表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/180

22:魔王との一騎打ち


 ガキーン!! トパーン!!


 

 戦場に金切り音が、数度に渡り響き渡る。


 魔王は戦闘開始早々に槍で突いてくるが、いずれもオレの黒金のゴーレムの装甲にはあまり効果はないようだ。


 だがその凄まじい衝撃から、もしかしたらと、攻撃を受ける度にひやひやする。


 それにオレの攻撃は、まだ魔王にかすりもしていない。



「ふははははは!! なんという丈夫な装甲か!?」



 黒金のゴーレムにコーティングされたアダマンタイトは、通常の鎧よりも厚く、簡単に貫くことは不可能だろう。

 それでも魔王の攻撃により小さなへこみや傷が、あちこちについてきているので、同じ個所に何度も攻撃を受ければ、貫かれる危険性もある。



「貴様が強者であることは間違いないだろう! だが貴様には圧倒的に戦闘経験が足りていない!」


「へえ! そりゃどうも!」



 オレはそのまま魔王に鯖折を仕掛けるが、躱されて後方に逃げられてしまう。



「ふむ・・・・。さすがに我もこの槍だけでは、少々分が悪いようだ・・・・」



 魔王の槍の刃を見ると、刃こぼれでボロボロになってしまっていた。

 黒金のゴーレムの装甲を貫くどころか、先に刃の方が音を上げてしまったようだ。


 だがこの戦いは、ここからが本番だと言えよう。

 なぜなら魔王は、光の剣を所持しているからである。



「ここからは我も本気でいかせてもらおう・・・・」



 そう言うと魔王の姿がぶれ、瞬間見えなくなる。



「危・・・!!」



 オレは瞬時に危険を感じ、浮遊移動で素早く後退する。


 見るとすでに魔王は、赤い光の剣を、抜き放っていたのだ。

 その赤い光はとても禍々しく見えた。



 ドン!!


「!?」



 音のする方を見ると、巨大な何かが落ちているのが見えた。

 それを見た瞬間、オレは恐怖で寒気を覚えた。



「きゃああ!! 姫!!」


「ヨッシー!!」



 皆の心配そうな悲鳴や叫びが、オレの耳に聞こえてきた。


 何とそれは、黒金のゴーレムの右腕だったのだ

 黒金のゴーレムの右腕は、無残にも光の剣で、斬り落とされてしまったのだ。


 どうやらあの光の剣は、アダマンタイトをも斬り裂いてしまうようだ。



「雷撃!!」


「あまいわ!!」



 オレは距離をとろうと、とっさに雷撃を放つが、例の避雷針でその雷撃を逸らされてしまう。



「死ね!!!」



 魔王はそのままオレに、(とど)めの一撃を繰り出してくる。



「ブースト!!」



 この時オレはブーストを発動し、後方にその攻撃を避ける。

 ブーストは超高速移動を可能にする技なのだが、消費も激しく、死蔵していた技の一つである。


 まさかこんな場面で役に立つとは、思いもよらなかったが・・・・。


 だがどうにか魔王の光の剣を、避けることはできたようだ。


 そしてブーストは確かに消費が激しいが、魔王の方も消費の上では、条件は同じだろう。

 なぜなら光の剣は、大量に魔力を消費してしまうのだ。


 そのためか魔王も、光の剣を出しては消しての繰り返しだ。


 だが今なお、魔王にダメージを与える手段の無いオレは、現状不利であると言わざるを得ない。


 魔王はこちらを斬り裂けるのに、こちらは避けるしか手段がないのだ。



「火球!! 水弾!! 風の刃!!」



 オレはやけくそ気味に、次々とパーティクルで作った魔法を放った。



「往生際が悪いわ!!」



 だが魔王の鎧には、そのどの魔法も効果がないようだ。

 全て弾かれて、掻き消えてしまう。



「光の剣!!」


「ブースト!! ・・・・な!?」



 だが今回はブーストを使っても、いっこうに黒金のゴーレムが高速で動くことはなかった。

  

 気づくと黒金のゴーレムほどの巨大な魔人が抱き着き、その動きを妨害していたのだ。



「な! これは一騎打ちのはずじゃあ・・・・!?」


「あまいなヨッシー・・・・。戦争は負ければ終わりなのだよ・・・・」



 どうやら魔王は最初から一騎打ちなど、するつもりはなかったようだ。

 オレは魔王の罠に、はめられてしまったのだ。

 力任せにこの巨大な魔人を、振りほどけなくはないが、どのみちその瞬間にオレは、光の剣で斬り伏せられてしまうだろう。


 オレの顔から徐々に、血の気が失せていくのを感じた。



「皆ヨッシーを救え!! これは一騎打ちなどではない!! 卑劣な罠だ!!」


「姫!! 今助けに・・・・」



 後方からはオレの従者や王国軍が、そんなオレを救おうと、迫ってくるのを感じた。

 だが彼らが間に合うことはないだろう。

 なぜなら魔王は、すでにオレの目の前にいるのだから。

 そして魔王が赤く光る、その禍々しい光の剣を頭上に掲げる。



「ヨッシー!! その命貰い受けた!!」


「うわああああ!!」



 オレはその時恐怖で、自然と断末魔の叫びを発していた・・・・。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


 《ブックマーク》 と


 評価★★★★★を

 

 お願いします。

 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

 感想、レビューもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