count1:uneventful
差し込む日差し、汗ばむ熱気。
何故こんなに暑いのだろうか。
言っとくがな、まだ4月だぜ?
今の時期は桜が綺麗に舞って、涼しい春先の風が吹いてるはずだ。
腐ってやがるぜ、世界よ。
これが温暖化ってやつかオイ!?
「─はぁ」
だけどまぁ、文句を言っててもしょうがない。
俺はベッドから下り、自室を出て、洗面所で顔を洗い、寝癖を直し、前の日の晩から用意しておいたメシを食べながらニュースを見る。
これが暑かろうが寒かろうが俺のいつもの日課でなのである。
『4月にもかかわらず、今日各地では気温が30度を越えており、気象台では─』
ああ、無情。
30度だってよ、30度。
見てられないので俺はチャンネルを変える。
『速報です。○○県で大規模な暴動が発生しました。暴徒たちの行動に政府は─』
おお、こいつはガチなニュースらしい。
ついに日本のような平和主義国でも暴動なんてもんが起こっちまったみてぇだな。
だが、俺には関係ない話だ。
こんな田舎には暴動なんて起こりえないからな。
残っていたスープをすすり、俺はチャンネルをガチャガチャと変えまくったが、他のチャンネルも同じようなものだったので結局テレビを消して自室に戻ることにした。
◇
クローゼットに掛けてあった制服に袖を通し、ポケットに携帯電話と財布をつっこみ、俺の登校準備は完了する。
……あぁ、教科書?
そんなもんはまとめて教室のロッカーにぶち込んであるので問題ナシ!!
第一、俺は勉強しないしな。
家に帰ったってネットやるか、ゲームするか、寝るかの三択だし。
「さて……、どうしたもんか」
時刻は午前七時の少し前。
いつもならばこの時間帯にアイツが起こしに来て、メシ食って、それから登校するのだが、この真夏日とやらのせいで早めに起床してしまったので時間が有り余りすぎている。
「まあ、早めに登校するのも悪くはないか」
毎朝中華鍋で叩き起こされる身だ。
たまにはアイツの裏を掻いて先に学校に行くのもありだろう。
このまま無駄に家にいれば、起きてるにも関わらず中華鍋で殴られるかもしれん。
というわけで、俺は家の鍵を閉め颯爽と家を出た。
─あ~あ、アンタ見ちまったな。
序盤だけならまだ青春を謳歌する学生達の物語だけで済んだのにな。
俺は覚悟を決めたんだ。
だからアンタも腹ぁ括っとけよ?
そうだよ、まだこの時までは俺の日常だったんだよ。
そう、この時まではな。
俺もいつもと変わらない平凡な日常が来るものだと思ってた。
だけどはじめに言ったとおり、世界は本当に─腐ってた。
終わってたんだよ、この世界は。
今まで、ツクリモノだった世界がリアルの世界に乗り込んで来たせいでな。
もうソレは誰にも回避できねぇ。
だから俺は彼女たちを連れてそんなくそったれな世界から逃げたしたのだ。
平凡な現実から、─破滅へと向かうリアルにな。