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天からの青い紙

 僕はただ見ていた。草木が生い茂り、空が青く澄んでいて、人が自由に過ごす世界を殺されながらただ何も思わずに見ていた。その記憶は心を与えられ、色々な物に感情を動かされる今でも脳内に強く焼き付いている。あの頃の僕は心は無かったがもしあの頃の、スライムだった僕に心が備わっていたとしたら僕は殺される事に激昂をし、人生を謳歌する人間共を恨めしく思っていただろう。


 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 この状況を誰か僕に説明してほしい。何も無い場所に1人にされ体感で言うと1時間近く放置されている状況だ。『創造神』という職のことを詳しく教えられず、ただ放置されている。

 …まぁ「めっちゃすごい」という言葉に釣られ転移を急かしたのは自分だが、放置はやり過ぎじゃない?


 アスカはタナカかカイルが『創造神』という職の説明をしてくれるものだと思っており、小1時間程白い空間であぐらをかきながらひたすら待っていた。しかし流石に来なさすぎな状況をおかしく思い、不安に苛まれている。


「タナカさん!!!!居ないんですか!!!もうそろそろ『創造神』の仕事教えてくださいよ…」


 アスカが天に向かいそう叫ぶと、上からヒラヒラと1枚の青い紙が降ってきた。


【あの〜…うるさいんで静かにしてもらっていいですか?私、うるさいのとか嫌いなんで。】


 辛辣な言葉に傷つくアスカだったが、筆談ではあるが会話が成立している事が嬉しく自然と広角が爆上げしている。


「わかりました。静かにするんで今のこの状況だけ教えてもらっていいですか?」


【はぁ…(´-ω-`)めんどくさいなぁ。まぁいいですよ。】


「ありがとうございます。貴方は神様だ!!」


 貴方が神様だ!!というツッコミをしたくなる発言をするアスカ。

 

【手短に説明するとここには貴方と貴方が創造した物以外は干渉できない仕様になっています。まぁ私は例外的な存在ですけどね✌︎('ω'✌︎ )】


 所々に書かれている顔文字が絶妙に腹立たしい。

 アスカも多少眉間にシワを寄せながらも真面目に読み進める。

 

「ということはタナカさんとかカイルさんはここに説明には来ないってこと?」


【そうですよ( ͡° ͜ʖ ͡°)】


「まじ?」


【まじ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶】


「ちっ…」


 アスカは舌打ちを覚えた。

 青の髪を掻き毟り青色の紙を破り捨てた。2人の事を家族のような存在だと勝手に思っていたアスカは自然に瞳が涙でいっぱいに。


【まぁ、でも貴方がこちらに呼び込むことは可能ですよ。あちらが同意すればの話ですけどね^_^】


「なっ!それをはやく言ってくださいよ。で、どうやって呼べばいいんでs…」


【まぁまぁそう焦らずに。『創造神』の仕事は私が教えますので、タナカさんやカイルさんを呼び出すのは勘弁してください(;´Д`A 怒られてしまいます、私が】


「でも…」


【…世話になった神様達にどれだけ迷惑をかけるつもりですか?あの人達は物凄く忙しいんですよ。】


「そうですか…。それもそうですね。あの人達には、あまり迷惑をかけたく無い、ですね。分かりました!!世界を作ってから呼んでみることにします。」


【物わかりが良くて助かります( ^ω^ )】


 新しいことの連続で気が疲れたのかアスカはその場で仰向けに寝転がった。そしてそのまま上に向かい声を掛け会話(相手は筆談)を再開した。


「で、『創造神』ってどうやって物を創造するんですか?」


【言葉通りそうぞうするんです。考え方としては、創造というより想像ということですね。】


 想像とは心に思い描くことである。元から心が有る人などはそれが当然のように出来るが、心を後付けされた者はどうなのだろうか?


 白紙の紙とペンが目の前にあったら人は紙に何かを書くだろう。文字、絵、何でもいいが何かを書くと思う。だが使い方がわからない者の前にそれらがあっても何も書くことは出来ない。


 アスカは心はあるが考える事ができない。記録はあるが記憶ではない。思い返す事ができない。アスカは今全ての現象に対して本能で行動をしている。理性は備わっていない即ち


「想像ってどうやってするものなんですか?」


 想像ができない。


 アスカの純粋な問いかけに天の人は返事がする事ができない。アスカがボケでその問いかけをしていれば天の人はツッコミをしていただろう。だが、アスカの言葉はボケではないのが天の人には伝わっていた。


 だが少し遅れて飛鳥に青の紙が先程と同様に届いた。


【知るか!!ゔぁ〜か。甘えんな】


 アスカは目を擦り紙に再度目を通すが内容は変わらず、みるみるうちにアスカの顔は赤くなっていた。初めての怒りである。子供にしか通じない幼稚な煽りだが、単純なアスカが怒るには充分過ぎるくらいだった。

 

 それからアスカは天に何度も語りかけるが、以降青い紙が来ることはなかった。


 アスカの足元には無造作に先程までの青い紙が散乱している。アスカは紙を拾い読み返し、紙を拾い読み返すを繰り返した。自分のその時の感情を思い出しながら。名前も知らない天の人の顔を浮かべながら。


 頭の中で『想像』しながら。


 きっとこんな顔して嘲笑ってんだろうな、ウザそうな見た目してるに違いない


 頭の中で天の人の見た目を無意識化に『創造』していた。



 アスカの足元にはあった散乱している青い紙が集合し、融合し、青い紙を媒体にみるみる形を形成してく。

色はそのままに姿がどんどんと。


 そして遂に…


【なんじゃこりゃぁぁあああああああぁああぁぁぁぁぁ((((;゜Д゜)))))))】


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