01:女神の復活
ピロピロ! ピロピロ!
「デンワですか? 何ですかそれは?」
「すいませんフラン様。少し待っていていただけますか?」
「??」
オレはとりあえず、その電話に出ることにした。
現在オレは今までに一度も電話がなかったスマホに、電話の呼び出し音が鳴り響き、戸惑っていた。
オレはレーティシア姫に呼び出され、世話係として就任したフランちゃんを紹介してもらっていたのだ。
オレの近くには護衛としてコロンもおり、その他にはフランちゃんのお付きとして、リュシーさんとライザさんがいる。
そんな中あの迷惑な電話の音は、突然になり始めたのだ。
オレは徐にスマホをポケットから取り出すと通話をタップした。
「はい。こちらヨッシーですけど」
『ようやくつながりましたか・・・・。とっとと出なさいヨッシー!』
「えっと・・・・誰ですか?」
『貴女をこの世界に呼び出した女神ユースティティアですよ』
「ユー・・・・? 何? 悪戯電話なら止めていただけますか?」
『お馬鹿!? 世界に一つしかないスマホに、誰が悪戯電話などかけてくるものですか!』
それもそうか・・・・。わざわざ世界に一つしかないスマホに誰が電話なんて・・・・ってスマホ世界に一つしかないんかい!
どうやらオレの電話の相手は女神だったようだ。
しかしなぜ今頃になって電話なんか・・・?
とりあえずコロンにでも、相談してみることにした。
「ねえコロン・・・・」
「あん?」
「女神さんから電話だけどどうしたらいいと思う?」
「デンワって何だ?」
「えっと・・・・遠くからこのスマホを通して、話しかけてきている?」
「ちょっ! ちょっと待ってください! 女神様がその魔道具に・・・・声を届けていらっしゃるんですか?」
オレの言葉に真っ先に反応したのは、レーティシア姫だった。
「あ! じゃあはい・・・」
「ちょ! ちょ! ええええ!?」
オレがレーティシア姫の耳にスマホを当てると、レーティシア姫は大慌てする。
「レ、レレレ、レーティシアと申します! 女神様でいらっしゃいますか!?」
こんな慌てふためくレーティシア姫を見るのも新鮮だ。
『そうですけど・・・・。とりあえずそこにいるお馬鹿な娘に代わってちょうだい』
「はい! ただいま!」
そう言うとレーティシア姫は、オレの耳にスマホを当ててきた。
しかしながらお馬鹿な娘 = オレというのは少し心外だ。
「で? 今頃何の用ですか? オレをあんな荒野に置き去りにしておいて」
オレは最初に異世界に来た時に、森の中に置き去りにされたのを思い出し、女神に少し憤ってみた。
『あの時は悪かったと思っているわ。でも貴女そのおかげで楽しく冒険できているじゃない?』
そう言われると、オレも返す言葉がない。
紆余曲折あったが、今までの冒険が楽しくなかったとはとても言えない。
それになによりあの場所で洞窟を見つけていなければ、今頃コロンにも会っていないかもしれないのだ。
「で? オレに用事ってなんですか?」
とりあえず話が進まないので、オレは要件を聞いてみた。
『わたくしを復活させなさい。今すぐに・・・・』
「はあ? 何言ってんだこのおばさん」
オレは女神の言うことが理解できなくて、ついそう言ってしまった。
「不敬!! すごく不敬よヨッシー!!」
「そうだぞヨッシー! おばさんに謝れ!」
お前もな。
『母に対してその言葉使いは何ですかヨッシー!』
「母? ちょっとまって? オレは女神さんの娘なの?」
「「はあ!? ヨッシーが女神の娘!?」」
オレの言葉を聞いた皆が、驚愕し声を上げる。
『とりあえずわたくしを復活させなさい! 話はその後です!』
なんという勝手な女神だろうか?
突然電話してきたかと思うと、いきなり復活させろとかなんとか・・・・。
「えっと・・・・。女神さんが復活させろとかなんとか言っているんですけど・・・・皆さんどうします?」
オレはとりあえず皆に相談してみた。
「復活? 女神様が復活なさるんですか?」
「えっと・・・それは女神様がこちらに顕現されるということでしょうか?」
「いいんじゃね別に・・・・」
「そうね・・・いいんですかね?」
「いいのかしら?」
まあ皆が否定しないなら、オレも文句はない。
「えっと・・・・。どうやって復活させればいいですか?」
オレはとりあえず、女神の復活方法を聞いてみた。
『スマホにわたくしの肉体となる器をアップしておきました。後はポイントを使い、それを実体化するだけで良いですよ・・・・』
オレは女神に言われるがままに、女神の器となる肉体をスマホから出して実体化にかかる。
『女神の肉体の実体化には100000000ポイント必要です』
「一億ポイント!!?」
オレはその衝撃的な数値に、つい大声が出てしまった。
現在のポイントは二億以上あるので、女神復活はできなくもない。
だがそれでも一億ポイントは痛すぎる・・・・。
「えっと・・・額が高すぎるんですが・・・・」
『とうぜんでしょヨッシー。女神の復活にかかるポイントとしては、それでも安い方です! それとも貴女は額が高いからといって、母親であるわたくしを、いつもまでもこんなスマホの中に閉じ込めておくつもりですか?』
「ヨッシー・・・・人としてそれはどうかと思うぞ・・・・」
話を盗み聞きしていたコロンが、オレの肩に手を置きつつ、そんなことを言ってきた。
ていうかこの人・・・・今までこのスマホの中にいたのか?
「まあ・・・・仕方ないでしょう・・・・」
オレは泣く泣く女神の肉体の実体化に応じた。
女神の肉体の実体化を始めると、スマホの画面が強烈な光を発し始める。
そして光は人の形をとりはじめ、オレの腕の中に収まった。
オレの腕? 小さなオレの腕の中に収まったのか?
見るとオレの腕の中には、一歳児と見られる赤ん坊が抱かれていたのだ。
赤ん坊は銀髪で、オレによく似た容姿をしていた。
「えっと・・・・お母さんですか?」
オレはその赤子にそう問いかけた。
「そうでちゅよよっちー! わたくちがあなたのおかあさんでちゅ! ばぶ!」
オレはその赤子の発する言葉を聞いて、目が点になった。
どうやらその赤ん坊はオレの母親で、女神であるようだ。
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