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記憶の小説



 * その2 *


 それから。

 当時大好きだったのが竹宮恵子さんや萩尾望都さんだったこともあり、漫画でのBL表現に嫌悪感は皆無でした。

 ただ小説JUNEに出会うまでは小説でのBL表現を考えたことはなかったと思うんですよね。そう、おかげさまで出会ったことで当然視野が広がったというか、一気に腐女子度が上がったというか。腐女子なんていう言葉もない時代でしたので、おたく度が上がったというべきでしょうかね。

 ”おたく”使われていたかなぁ? 謎ですけどね。ただ、知らないけど、クラスの男子に呼びかける時”あなた””君”って呼び方はできなかったので”おたく”ってなった感じはあります。クラスの男子の名前と顔がね〜完璧に覚えられるタイプじゃなかったのですよ。女子は覚えられたのですけどね。わたしの世代がそうだったのか単にわたしがそうだったのか。中学生くらいになりますと男子が隔意を見せる感じがありましてね、話しかけても冷たいんですよ。木で鼻を括った感じ。そんなわけで気楽に話しかけられなくなってしまったのですよね。そうなると小学生時代に同級生だった男子以外は名前と顔がいまいちはっきりしなくてね。用があって話しかけるのにも誰だっけ? となって、”あなた”は変だし、”君”も変。名前がわからない〜となって”おたく”となったんですけれど。このあたりの対人関係のスキルが”おたく”の”おたく”たる所以なのかもしれませんね。後に中島梓さんが上梓された『コミュニケーション不全症候群』的な症状だったかもしれません。


 と、閑話休題。


 きっかけが小説JUNEでしたから、そこで紹介されていた小説を色々読みました。同好の士が紹介している小説ですので、好みが合う合わないはありましたけど、色々と面白かったです。最初の辺は純文学のそれとない表現中のJUNEっぽいところが多くて焦れるような感覚に囚われたものです。どうもこう拒否感がありまして『金閣寺』とか『仮面の告白』は読めなかったのですけれどね。

 加賀乙彦さんとか赤江瀑さんがそんな感じでしたでしょうか。

 加賀さんは紹介されていたタイトルは覚えていないのですが手に入った『フランドルの冬』は面白く読みましたね。

 赤江瀑さんは当時『オイディプスの刃』が映画化されていましたね。それをきっかけに出版されたのはかなり追いかけて読みましたが、学生にはかなりきつい作家さんでしたね。ハードカバーが多かったからなぁ当時。

 これは本格的に耽美の方、森茉莉さん。森鴎外さんの娘さんですね。『わたしの美の世界』はエッセイでしたが、『甘い蜜の部屋』『枯れ葉の寝床』かな。『甘い蜜の部屋』は父親と娘の少し危うい関係の話。完璧BLは『枯れ葉の寝床』。個人的になぜかそちらではなく『甘い蜜の部屋』の方に嵌っていた記憶があります。これからわたしは同性愛というよりも禁断という関係性の方が好きなのだろうなぁと思わなくもないのですが。

 須永朝彦さん。この方、去年お亡くなりになられたのですね。ご冥福を。ともあれ。十年くらい前に泉鏡花短編集とか、全集とかだったかを編纂してらっしゃいましたが。学生時代に読んだのは西澤書店の『就眠儀式』とあと一冊『悪魔の館』だったかな? 『就眠儀式』はクロロック伯爵はともかくとして、薔薇男百合彦とか豪華絢爛だった記憶がうっすら。吸血鬼がらみだけあって耽美でしたね。

 渋澤龍彦さん。『うつろ船』、さっき知りましたが『犬狼都市』この方が作者だったのですね〜。偶然手にして読んでました。買った時は作者不詳のポルノ小説って紹介文だったかな。同名の別本の可能性もなきにしもあらずですが。絶筆の『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』を含めてエッセイとかがメインで読みましたね。『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』これとJ・コクトーのエッセイがちょっとごっちゃになってますけどね。フランス文学者だけあってかなんかイメージはフランスの作家さんですね。やっぱり。

 純文学ですぐに出てくる作家さんはこの辺りでしょうか。


 ミステリになりますと、意外なところで西村寿行さんですね。地元出身の作家さんですが、ちょっと男性向けのエロが多い小説のイメージがある方です。西村さんにはごめんなさい。けど当時のわたしにとってはそういう感じの作家さんでしたね。大人(中年?)の男の人が読む小説って感じ。その中でも紹介されてたのが死神とかって呼ばれてた? 刑事のバディものだった記憶が。バランスとしては男女のシーンが圧倒的でしたけれど、主人公ふたりが今でいうブロマンス的で。日本の刑事なのに奴隷商人にさらわれてそういう船にふたりで繋がれて積まれて〜なんていうのも。後になって父親の本棚に同じタイトル見つけた時には笑うしかなかったですが。

 逢坂剛さん。”MOZU”のTVドラマ化で『百舌』シリーズが有名になった気がした。三冊目までおっかけましたけどね。百舌が出なくなったら読まなくなりましたけどね。


 当然、栗本薫さんもね読み耽ったものです。まぁこの世界に引き摺り込んで這い上がれなくしてくれたのはこの人の作品だったと思いますね。

 『蝶の墓』2巻まではほぼ全作網羅した気がします。ほぼ〜っていうのは、彼の「グィン・サーガ』を三十三巻くらいで挫折したからです。ええ、マリウス編が一旦終了した辺です。尤も一番追っかけていたのが『魔界水滸伝』第一部でした。これは途中からもうJUNE以外の何? ってキャラクターがねぇ。

 彼女の作品といえば、図書館の司書さんもファンだったらしくて『弦の聖域』を勧めてくれたのですが、当時はまだ栗本さんを読み始めたばかりでですね宮尾登美子さんの『一弦の琴』となぜか間違えてしまってあれ? ってなったのを覚えています。で勧められていたタイトルにたどり着くまでちょっとかかりましたね。


 そういえばそれと同じくらいの時に、一つ勘違いしていたのが『さぶ』でした。今風に説明するとしたら「ガチの男同士の男性向けの雑誌」ってところかな? それと山本周五郎さんの『さぶ』を混同していて借りて読むまでかなり悩んだのを覚えています。ドキドキして読んでどこがJUNE? って思ってあああれ雑誌! って気づくまでに四分の三ほど読んでいた記憶がうっすら。微笑ましい記憶ですねvv まぁ雑誌と文庫を間違うあたりタイトルしか意識していなかったんだろうなぁとは思いますが。かなり後になって雑誌『さぶ』や『薔薇族』”ADON”の表紙を見る機会がありましたけどね。それよりもずいぶん後になって『ロマンJUNE』なんていうそちら方面寄りの小説JUNE読者向け別冊のようなものが出版されて手に取りましたけど、正直嵌ることはできませんでした。女性向けと軽い男性向けは違うんだなぁって思ったような記憶があります。


 すでに”道”じゃない気がするvv

 


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