ごめんなさい
7:15
僕はいつものように手に包帯を巻いて、手首にはリストバンドをはめた。
そして自分の部屋を出る。
「あら?生きてたのぉ?ほんと、しぶとい子ね?産まなきゃ良かったわ」
「あれ?俺こんな弟いたっけ?知らなかったわ!」
いつものように浴びせられる言葉。
僕は黙ってキッチンへ向かう。
「なんか言いなさいよ!私はアンタを育ててやってるんだから!生かしてあげてるのに、何よその態度!」
バンっ!ドンッ!
僕は殴られた。その衝撃で壁に叩きつけられた。
「ッ…」
「調子乗るなよ!母さんになんて言う態度をするんだてめぇ!」
ドスッ!ガンっ!
近くにあった棒で殴られたり叩かれたりする。
なんで僕がこんな事になるんだろうか?
学校ではいじめられる…家では暴力や暴言を受ける。
そして、誰も助けてはくれない。
「ごめんなさい…ごめんなさい…僕が悪いです…僕が悪いです。」
「謝るくらいならいなくなれよ!」
「アンタなんか死んでも知らないわ」
僕はその場から立ち上がり自分の部屋に戻った。
ガチャ…バタンっ
「僕が悪いんだよね…全部僕が…だからバラバラになっちゃったんだよね…ごめんなさい…ごめんなさい」
僕の家族は元々五人家族、お父さんお母さんお兄ちゃんお姉ちゃん僕。
だけど僕がある日不幸な事故でみんなバラバラになった。
「お姉ちゃん…ごめんなさい…僕が居たから死んじゃったんだよね…ごめんなさい…生きててすみません…」
僕は念仏のように“ごめんなさい”を言いながら親指をしゃぶった。
あの日、僕が横断歩道で飛び出したから…
お姉ちゃんは僕を守るために死んじゃった…
お母さんは僕をそれ以来嫌ったし、お父さんは出ていったし、お兄ちゃんは僕をストレス発散のために使う。
ガタッガラ
僕は引き出しから普通サイズのカッターを取り出した
そして、刃を出して
グサッグサッグサッ
三回腕に刺した。
「僕が悪いから僕が悪いから僕が悪いから僕が悪いから…」
呪いを唱えるように僕は白い包帯の上から何度も刺した。
じわじわと広がる赤色…傷みの代わりに快感が来る。
「包帯…巻き直そう…」
僕は赤色に染まった包帯をのけて1度タオルで拭いてから変えた。床に落ちてしまったぶんも綺麗に消した。
「カッター…錆びてきたな…買ってこよう…切れ味がいいのを…」
僕はカッターを元の場所ではなく、テディベアがある所に放り投げた。
ガチャ…
「行ってきます…お姉ちゃん…」
バタンっ
7:35僕は玄関まで素早く行ってリュックを方にかけ出ていった。