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21:遠話の魔道具


 ピロピロピロ! ピロピロピロ!


「おや? 着信通話だ・・・・。誰からだろ?」



 ダングのおっさんとの会合中に、スマホの通話の呼び出し音がなり、オレはスマホを手に取った。



「誰からでちゅか?」


「どうやらシャルロッテ嬢からのようです」



 スマホを見ると、通話の相手はシャルちゃんだった。



「ヨッシー・・・その魔道具はいったい何なのだ?」


「遠話の魔道具です。どうやらシャルロッテ嬢から急ぎの伝言のようです」


「それはまた大層な魔道具を持っているな・・・・」



 物欲しそうにスマホを見るヴァレのおっさんをよそに、オレはスマホを操作して通話を開始した。



「こちらヨッシーです。どうなさいましたシャルちゃん?」


『ひっ! 本当に通じましたわ! どうしましょう!』


「始めて遠話の魔道具を使うのだから、戸惑っているのかもちれないわね」


「お~い! もしも~し!」



 オレがスマホによびかけるが、シャルちゃんは遠話の魔道具を使いなれないのか、しばらく小さな声が聞こえてくるばかりで、会話が成立する気配はない。



『ああ!! はい!! ヨッシー様ごきげんよう!』



 どうやらなんとか遠話の魔道具を、使いこなせたようだ。



「ごきげんよう・・・。どうしました? 何かありました?」


『ああぁ・・・! あのですね! 襲撃に遭いました!』


『ばっ! おい! 突然そんなこと・・・・』



 同時にコロンの声も聞こえ、しどろもどろになっている様子が伝わるが、オレの耳には物騒な単語が聞こえた気がするのだ。



「おい! 襲撃とはどういうことだ! 詳しく話せ!」



 それを聞いたヴァレのおっさんが、血相を変えて、オレの横からスマホにそう尋ねる。



『お! ヴァレのおっさんか! 襲撃者なら追い払ったからもう心配はないぞ!』


「その声はコロンか! ではもう心配はないのだな!?」


『おう! 当り前よぅ!』



 どうやら襲撃者は、コロンがすでに追い払ったようだ。



『あ、あの・・・・素晴らしい魔道具をくださりありがとうございます。あとコロンを護衛につけてくださって助かりましたわ』


 

 続けてシャルちゃんからのお礼の言葉があった。



「それはなによりです。全員怪我はありませんでしたか?」


『はい! 誰一人怪我などしておりませんわ!』



 全員無事で良かった。だがこのタイミングで襲撃と聞くと、例の二家を疑いたくなる。

 だが貴族であるオレは証拠がないかぎり、それを口にするわけには、いかないのだろうな。

 それから程なくして、通話は終了した。



「ところでヨッシー・・・・」


「なんでしょうかユースたん?」


「わたくちは遠話の魔道具を頂いてはいないのでちゅが?」



 そう言えばユースたんには、遠話の魔道具を渡した記憶がない。

 だが遠話の魔道具の仕組みを作ったのは、目の前のユースたんなのだ。

 彼女なら魔法のみで遠話の魔道具が、再現可能なのではないだろうか?


 また魔道具として、自ら作り出せるのではないだろうか?


 それを聞いたらこんな答えが返ってきた。



「確かにちょれは可能だけれど、ちょれをやる手間がすごく面倒なのよ」



 確かに遠話の魔道具の仕組みを、1から作り出すのは面倒だろう。

 オレは見本通りに作り、形をスマホ型に改変し、命令系統はコピペして改造しただけだから、それほど苦はなかったのだがな。


 しかも実体化にポイントがかかるだけで、いくらでも同じ機種が複製可能なんだよね。


 それを考えるとこのスマホはやはり、チートアイテムなのだろう。



「色は白でお願いちゅるわ」


「儂は黒で頼む」



 するといつの間にか、遠話の魔道具を強請る人物が、二人になっていた。

 


「えっと・・・・。身内でない方は魔石払いでお願いします・・・・」


「何! 魔石が必要なのか!?」


「あと遠話の魔道具は今のところ違う街同士の通話は不可能ですから」



 遠話の魔道具は現在、電波を中継するためのアンテナがないため、異なる街にいる場合、電波が届かない可能性が非常に高いのだ。



「何!? 本当か!? 儂は普段王都より領地にいる方が多い! これでは会話ができぬではないか!」



 いったい誰と会話するつもりだ?



「それでは王族の誰かに相談ちて、アンテナ施設を設置ちゅる許可をいただきまちょう」



 まじかこの自称女神・・・・。そのアンテナ施設の建造と設置を、いったい誰がやると思っていいるのか? もちろんオレだよ・・・・。



「おお! それで我が領地からでも、王都に連絡が届くわけだな!?」


「急ぎまちょう! ここから一番近い王族の部屋はレーティシア姫のところでちゅ!」



 もはやこの二人を止める手段はオレには無かった。

 二人は即座にレーティシア姫の部屋へと向かって行った。


 あ・・・しまった! そう言えばレーティシア姫には、まだ遠話の魔道具を渡していなかった。

 すでにコロンやフランちゃん、シャルちゃんまでもが持っているのに、自分だけ遠話の魔道具を渡されていないと知ったら、レーティシア姫はどう思うだろうか?

 あのユースたんが、それをリークしないとは限らない。


 王族に会うならアポぐらい取るのが普通だけど、女神特権を使えば即座に会えるのか? 会えるんだろうな・・・・。


 これはちょっとまずい状況かもしれない・・・・。



「ヨッシ~! ヨッシィィィ~!」



 するとレーティシア姫の、ヒステリックな怒鳴り声が聞こえてきた。

 うん。そうなると思っていたよ。これは叱られるね・・・・確実に・・・・。


 まあせめてその怒りを和らげられるような、お菓子とお茶を用意しておこう。


 その後さらに遠話の魔道具数台と、アンテナ施設を造ることになったが、魔石がその分多く稼げたので、結果的には良かったのかもしれない。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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