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06:ホームルームでの出来事


「それではホームルームを開始します」



 入学式が終わると、ホームルームがあるのだ。

 ホームルームの教室は、筆記試験を受けたのと同じ教室で、これからホームルームがある度に、この教室に集まらなければならないそうだ。


 ちなみにオレは再び一番上の席の、一番右に案内された。


 下の方でオレを睨んでいる野郎がいるが、ここはスルーでいいだろう。


 このホームルームでは、学科や必要な単位に関する説明があった。


 学科には貴族科、騎士科、魔術科、冒険科、学術科があり、そのいずれかを必修分野にして、その他の学科の授業も受けることが可能だ。

 オレはこの学園に貴族の常識を学びに来ているので、当然必修分野は貴族科となる。


 貴族科では主に、貴族の礼儀作法や紋章、領地経営を学ぶ。

 そのどれもに興味はないが、それを学ばないと貴族としてはやっていけない。


 騎士科は騎士の剣術や、礼儀作法を学ぶ学科だ。

 騎士団へ入隊するための、道筋になっている科だ。

 また毎年剣の大会を行い、優秀な成績を収めると、望みの騎士団への推薦状を頂けるそうだ。


 魔術科は魔法の使い方を学ぶ科だ。

 魔術に関してはさらに詳しく魔術の真理を追及する、魔術学園なるものもあり、この科を専門に受講した卒業生の、次の進路先となっている。


 冒険科は言うまでもなく、冒険者を輩出する科だ。

 冒険科にいかなくても冒険者にはなれるが、ここで冒険者の有利な制度に対する知識や、戦うための技術を学べるのは大きい。

 また学園にいるうちに優秀なメンバーとパーティを組めたり、卒業と同時にいきなりD級になれたりと、その得点は目白押しのようだ。


 そのいずれかの科の授業を受講し、必修科目の単位を全て取得し、その上で必要な単位に達すると、二学年進学への資格を得るのだ。

 そうやって三年まで学園に通うと晴れて卒業となる。


 オレとしてはぜひ卒業までに、興味のある魔術科と冒険科には、顔を出しておきたい。



「このホームルームの後は、新入生の交流会を予定しているので、皆食堂にくるように」



 新入生の交流会とは、要するに社交会のようなものだ。

 別のクラスも含めた新入生が集まり、話をしたり食事をしたりするらしい。


 一学年には貴族のクラスがAクラスとBクラスの二つしかないので、その集まりに参加するのは、だいたいがこの二つのクラスの生徒となる。

 だが例外もあり、Cクラス以降の一般のクラスであっても、有力な商人や金持ちなの子息などは、参加が許されているようだ。


 なおCクラス以降には、一般の交流会も催されるようだ。



「おい! そこのチビ!」


 

 座席に座りそんなことを考えていると、目の前に貴族の少年が現れ、急に声を掛けてきた。

 先ほどオレを下の座席で睨んでいた野郎だ。



「そちらは侯爵家などの上級貴族の座る席だ。子爵家のお前にはふさわしくない。レーティシア姫に取り入って立場を有利にしているようだが、この学園ではそんな横暴は認められない。下の座席へ移りたまえ」



 野郎はオレにそんなことを言ってきたのだ。

 しかも腰ぎんちゃくを数人連れて、薄笑いを浮かべ嫌な感じだ。



「あら。貴方は確か・・・ロヴォイワヨン伯爵家のキュウドム様でしたわね?」



 その話に割り込んだのは、同じく伯爵家のフランちゃんだ。


 ん? ロヴォイワヨン伯爵家? どこかで聞き覚えのある家の名前だぞ?

 あ! インザクの家か!

 インザクはプロスペール辺境伯領で、オレに絡んできた奴だったな。

 するとキュウドムはあいつの弟かな?



「お前はたしか、田舎貴族の家の娘だったな?」


「あら? 相手の家名も正確に申し上げられないなんて、無知にもほどがありましてよ?」



 そこでバチバチと火花を散らす二人。

 この二つの家はあまり仲がよろしくはないようだ。



「ご存じないようですから言っておきますが。そこにおられるヨーレシア様は、ホワイトナイツ子爵家当主本人ですのよ。つまり家格は上でも爵位を持たない貴方は、不敬を詫びなければなりませんのよ」


「寝言は寝てから言うがいい! そのような戯言信じるにも値せん!」



 まあこんな六歳くらいに見える幼女が、子爵家当主だと言ってもとても信じられないよな・・・・。



「お待ちなさい!」



 そこへさらに侯爵家令嬢のシャルロッテ嬢が口を挟んだ。



「貴女は侯爵家のシャルロッテ嬢・・・・」



 やはり侯爵家は怖いようで、キュウドムも青い顔で見ている。



「ヨーレシア様がホワイトナイツ子爵家当主本人であるということは、エドワード侯爵家であるこのわたくしが保証しましょう」


「そ、そんな・・・!? なぜそんなチビに味方するのです!?」


「それが事実だからよ・・・・」



 するとキュウドムは、グヌヌ顔でオレを睨みつけてきた。



「申し訳・・・・ありませんでした・・・・」



 そしてそう小さな声で謝罪すると、踵を返して教室から出ていったのだ。


 ああいう輩は何をするかわからないので、これからは警戒が必要だ

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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