受神-1
「んー!!」
いきなりの事に思わず叫びそうになるが、土の神に唇を塞がれてるため言葉にならない。土の神は俺の後頭部を固定していた左手を、耳朶や首筋、鎖骨をなぞりながら左胸、心臓の辺りまで這わせてくる。その指の感触に思わず身体が反応してしまう。
「いい反応だ。さぁこれで我も最後だ、楽しむとしようではないか」
ようやく唇が離れたかと思うと俺の胸に添えられた指先が俺の中へ入り込んでくる。
「っく………う、あぁぁぁぁぁ」
不思議と痛みはなく、あるのは甘い熱さだ。脳が痺れるような快感が胸から走る。
「さぁ其方の心臓を捕まえたぞ。其方も遠慮するな」
土の神の左手すでに手首まで俺の胸の中にありその手は心臓に掴んでいる。俺の頬に添えられていた右手が、土の神の胸を掴んでいた俺の手に添え指を絡ませると、そのまま胸の中へ押し込みその心臓を握らされる。
土の神の身体の中は暖かく握った心臓からもまた心地よい暖かさが全身に伝わってくる。
「やはり其方は我らの器として申し分ないようだな。安心しろ、必ず我が力が其方を守るだろう」
「も・・・・・・よく分からな・・・・・・いけどっ・・・・・・早くっ」
俺の身体は熱に浮かされ、息はすっかりあがってしまっていた。土の神に握られた心臓が強く、早く脈打っているのが分かる。
「落ち着け、先は長い。まずは我がじっくり其方を解し、下地を作らねばならぬ、しばし耐えよ」
土の神は俺に自身の心臓を握らせたまま右手をその胸から引き抜くと俺の下腹に添え、左手を同じように俺の身体へ侵入していく。
やはり痛みは無く、俺を襲うのは痺れるよう快楽だけだ。
「っふ……くぅ・・・・・・」
優しく腹の中を掻き混ぜられる感触に吐息が漏れる。情けなさにきっと笑われてるに違いないと見上げるが、霞んだ視界に捉えた土の神の眼差しはどこまでも優しかった。
「そんな顔をするな。名残おしくなるではないか。しかし我一柱でこんなことでは別の意味で残り七柱先が思いやられるな」
こんなことといわれても、この行為とはかなり違うが、所謂そういう事に対して百戦錬磨なわけでもないし何がどうなってるのか正直頭がついていかない。
土の神は優しく微笑むとそのまましな垂れかかってきたため、俺の胸にボリュームのある胸が押し付けられる。
「っちょ!胸、胸がっ」
「ここまできて今更何をいっている。さて、これで本当に最後だぞ。ではさらばだ」
土の神は俺の肩に顔を埋め、足を絡ませ、重なりあった肌から俺の中へと侵入していく。強すぎる快楽に身体は痺れ、息は切れ切れになり、土の神の身体が完全に俺の内側へと入ったころには身動きすら出来なくなっていた。
静かな空間に俺の荒い息遣いと、俺に近づく足音が響き、そういえば俺と土の神以外にもあと7人ここにはいた。
今のをNPCとは言え見られたかと思うと羞恥に顔が赤くなる。
だからそういう趣味は無いっていったのにー!やましい事じゃなかったんだろうけど何だか後ろめたい気持ちにさせられる行為だった。
視界に入ったのは白地に金の装飾が施された服を着た白髪の男だった。
「お疲れのようですが時間もありませんので次に行かせてもらいます。次に花嫁の相手をさせていただくのはこの私、光の神ですね」
「は、花嫁!?番いとかいってなかった!?」
不穏な単語に反応する。男に花嫁はないだろうっ!
「そういった表現の違いはあまり気にしないで下さい。そもそも私達はどちらにもなれるますし性別にそこまでの意味はありません。私が今とってる姿が男神だからそういった表現になっただけです。土の神からは相手の性別に合わせてやれとも言われましたが本来の姿で終われないようですし、それなら最後はこの姿で迎えたい」
そういってにこりと笑うがさっきみたいなことになるなら女神でお願いしたいっ
「あー……め、女神の姿にもなれるならそちらで是非ー」
「諦めてください」
笑顔のまま即答で断られる。
「女神の姿をとってる方もまだいますしそちらに期待しましょうね」
相変わらず笑顔のまましゃがむと俺の胸に手を当ててくる。光の神が触れた部分から淡い光が発生し、俺を包み込む。
「あまり力まないでくださいね」
「っぐ……うぅ」
土の神と同じようの光の神の手が俺の中へ入ってくる。だが先ほどとは違い、あるのは異物感だけだ。
「ああ、やはりこうなりますか。でも安心してください。貴方の身体に外から結界を張っておきましたし、貴方の内側は、土の神がしっかりとやるべきことされたようです」
光の神は手首まで俺の胸にいれると中をまさぐるように動かしている。光の神の手が動くに波のように不快感が襲ってくる。
「うー、なんか気持ち悪い・・・・・・んだけど」
「すでに一柱入ってるところに私も入ろうとしているからね。気持ち悪いぐらいならまだまだ大丈夫です。この段階はまだゆっくりしたほうがいいかもしれませんが、後半は一気に終わらせないと厳しいかもしれないですね」
思っていたより厳しそうですんと漏らすと光の神が手を引き抜いた。同時に不快感は消え、翳された手から溢れる光で残っていた不快感も和らいでいく。
「私の順番は遅らせましょう。想定より負担が大きいようですので私はしばらく補助にまわります」
「では雷の神たる儂がゆこう。構わんじゃろう光のよ」
