28:新魔王爆誕(笑)
「ん? ヨッシー? お前こんなところで何やってんだ?」
邪神に取り付かれ、魔王となったコロンを、なんとか邪神を封印することで倒すことができた。
今コロンはオレの腕の中で、目を覚ましたところだ。
その間抜け面は、間違いなくあのコロンだった・・・・。
ちなみにオレたちを閉じ込めていた、見えないドームはとっくに解除している。
なのでオレの周囲には、従者が三人護衛のために近づいて来ている。
「コロン・・・・起きるの遅いぞ・・・・」
「何だお前また泣いてるのか? 本当に泣き虫だな?」
そう言うとコロンはオレをひとなでし、起き上がって周囲を見回した。
「何だこれ?」
周囲には王国軍と魔王軍がいて、大勢でオレたちの戦いの行く末を、見守っていたのだ。
「そう言えば兄を倒したワタシは・・・あれからどうしたんだったかな・・・・・?」
コロンは今までの記憶を探るように、胡坐をかいて考え込んでしまった。
オレはしばらくそんなコロンを見守る。
「あ! そうか!」
しばらくコロンを見守っていると、コロンは何かに納得したように立ち上がった。
「おおい!! 魔王軍よく聞け!!」
そしていまだに懐疑的な表情の魔王軍に、何やら演説を始めたのだ。
「ワタシはここにいる勇者ヨッシーに負けた! なので魔族のルールにのっとり・・・・ヨッシーの家来になることにした!」
そしてそんなことを、宣言したのだ。
そんなルール初耳ですけど・・・・。
「な・・・・! コロン!?」
オレはそんな衝撃的な宣言に、言葉が出なかった。
「なんですと・・・?」
「魔王様があの勇者の家来に・・・・?」
「古いしきたりだが、確かにそんな決まりがあったような気もする・・・・」
「あの勇者の正体はゴーレムで、いちおう魔族のようだし・・・・」
「そうだな。次の魔王はあの勇者でいいのではないか?」
すると思いもよらない言葉が、魔族の口から聞こえて来た。
オレ・・・・いちおう人間のつもりなんだが・・・・。
「ならば我らも勇者ヨッシー様の下僕も同然!! これからはヨッシー様こそが我らが魔王!!」
「「魔王ヨッシー万歳!!!」」
そして魔族たちは、そんなことを宣言してきたのだ。
それを見たレーティシア姫とプロスペール辺境伯は、何やら複雑そうな表情でオレを見ている。
「オレ・・・魔王とかやるきないんだけど・・・・」
オレのそんな声は、その軍勢に聞こえることなく、大きな歓声の中に掻き消されていく。
「おいコロン・・・・ちょっとこい」
「何だよヨッシー」
コロンはオレの前に、すたすたとやってきて屈みこんだ。
「あいて!」
そしてオレはそんなコロンに、チョップを繰り出したのだ。
「どうすんだよこの状況!?」
「なんだよヨッシー! これが一番丸く収まると思ったんだよ!」
コロンはチョップを受けた額に、手を当てながらそう言い返してきた。
まったくコロンは、どう考えたらこれで全てが丸く収まると思ったのだか?
オレはとりあえずレーティシア姫とプロスペール辺境伯に、このことを相談してみた。
「ここはいったん魔王の地位に納まっておけ・・・・」
「そうですわね。それが一番良いかもしれませんわね」
すると二人もそんな答えを返して来た。
「諦めろヨッシー・・・・」
ついでにトムおじさんからも、そんなことを言われた。
どうやらオレはこれから、魔王にならなければならないようだ。
「姫! わたくしもおともします!」
「私も姫とともに参ります!」
「右に同じ!!」
「私も微力ながら、ヨッシー殿の補佐をさせていただく・・・・」
どうやらオレの従者の三人とバランさんも、オレと一緒に魔王国についてくるようだ。
「まあワタシもヨッシーの家来だしな。ついていくぜ」
そして当然ながら、コロンもオレについてきた。
妹分であるオレを放っておけないのもあるだろうが、自らの発言でこうなったことに、責任も感じているのだろう。
こうしてオレは四人の従者を引き連れて、魔王として魔王国に入ることになった。
本当にどうすんだこの状況!?
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