表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

クズは涙を流さない

作者: 新井弘太郎

深夜テンションで描いたので暖かい目で見て貰えると助かります。


もう、何度繰り返したのだろうか。君を失って、やり直して、また失って。


多くの人を巻き込んだ。多くの人を死に追いやった。大罪人。それが僕。


はじめはね。ただ、君を救いたかっただけなんだ。僕の命を救ってくれた君が死んでしまう運命が許せなかった。それだけだったんだよ。


だから僕はやり直した。君を殺す運命を否定するために。今度は僕が君を救うために。


そうすることが正しいと信じて疑わなかったんだ。今回までは。


君を救うためにと、僕はどのループでも君の仲間でいた。君をそばで守れるように。でも、僕一人じゃ無理だった。だから仲間を作った。


ループの度に仲間が増えた。最高の仲間たちだった。それが、ループの数を増やしてしまうほどに。


一人でも欠けることが許せなくて、誰かが死んでしまう度にループを繰り返した。君一人救うことが出来ない無力な人間なのにね。


そうやって何度もやり直していたらとうとう僕も気づいたんだ。全員にハッピーエンドを迎えさせることは出来ないことに。


そして決意した。君以外の全てを切り捨てると。


それが前回。君が初めて僕を心の底から憎んだループ。


燃える国に涙を流す君に僕は全てを話した。今までにあったこと全てを包み隠さず。


私は大勢の犠牲を払ってまで生きたいと望んた事はない!


君の言葉で目が覚めたよ。僕が一体何をしていたのかということに。いつの間にか人の死になれてしまっていたらしい。だから平気で繰り返せた。犠牲を許せた。常人にそんなこと出来るわけないよね。


結局君は前回も死んだ。少しでも多くの人を救おうと戦い、異形の化け物に殺された。


その後、僕はやり直した。これが最後と心に決めて。


そして今──。


「魔王。貴様の罪、私が裁く」


「無理だよ勇者。俺が全部終わらせるから」


さあ、絶対勝利の戦いを始めよう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

僕はクズ。誰も知らない大量殺人を犯したクズ。今回も結局一人を殺し、尊厳さえも奪った。みんなの笑顔を奪った。みんなの幸せを奪った。彼女に殺人まで犯させてしまった。


僕はそんなクズだから涙なんか流さない。必死に生きる人間を嘲笑って死んでいく。


だからきっと頬を流れるこの液体は──。


──天気雨に違いないのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