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10:決着


「コロ~~ン!!」



 オレは自分の中に生まれた、その一瞬の躊躇を後悔した。


 これは殺し合いなのだ。オレは自分と自分の大切な人を護るために、戦わなくてはならないのだ。

 野生動物にはオレ達人間の思想など、通用しないのだ。躊躇してはならない。


 視界にはいまだに倒れて伏せっているコロンがいるが、オレが死んだらコロンは助けられない。

 だからオレは戦うよ。


 コロン・・・だからそれまでどうか無事でいてくれ。


 オレはその時初めて覚悟を決めた。

 魔物をきっと睨みつけ、いつでもスマホが操作可能なように構える。


 奴の一挙一動を、見逃さない!



「ブギィィィィィイイイ!」



 そして奴のデスタックルが、再びオレに襲い掛かる。

 周囲の風景は再びゆっくりとなり、奴の接近が遅く感じる。


 オレは奴をよく引き付けて・・・・



「今!!」


 

 スマホを操作し、大岩を目の前に出現させたのだ。



 ドスン!!


 

 喰らえ化け物!! オレの渾身の一撃だ!!



 ドシャ~~ン!!



 奴は大岩に衝突すると、物凄い音がして、一度後ろにバウンドして横に倒れた。



「ブギィィィイイ! ブギィィィイイ!」


「まだ生きていやがるのか!!」



 奴はその衝突で死にきれず、横に倒れながらも両足を激しく動かして暴れる。

 奴の断末魔のあがきはとても怖いが、それでもオレはやらねばならない!

 オレのせいで怪我をした、コロンを助けるためにも!


 オレは奴に(とど)めを刺すために、次にどうするべきかを思案する。



 パシ!



 その瞬間、オレの右肩に何かが当たった。



「後はワタシにやらせろ。姉貴分が何もできないで終わるとか、しまらねえだろ?」



 倒れていたコロンが立ち上がり、オレの肩に、左手を置いたのだ。

 だが見るとコロンの左腕は、大きく腫れ、痛々しく見える。



「ブギィ! ブギィ! ブギィィィイイ!」



 コロンは横たわって暴れる、ビッグボアの前に立つと、鬼の形相で睨みつける。



 ズシャ!!


 

 コロンがビッグボアの喉を、右手に持つ槍で一突きにする。

 そしてそのまま体重をかけて、深く押し込んだ。



「ブギィィィ・・・イ・・・ィ・・・」



 そしてビッグボアは、そのまま痙攣して動かなくなった。



「よく・・・やったな・・・ヨッシー・・・」


 ドサ・・・!


「うあぁぁぁぁん!!! ごめんよ! ごめんよコロ~ン!!」



 コロンはそのまま地面に倒れて、気を失ってしまったようだ。


 オレは泣きじゃくりながらも、ガタクリ一号を用意して、重たいコロンを荷台にのせて、その場から洞窟へと急いだ。

 ここはゴブリンやウルフも出る、危険な場所と聞いていたからだ。





「よい~しょっ!」


 

