進撃
この世界は階層世界である。各々規定された広さの箱庭が積み重なって出来ている。
彼女たちはいままで二人でこの階層をひとつづつ登ってきた。
その方法とは、発生するWAVEをクリアすることだ。
WAVEが発生すると黒いドロドロが湧き、そのドロドロから生まれるモンスターをすべて倒し切ることで発生したWAVEはクリアとされる。
WAVEは中止できない。モンスターがすべて倒されるまでWAVEは続き、終わることはない。
ここ数日、ビーイーとヅーの二人は拠点防衛設備の再配置を行っていた。
拠点の塀に備え付けられた防衛設備には強化された機関砲とミサイルの他に今まで無かった極太のレーザーキャノンが装備された。
拠点内に置かれていたコンテナは撤去され、爆薬を満載した巨大トラックと無人攻撃ドローンが何機も配備された。
「中レベル住民作成権限により兵士を作製」
ビーイーがコンソールを操作すると、地面から人間がにょきにょきと生えてきた。
完成した兵士が彼女に敬礼をする。ビーイーは嫌な顔をしつつ返礼する。それを何度も繰り返した。
生成された兵隊が整然と整列し命令を待つ。
次に彼らの手持ち武器、搭乗する車両、巨人を生成する。
巨人はビーイーが乗っていた捻れた老木ではなく、金属製で工業力を感じるものだ。
彼らと彼らの武器をひとユニット分生成したビーイーはあとは同じものをと、生成をオートに任せた。
この生成はコインが続く限り続けられる。
俺は動くことのない青空を見上げる。
空にはREADY WAVE 5? の文字と刻々と減らされていくカウントダウン。
この第7階層に残るWAVEはあとひとつ、WAVE 5をクリアすることでこの階層を抜けることができる。
第7階層は250km四方の大きさで、天井が存在する。WAVEの開催状況が表示されるスクリーンとなっている。
外周には都市部があり、そこを抜けると平原地帯、拠点はその中央に配置している。
拠点と拠点のごく付近はドロドロが湧かない中立地点となっている。
ドロドロから生まれてくるモンスターの波は拠点に配備されている防衛装置と、彼女たちが作成するアイテムの活用により押し返されるかたちとなる。
モンスターは彼女たちの拠点を目指して進行してくる。この拠点を攻め落とされることは即ち彼女たちの死を意味する。
ゲームオーバーだ。