いつの間にか光の神の隣にはツインテールの少女が立っている。身体も落ち着いてきたため上半身を起すと、少女の姿をはっきりと確認できた。薄紫の天女の羽衣のようなもの以外は身にまとっていないが、身体の大部分を紫色の鱗が覆っている。肩やら臍やらは鱗が無く肌が露わになっているのは狙っているのだろうか。俺の視線に気が付いたのか雷の神な少女はニヤニヤしながら近づいてくる。
「ほうほうほうほう、やはりこの姿が気になるようじゃのう!土の神の巨乳婆に対していま一つ反応が悪かったようじゃから貧乳童女が好みとみたのじゃが正解だったようじゃな。」
「ち、ちちちちっがーうう!俺にそっちの趣味は無いっ」
腰に手を当てて無い胸を張る雷の神もとい幼女神に思わず突っ込むが幼女神のドヤ顔は崩れない。それに決して土の神は婆なんかじゃなかったし美人のおねーさんだったことをここに付け加えておく。
「ふむふむ、確かに公言出来る趣味ではないからの。だが安心するが良い!ここに他者の目は無いっ。思う存分このまな板のような胸を拝み味わうのじゃっ」
見よこの色気のある鱗の光沢をなどとポーズを決めていく幼女神から目をそらし光の神へ顔を向けると、やれやれといった感じで耳打ちしてくる。
「雷の神はこの姿がいいと思いますよ。男神の姿だと髭を蓄えた老人ですし、機嫌を損ねたら本来の姿、雷の神ですと紫の蛇の姿でやってくるかもしれません」
ちらりととぐろを巻く巨大な紫の蛇に視線を向けると欠伸だろうか、大きく口を開けている蛇の姿が目に入る。あの大口で一飲みにでもされるのだろうかと思うと背筋が寒くなる。
「無理無理無理無理あれは無理」
「だったらあの姿で我慢しましょうね。雷の神よ、そろそろ始めていただけますか。インクナビュラも落ち着いたようです」
慰めるように俺の肩に手を置くと、光の神は幼女神を促す。
まだドヤ顔でポーズを決めていた幼女神は「そうか」というと俺の手を掴み、自分の胸に宛がった。胸を覆う鱗に触れた瞬間、静電気のようなピリピリとした感覚が指を襲い、弾かれそうになるが、幼女神の手が添えられているためか弾かれることはなかった。
「インクナビュラよ、まだ余裕はあるじゃろう。お主の良いように儂を取り込むがよい」
「そう言われてもどうすればいいのかさっぱりなんだけど」
「相手の中に身体の一部を入れて取り込むように念じたり、相手の身体に重なって自分の身体に完全に取り込むとかですね。土の神のやり方は後者の方法を自分から行ったという所です。他にも方法はありますがとりあえず前者の方法でしてみてはいかがでしょうか」
戸惑う俺に光の神が教えてくれた。土の神と言われて先ほどの記憶が蘇り体温があがってしまう。そんな俺の様子に構わず、光の神が指を鳴らすと、俺と幼女神を囲むように光の輪が現れた。
「それでは始めて下さい」
光の神の言葉に幼女神は相変わらずのドヤ顔で無い胸を張っている。
「それじゃ、行くぞ」
覚悟を決めて幼女神の胸に宛がわれた指を握りしめるように動かすと、紫の鱗の中にめり込んでいく。指先からは不快感とまではいかないが、微妙な違和感が腕の中へ滲んでくる。幼女神は眉を顰めていて、なんだか罪悪感が沸いてくる。というか幼女の胸に手を当ててる時点で犯罪者の気分がしていたが、顔を振ってそんな思いを振り払う。
「なぁ、痛かったりするのか」
「いや気にするな。すでに土の神を取り込んでいるお主を儂の内に迎えたことで、儂の力が拡散、吸い込まれるような感覚がするのじゃ。つまり順調という事じゃな。光の神の補助でお主も負担が少なかろう。取り込むといった事が念じにくければ、喰らう、交わる、混ざり合うといったことでもよい。儂らが個から一つになるという感覚をもつのじゃ」
俺は幼女神の中の手を広げるとアドバイス通りのことをイメージしていくと、指から伝わってくる違和感が強くなり、思わず顔を顰めるが、俺と幼女神を囲む光の輪の輝きが増すと同時に強まった違和感が拡散していくのを感じた。
「その調子じゃ。だが儂ももう終わりじゃのう。心残りといえば儂らが対と選んだお主がどのような神になるか見届けられぬということかの。ではさらばじゃ」
幼女神が目を閉じると同時に、その身体は無数の紫の粒子となり弾け、俺の手に吸い込まれていき、身体全体がだるくなる。目の前で人の形をしたものが消滅するその光景に胸が痛んだ。
「なぁ、幼女し・・・・・・雷の神もだけど土の神もどうなったんだ」
「一応言っておきますと、消滅したわけではありませんよ。そもそも私たちはすでに滅びてるわけですしね。先ほど雷の神が『個から一つに』といった表現が一番適しているでしょうね。といっても貴方の中で混じりあい貴方の一部として生きるのです。その過程で生まれた力を子供と表現する神もいますね。もう少し結界を強化しましょう」
そう言うと今度は地面に光の陣が敷かれ、少しずつだが身体のだるさがとれていく。次の神だろう足音がしたため、座りっぱなしもどうかと思い、立とうとするが立ちくらみに襲われ思わず目をつぶる。
「無理しないで座ったままでも大丈夫ですよ」
「いや大丈夫だ。たってられる」
光の神が気を使ってくれるが、いい加減座りっぱなしというのも情けない。両足を踏ん張りなんとかその場に立つと目の前にサーフパンツ姿の少年が着た。自分の身体ほどもある鯨の浮き輪のようなものを脇に抱えている。
「へぇ、頑張るね。次は水の神の僕の番だよ。宜しくね」
そういって少年、水の神ははにかみ笑いを浮かべた。
幼女の次はショタかよ!