ごめんなさい3
先生がいる時はあまり来ないクラスメイト。
流石に成績に響くのが嫌らしい。
だけど放課後になると呼び出しがある。
「おい、“優夜”今すぐに技術室裏に来い…来なかったら…分かるよなぁ?」
久々にクラスメイトに名前で呼ばれた。いつもは“自傷”君って呼ばれる。
僕は従って技術室裏に来た。技術室裏は視界が悪く、隣が何故か“神社”になっている。クラスメイト達は絶好の遊び場として使っている。
「やっと来たか、じゃ殺るか」
リーダー格のクラスメイトが言ったと同時に遊びが始まった。
ドコっ!バコっ!ドスッ!ガンっ!
不快な音が鳴り響く…今朝巻いた包帯はまた赤い液体が滴っている。
「おい、これなーんだ?」
見せてきたのは市販のカッター。
「カ…ッター…?」
「正解ー!じゃファイトぉ!」
グサッ!グサッ!グサッ!
肉が切れる音がする。僕は慣れているので“痛い”とは思わない…むしろ気分がいい。
「フフ…」
思わず笑ってしまう、
「こ、こいつ笑ってるぞッ!」
「き、気持ち悪い!」
ザシュッ!ザシュッ!グサッ!
ぽたりぽたりと落ちていく赤い液体。
「お、おい、もう、帰ろ、ぜ?」
「あ、ああ」
クラスメイトはその場から走り去って行った。
「うっ…」
辺りが鉄の匂いで充満していた。
僕もその場から去った。明日は雨だから、この場所に落ちてある液体も流れるはず。
僕は学校の少し遠くにある見晴らしのいい公園に来た
「光〜待った〜?」
ブランコに座っていた僕の友達“光”に声をかけた。
「ううん、待ってないよ?それよりどうしたその包帯?」
僕の顔や頭首足には乱雑に巻いた包帯を巻いてあった
「大丈夫、何でもないから…」
「優夜嘘ついちゃだめだ、俺には何かあったとしか見えん」
「ちょっと体育でたくさんコケて…」
これなら光も納得してくれるはず、
「本当か?何かあったらちゃんと俺に言うんだぞ!同級生なら尚更だ、先輩である俺が成敗するからな!」
公園は一つ上の学年、それに家が近所という事で小さい頃から遊んでいたため、今ではとても仲のいい親友だ。
「僕ってドジだね…」
「優夜はドジじゃないぞ!」
僕は光には迷惑をかけたくない、巻き込まれたら大変だし、来年受験の勉強で忙しくなるからね…
「あ、光、今日は空手ないの?」
「あぁ!忘れてた!やばっ!」
光は空手をずっと小さい頃習っている今では黒帯だ。
いつも会う日は空手のある日あまり喋れないけどそれでも楽しい。
「ごめんな!優夜!また来週!」
「うん!ばいばい!」
手を振って光を見送る。部活もあって休みはあまりない。でも、僕は帰宅部だ。
「また、来週…か…」
ちょっと寂しい。