オレはその場で何度も高く跳躍して見せる。
ヴァルキリーの各パーツは、使用者の体の各部位の座標と姿勢を捉え、同じように動作する仕組みになっているのだ。
つまりヴァルキリーには、全く重さを感じることはないのだ。
それどころかヴァルキリーには、各部位の筋肉をサポートする仕組みが採用されており、使用者の力を倍増するのだ。
「「おおおお!」」
「信じられませんわ! そのような鎧を装着されておられますのに、そんなに高く飛び上がれるなんて!?」
皆がその様子に驚愕する。
「では次に護衛対象のお二人にも、この鎧を装着していただきます」
オレがそう言うとシャルちゃんとフランちゃんは、緊張の面持ちで、赤いボタンに指を乗せる。
そして二人はお互いの顔を見ると、何かを確認するように頷き、その赤いボタンを押すのだった。
ガチャガチャン!!
「す、すごいですわこの鎧! まさかこんなに軽いなんて!」
「思っていた以上に動きやすいですわ!」
そしてシャルちゃんには赤いヴァルキリーが、フランちゃんいんは桃色のヴァルキリーが装着された。
二人とも着心地を確かめるように、腕を振り回したり、軽く跳んだりしている。
「え~・・・。それでは今からオレが試しに駆けまわったり、ジャンプしたりしますので、二人とも遅れないでついて来てください」
「「承知しましたわ!」」
そしてオレが縦横無尽に駆け巡ると、二人も同じようについてきた。
「右上に緑色のメーターと赤色のメーターがあるのが見えますか?」
「はい・・・これでしょうか?」
「気のせいか、徐々に緑色のメーターが減っている気がします」
この二つのメーターは、頭部にある、見えない透明の装甲に表示されたものだ。
「その緑色のメーターは、ヴァルキリー本体の魔力残量をさします。それがなくなるとヴァルキリーは自動的に解除され、ペンダントに戻ってしまうので注意してください。また赤色のメーターは使用者の魔力残量です」
「つまりヴァルキリーを装着して、動けば動くほど、この緑色のメーターは減っていくわけですね?」
「そういうわけです」
「赤色のメーターは使用者の魔力残量と言われましたが、自らの魔力を使う何かがあるのですか?」
「それは今から説明を・・・・」
「おいヨッシー! いったん戻れ! 護衛が心配する!」
気づくとコロンがオレの横に駆け寄っており、そう注意をよびかけていた。
「お嬢様! そんなに高く跳んでは危険です!」
「お嬢様お待ちください! そんなに速く走られては護衛が追いつきません!」
見ると護衛や使用人の方々が、血相を変えてオレたちを、追いかけてきていた。
どうやら気づかないうちに、ずいぶんと移動してしまっていたようだ。
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