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呪神
それは全てを呪う神
その神は願いの神として生み出され
その神は呪いの神として定められた
その無名の神に自我は存在せず
ただあるがままに全てを呪った
人を呪い
魔を呪い
神を呪い
世界に生まれ落ちた者を呪い
死して世界に還る者を呪い
形あるモノを呪い
形無きモノを呪い
世界を呪い
等しくあらゆる存在を呪った
やがてその神はあらゆるモノから呪神と呼ばれた
無名の神は名を定められた事により自我を獲得した
生まれ落ちた自我は己があらゆる存在から呪われていることを知った
人に呪われ
魔に呪われ
神に呪われ
世界に生まれ落ちた者に呪われ
死して世界に還る者に呪われ
形あるモノに呪われ
形無きモノに呪われ
世界に呪われ
等しくあらゆる存在から呪われ
呪神はそれが己の存在理由だと己を呪った
自我を得た呪神の呪いは研ぎ澄まされた刃の如く強き呪いなり等しく全てを蝕んだ
己の呪いとあらゆる存在からの呪いにより
生まれ落ちた自我はやがて擂り潰され消え果た
呪神の自我が最期に臨んだのは"死"
自我を失った呪神の呪いは狂える牙となり等しく全てを切り刻んだ
彼の神の名は呪神
等しく世界を呪う神なり