クズは涙を流さない
深夜テンションで描いたので暖かい目で見て貰えると助かります。
もう、何度繰り返したのだろうか。君を失って、やり直して、また失って。
多くの人を巻き込んだ。多くの人を死に追いやった。大罪人。それが僕。
はじめはね。ただ、君を救いたかっただけなんだ。僕の命を救ってくれた君が死んでしまう運命が許せなかった。それだけだったんだよ。
だから僕はやり直した。君を殺す運命を否定するために。今度は僕が君を救うために。
そうすることが正しいと信じて疑わなかったんだ。今回までは。
君を救うためにと、僕はどのループでも君の仲間でいた。君をそばで守れるように。でも、僕一人じゃ無理だった。だから仲間を作った。
ループの度に仲間が増えた。最高の仲間たちだった。それが、ループの数を増やしてしまうほどに。
一人でも欠けることが許せなくて、誰かが死んでしまう度にループを繰り返した。君一人救うことが出来ない無力な人間なのにね。
そうやって何度もやり直していたらとうとう僕も気づいたんだ。全員にハッピーエンドを迎えさせることは出来ないことに。
そして決意した。君以外の全てを切り捨てると。
それが前回。君が初めて僕を心の底から憎んだループ。
燃える国に涙を流す君に僕は全てを話した。今までにあったこと全てを包み隠さず。
私は大勢の犠牲を払ってまで生きたいと望んた事はない!
君の言葉で目が覚めたよ。僕が一体何をしていたのかということに。いつの間にか人の死になれてしまっていたらしい。だから平気で繰り返せた。犠牲を許せた。常人にそんなこと出来るわけないよね。
結局君は前回も死んだ。少しでも多くの人を救おうと戦い、異形の化け物に殺された。
その後、僕はやり直した。これが最後と心に決めて。
そして今──。
「魔王。貴様の罪、私が裁く」
「無理だよ勇者。俺が全部終わらせるから」
さあ、絶対勝利の戦いを始めよう。
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僕はクズ。誰も知らない大量殺人を犯したクズ。今回も結局一人を殺し、尊厳さえも奪った。みんなの笑顔を奪った。みんなの幸せを奪った。彼女に殺人まで犯させてしまった。
僕はそんなクズだから涙なんか流さない。必死に生きる人間を嘲笑って死んでいく。
だからきっと頬を流れるこの液体は──。
──天気雨に違いないのだ。