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07:入学生の交流会

 食堂にやってくると、貴族の令息や令嬢、有力な商人の子供がすでに行きかい、挨拶を交わしていた。

 テーブルの上には、様々な料理が並べられている。

 メニューは肉料理が大半で、他には様々な果物の山盛りと、白パン、スープが用意されていた。

 飲み物にはぶどうジュースと、水が用意されている。



「皆本日は合格おめでとうございます! 王族を代表してわたくし・・・レーティシア・ルエパラがお祝い申し上げます」



 交流会に挨拶に訪れたのは、レーティシア姫だ。

 先ほどの鬼の形相はなりを潜め、今は落ち着いているようだ。

 皆そのレーティシア姫の挨拶に、耳を傾ける。


 実はレーティシア姫もこの学園に、遅めの入学をしているのだ。

 現在は三年となりこれから、卒業を控えているようだ。



「これからの皆の活躍、期待しています」



 最後にそう締めくくると、レーティシア姫は挨拶を終え、退出していった。

 ここからは再び自由行動となるので、食事しながら挨拶に周ることになる。



「お久しぶりでございますヨーレシア様」



 すると一人の大柄な少年が挨拶をしてきた。

 オレはその少年の顔に見覚えがあった。



「バリィィ~!!」



 オレはその予想もつかない再開に、声が上ずってしまった。

 そこには背がさらに伸びて大人びた、あのバリーがいたのだ。



「フロランス様もごぶさたしております」


「あら。久しぶりねバリー」



 実はフランちゃんとバリーは、同じ領地に住んでいるんだよね。

 後で聞いた話では王都へ来る際にも、同じ馬車できたようだ。



「バリ~・・・・。ワタシには挨拶がないのか?」


「コロン姉さんは相変わらずですね」



 そんなバリーにコロンが絡む。

 この二人はそんなに親密だっただろうか? 



「ローレッタさんは元気にしている?」


 

 オレは親しくしていたバリーのお姉さんの、ローレッタさんについて尋ねた。



「姉は今ギーハテケナ家に嫁いで、ヨーレシア様に教えていただいた、中華料理の研究開発をしています。その中華料理がまた領内で評判で、来年にも他領に販売してはという話になっています」



 どうやらギーハテケナ領では、オレが振舞った中華料理が流行っているようだ。

 まさかあのローレッタさんがギーハテケナ家に嫁ぎ、さらにはあの家で中華料理の開発に励んでいるのには驚きだ。

 すでに中華料理開発は、領内を巻き込んだ事業に発展しているのだろう。



「私は少し遅いですが十一歳になる今年、学園に入学いたしました。当家は貴族とかかわることも多いですので、後継ぎである私に、貴族教育を学べと父から命じられております。

 実は遅い入学をした理由は、ヨーレシア様と入学時期を同じくするためでして・・・。その方が色々と都合もよいのでございます」



 どうやらバリーはオレを当てにして、入学をオレと同時期にしたようだ。

 だが庇護するにも、オレには会いづらいだろう。

 オレは学園への入学とともに、この学園の寮で暮らすことになるのだ。

 何かあった時にオレのいる女子寮に駆け込むのは、バリーにはハードルが高いだろう。

 週に一度は王宮の自室にも帰るが、そこへ顔を出すのも困難だ。



「じゃあ遠話の魔道具を渡しておくから、何かあったらそれで連絡してくれ」



 オレは最近作り始めた、遠話の魔道具の試作をバリーに渡した。

 まあ要するに携帯電話の機能をもつ魔道具だ。

 これは見た目はスマホで、通話の相手を登録し、指定したりも出来る。

 バリーに渡したのは黒いモデルだ。



「こ・・・このような高価ですごい魔道具は、ただでは受け取れません・・・・・」



 遠話の魔道具を受け取ったバリーは、その魔道具を見つめつつ、震えながらそんなことを聞いてきた。



「えっと・・・・。それじゃあ預けておくってことで・・・・」


「あ、ありがたく預からせていただきます!」



 するとバリーはそれで納得したようで、遠話の魔道具を懐にしまい込んだ。



「えっと・・・・。わたくしそれを頂いていないのですけど・・・・」



 失念していた。いつも一緒にいるから離れた場所からの連絡手段などいらないと思い、フランちゃんには渡していなかったのだ。



「えっと・・・・。それじゃあピンクでいいかな?」


「はい!」



 フランちゃんは満面の笑顔で返事をした。

 ちなみにピンクは、フランちゃんの好きな色だったりする。


 そしてすでにコロンには、黒い遠話の魔道具を渡してある件・・・・。

 こいつはよくいなくなるので、いつでも連絡を出来るようにしておきたいのだ。



「ちなみにその魔道具、王都領内の範囲しか届かないから注意してね」



 どこかに電波を受け取るための中継地点を作れば、王都外にも届くようだが、お金もかかるしその場所の土地の使用許可も必要だ。

 そのうちレーティシア姫にでも、相談してみるといいかもしれない。


 そういえばレーティシア姫にもまだ渡してなかった。ばれれば後でまたごねられるな・・・・。

 





「これはホワイトナイツ卿! 私はマティアス・ド・ラングラン・レッドナイツと申します」



 次に挨拶をしたのは、オレと同じAクラスで、ラングラン侯爵家の子息、マティアスだ。

 ラングラン侯爵家は名前の最後にレッドナイツがついているとおり、オレと対を成す、王家の護衛を役目としている家だ。


 レッドナイツの前に名がある理由は、その前に名乗っていた家名があるためだ。

 ラングラン侯爵家は、王都で起きた王子の手の者による反乱で、オレとともに活躍した家だ。

 そこでレッドナイツの称号を与えられ、晴れて伯爵家から侯爵家に昇爵したのだ。


 ただ公的にはレッドナイツもホワイトナイツと同格なのだが、認識的には少し違う。

 なんでも代々ホワイトナイツには、レッドナイツよりも強い人物がついていたらしいのだ。

 その影響かレッドナイツよりもホワイトナイツの方が、強いイメージがあるという。


 マティアスという少年は目は笑っているが、そのことを根に持っているのか、笑顔がどことなく不気味に感じる。


 レッドナイツの名を冠する家柄だけあって、連れている護衛も大柄で強そうだ。

 コロンは相手の護衛を、赤く光る目で睨んで挑発しないように・・・・。



「先ほどは私の配下の者が失礼いたしました」



 彼の配下の者で思い浮かぶのは先ほどオレに因縁をつけてきた、ロヴォイワヨン伯爵家のキュウドムだ。

 どうやら彼の家は、ラングラン侯爵家の傘下であるようだ。



 ガシャン!!


「貴様! よくこの俺の前でそんな口が叩けたな!」



 すると喧騒が響き、何処かで争うような声が聞こえた来た。

 見るとそこには見知らぬ男子生徒と、キュウドムがいるではないか。

 そうやらキュウドムが、その生徒に絡んでいるようなのだ。



「どうやらまた私の配下がご迷惑をかけているようです。私はあれを止めてきますので・・・」



 そう言うとマティアスは、睨み合う二人のもとまで歩いて行った。


 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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