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欲望の聖典  作者: 枝豆た
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第九節~第十節

第九節  あおいほし


 世の果てよりすすり泣く声とともに現れた一人の巨大な女性、母体、彼女はこの世界の創造主であり、この世に存在する森羅万象の母である。

 母体が現れると、今まで争いあっていた純白の星と漆黒の星はその光と漆黒を収め二つの星となった、一つは一対の強大な角を生やし煌々と光り輝き、もう一つは全てを飲み込まんとするほどの漆黒であり中央に一つの目を持っていた、その二つの星は己が母を見つめ近寄る、母体はその二つの星を手に取るとゆっくりと抱きしめ、純白の星の中に漆黒の星を埋め込んでしまった、するといままで台地だったものが突如形を失い、瞬く間になにかに変わってしまった、そしてそのなにかは次々と、漆黒を宿した純白の星へと集まっていき、台地を、山を、風を、世界を構成する要素を作っていき、新たな世界を創造したのだ、それで終わりではなかった、つぎに母体はその新しい世界を抱えたままボロボロと涙を流し始め、その涙は瞬く間に新世界の大地を埋め尽くした、そして最後に母体は、、、こちらを見てきた、母体と目が合ったとたんとてつもない頭痛が彼を襲った、無理もない、なぜならその一瞬で彼はこれより起こる未来の全てをそのちっぽけな脳へと流し込まれたのだ、すると自らの体がドロドロと溶けてしまい、母体はその彼だった物をすくいあげると新世界へとばらまいた、、、。


 そしてその青く輝く新たな世界は歩みを始めた、その世界ではどのような物語が織りなされ、どのような結末を迎えるのか、それは彼にしかわからない、、、しかし一つだけ言えることがある、それは、この世界はあまりにも苦痛に満ち、悪魔のはびこる醜い世界になるだろうと、ただ、、、そんな世界にも、小さな幸せが、その過酷さゆえに大切にできるものが、明日への希望が溢れていることを忘れてはならない。


   このめくるめく命の星、生と死が平等に、欲望と秩序が均衡に

                       、、、生きるこの星


第十節 デトール


 僕は第二子としてこの世に生まれた、僕は双子の兄を持っていた、母は双子の兄ばかりかわいがり、僕はいつもないがしろにされていた、きっと母は僕に気づいてないんだ、だって母は兄とばかり遊ぶし、僕がいしょに遊ぼって言っても無視するし、、、僕はきっと存在しないんだ、この世に、生まれなきゃよかった、こんなつまんない世界嫌、そんなこと思ってたらたくさんの弟ができた、とっても嬉しかった、母と兄は遊んでくれないからきっと弟たちなら遊んでくれるって、でも違った、弟たちは母が言ったことを守るためにいつも忙しそうにして、僕と遊んでくれるのはいなかった、みんないつも僕よりも母の言いつけが大事だった、、、もういいや、誰もいらない、僕一人でいいよ、そう思ってどこか遠くへ行った、ここがどこかなんてわからない、でも母や兄、弟たちと離れてとってもさみしくなった、みんなの顔が見たい、誰も僕に気づかなくていいから近くにいたい、寂しい、孤独はいや、そう思ってうずくまって泣いていると急に体が光ったんだ、ピカーって、真っ白に、そして頭から二本の角が生えた、そしたら僕の体の光を母が見つけてくれた、みんなに会えた、うれしい、、、でもちょっと違った、僕はみんなの弟になっちゃった、でもこっちのがみんなに見てもらえる、何より母に気にしてもらえるからいいや、母は僕にお願いをしてくれるし、とっても嬉しい、そのお願いがどんなに苦しくても、母がほめてくれるから頑張れる、でもたまに思うんだ、、、、僕はお兄ちゃんなのにな、、、って、、、、、。


 お母さん僕お母さんの言いつけ守ってるよ、お母さんのお願いちゃんとやってるよ、ほめてほめて、

 お母さん、どうして僕はみんなの弟なの?、

 お母さん、もう与え続けるの嫌だよ、苦しい、

 お母さん、見捨てないで、、、僕頑張るから、、、ありがとうお母さん、うれしい、

 お母さん、助けて、、苦しいよ、お母さんのお願いつらいよ、頑張ってるからほめてよ、

 お母さんどこ行ったの?いつもみたいにほめてよ。。。。


     助けて、助けて、、、、、、、、、、、、、お兄ちゃん。



僕の名前はデトール、欲望の神だよ!

よろしくね!お兄ちゃんたち!


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