 オレはガタクリ一号を洞窟内まで移動させると、再び重たいコロンを背負って、洞窟の地面に寝かせる。

 せめて布団くらいは用意したいが、今はコロンの怪我の具合を見るのが先だ。


 コロンの腕は大きく腫れあがっていたが、それ以外は擦り傷などの外傷が目立つくらいだった。

 もしかしたらビッグボアの衝突の瞬間に、その腕を犠牲にして、衝撃をやわらげたのかもしれない。


 腕の骨などに異常は見られないようだが、熱が出てきているので、もしかしたらヒビくらいは、入っている可能性がある。


 だがあの恐ろしいほどの突進を受けて、この程度の怪我で済んでいるところから、コロンの身体能力の凄さを実感する。

 やはりコロンは普通の人間ではないのだろう。


 とりあえず治療に必要なものを購入しておく。


 まずは湿布48枚入り881円を購入。コロンの腫れた腕に貼っておく。

 次にサポーター4枚セット799円を購入して、湿布を張り付けた腕に装着しておく。

 色はコロンが喜びそうな黒だ。


 熱が出ているので冷却シート子供用16枚入り1000円も購入。

 コロンの熱くなった額に張り付ける。

 病気の時には桃缶と、桃缶200円を購入しておいた。



 残りポイント:43657



 布団は残りのアルミブランケットを代用する。アルミブランケットは3枚入りだったので、残りはリュックの中にあるのだ。


 とりあえずその辺にあった藁を敷き詰めて、その上にアルミブランケットをしく。

 再び重たいコロンをアルミブランケットの上まで移動させてくるませる。

 とりあえずコロンは、これで様子を見るしかない。


 次に気になるのは仕留めた獲物だ。


 命がけで仕留めたのだ。

 目を覚ました時にあの獲物が無かったら、コロンががっかりするだろう。





 ビッグボアを倒した場所に戻ると、子供のような影が、オレたちの獲物を囲んでいるのが見えた。



「何だあいつら!?」



 そいつらは緑色の肌をしていて、耳は尖り、醜悪な顔をしている。



「ゴブリンだ!」



 ゴブリンは3体おり、オレたちの獲物を何とか運び出そうと、色々と格闘しているようだ。

 初めて見るが、本当にいたんだな。


 しかし問題はどうやって奴らを、獲物から引き離すかだ。

 あれはオレたちが、命がけで倒した獲物なのだ。

 確かゴブリンは気が小さく、すぐにびっくりして逃げてしまうとコロンが言っていたな。

 爆竹10個入り380円を購入。



 残りポイント:43277



 パン! パン! パパパン!


「ひぎゃ~~~!!」「ぎえ~~!!」



 火を付けた爆竹を投げつけると、ゴブリンたちは一目散に逃げだした。



「さて。次にこの獲物をどう運び出すかが問題だ。」



 スマホにファイルとして収納するのは、ポリゴン数が多すぎて無理なのかな?



「あ! いけた!」



 しかしスマホの容量をかなり圧迫しているようで、警告文が出てきている。

 どんだけ容量食ってんだよビッグボア。


 とりあえずポリゴン数は減らさないで収納した。それでどういう影響が出るのか、今のところわからないからね。


 とりあえず洞窟に戻り、洞窟の手前で血抜きから試みる。


 スマホで検索すると、猪の血抜きの仕方が出ていたので、それを参考に血抜きを行う。

 ついでに解体の仕方も検索しておく。

 コロンのナイフを拝借して、早速解体にもチャレンジだ。


 時間はかかったし、正直気持ち悪くて慣れない作業で、ぎこちない感じだったが何とかいけた。

 体中返り血が飛んで、えらいことになっているので、これは水浴びしないとだめだな。


 とりあえず他の獣が嗅ぎ付けないように、内臓や頭、まだ中途半端だが、剥けた皮などはスマホの中に入れて、ファイル化して破棄する。


 残った物は、ファイル化して一時スマホの中に収納しておこう。

 だいぶ容量は減ったが、それでも随分と大きい。

 肉の保存方法も考えておかないとな。



「ごくごく! ぷは~~!!」



 すでに中身が川の水と入れ替わった、2リットル入りのペットボトルの水を飲み干す。

 川の水は冷たくて、少し肌寒いが、この辺りは基本温暖で温かい、服も体も、この照り付ける太陽ですぐに乾くだろう。


 とりあえず今後のために、四角く切った肉を、さらにポリゴン数を減らして、スマホのファイルとして収納したらどうなるか、確かめておこう。


 結果容量は激減したが、妙に形の整った肉になった。

 後で味も確認してみないとな。

 ちなみに肉の複製は、出来なかったよ。

 食料などの複製は、このスマホでも、出来ないのかもしれない。


 そして気づけば夕方だった。


 洞窟に戻ると、コロンはまだ寝ているようだ。

 冷却シートの効果なのか、熱はだいぶ下がっているように感じる。


 しかし心配なので、オレもその横でアルミブランケットに包まって、寝ておくことにする。

 その日の夕食は、木の実を数個食べただけで終了した。



 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひブックマークと評価をお願いします。

 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

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